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不毛な尋問

 私が最初に彼女を見たとき、これは勝負にならないな、と思った。

正直言って私は美人の域に入っている。もう18才になっている私は結婚適齢期真っ盛りであり、求婚者や告白なんぞも月に何度か声がかかる。しかし私は自分がこれだ!と思うような人にアピールして恋をし、結婚したいのである。

そんな春の昼下がりに奴―ランシアがとびっきりの美人さんを連れてきた。

奴、ランシアは私の1個下の17歳でこの町の騎士団に16歳で入団した新人であるが、入団規定が16歳で何故17歳で新人かというと、彼の誕生日が丁度アルの月1日―シルの月30日が入団日であるが、1日違いで年が足らなかったという不幸であり、面白く、そしてからかい甲斐のある弟分である。

もともとはドレク家という貴族の家柄なのだが、ランシアが生まれる前にランシアの父―若き日のパイク・エル・ドレク伯爵が自宅にて侵入者を発見し切り伏せた所、なんとランシアの母を夜這いしようとしていた王弟陛下であったのが運の尽きだったのだろう。

美人で評判の町娘と駆け落ち気味に(次男だったためあまり執着されなかった)結婚したのだが、この評判が王弟陛下の耳に入ったのであろう。

いくら責が王弟陛下にあろうとも、王族である王弟陛下を切ってしまったために家系は取り壊し、没落したのである。パイクは処刑されてしまったが、もともと評判の悪かった王弟陛下を成敗し、妻を守ったパイクは悲劇のヒーローとして人気が出ている。

吟遊詩人が詩や唄の題材にしたりもしている。ただ、その息子のランシアはあまり嬉しくはないみたいだが、誇りには思っているらしい。

そんなランシアが寝ている女の子を横抱きにして、挙句にその女の子がとびっきりの美人さんで―ただ、寝巻き姿で裸足なのが不信感というか犯罪の臭いを撒き散らしつつ現れたときは最初は吃驚し、そして最初の感想に至ったわけである。


 起きた彼女を着替えさせて食事を食べさせた時などはこの子の正体がなんとなく掴めてはきていた。

黒パンを珍しそうに見ていたし、食事の作法はこの国とは少し違うにしても上品に食べていた。

ランシアはその辺抜けているから気づいてないだろうが・・・。

そして質問タイムにと移ったのだが問題が発生した。

お互い意思疎通ができなかったのである。

ランシアは「尋問はまかせろ」と言って口を挟ましてくれなかったが、一応騎士としての公務なのだからしかたなく了承した。

しっかしランシアは尋問が下手というか、基礎がなってない。

どうも見ている分にはなんらかのジェスチャーをしていることからして、こちらの言葉はわかっているが相手が喋れないんだろうと薄々気付いたが、ランシアはまず名前すら聞いてなかった。最初に聞かなくてどうすると。

たしかに年頃のお嬢さんは名前を人に教えないほうが良いし、男は聞かないほうが良い、という習慣があるのだが尋問で聞かなくてどうするのだと。

そんなぐっだぐだな尋問であった。

馬鹿で間抜けなランシアがお手上げポーズを取ると、彼女もお手上げポーズをしていた。

・・・。彼女も馬鹿で間抜けで脳たりんなランシアにお手上げだったのであろう。ちょっと疲れた表情でお手上げポーズをしていた。どうやらお手上げポーズは共通らしい。

そんなポーズで疲れた表情、そしてこちらを見てやんわり笑っている姿を見て私のあるであろう母性本能が急激にくすぐられてから彼女の評価を美人さんから可愛くて賢い妹として急激にランクアップを果たしたのである。


 さてさて、なぜか泣いてしまった義妹を(さっそくだが)部屋に連れて、さっさとランシアを追い出して一息ついたところである。

「あー。荷物無さそうだから買いにいかないとねぇ・・・。」

と、独り言を零していたところ、彼女を寝かせて置いた部屋からガタガタッ!と物騒な音が聞こえてきた。

前回と比べてやたらと地の文が多いのはランシア君が回りをよく見てないのが関係しています。

主人公の影が薄いといかまだ本編で喋っていませんね・・・。

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