表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻獣ぱれっと!  作者: 橘 猫音
旅立ち(顔見世的なとかいっちゃダメ)
24/26

初任務:内容報告

「ふぁぁ…鳴葉さん、ユー連れてきましたよ」


鳴葉さんは、さっきと変わらず、窓際でゆっくりとコーヒーを飲んでいた


というか啜っていた。


「ん、ご苦労」


目だけを此方に向け、コーヒーから口を離し、鳴葉さん。


「さて、それでは早速だが。今回、正式にギルド本部のネームリストに名前が入ったシュウと、ユーに、任務の依頼を受け持って貰う事にした。」


おお…朝っぱらからなんの話かと思えば…仕事の話だったとは


ユーは喜んで居るようだが、俺の方は…


「あの…ユーは兎も角…俺はちょっと…」


「ん…その『ちょっと…』はどういう意味なのだ? もし『断りたい』と、そういう意味なのであれば、『何故シュウはギルドに入ったのか』という疑問がふわふわと浮かんでくるのだが」


おお…積んだか…


まさかここで「俺は自分では登録手続きしてないぜ」なんて言い訳…出来る()()も勇気もなく、


「はぁ…で、標的(ターゲット)は何ですか?」


つい気迫に負け、引いてしまった。やはり俺はこういう所が弱いらしい


()(コウ)(ケイ)だ」


『翠苔蟲』=仮にも境獣扱いだが、人畜無害のスライムっぽい不思議生物


「あー やっぱり俺、今回は降りさせて頂きますとご丁寧にお断りする事すら無意味な気がしてきた」


俺はそんな不思議生物の相手をする為このギルドに入ったのではない! とだけは断言できる気がする。


冗談だって、と、明らかに『コイツ冗談通じないタチか…』と、そんな意の苦笑いを浮かべて、鳴葉さんが一言。


「…いっときますけど、俺だって冗談位は通じますからね。勘違いしないで下さいよ?」


「空音が御前の事大好きだ結婚したい、一緒に寝たいって言ってたぞ」


「マジですか。 ちょっと今からギルドの本部まで用事できたんで行ってきます」


「通じないじゃん」


「あ…」


ちょっと今…っていうか本気で明日に向かって走り出しそうになってた俺っていったい…


「全く…冗談が過ぎますよ。鳴葉さん」


「冗談通じるって言ってたじゃん」


「ある程度なら通じますよ、でも過ぎるって言ってるんです」


「私は御前の事が大好きだ結婚したい、一緒に寝たい」


「マジですか。 キスしてもいいですか頭撫でていいですか? さあ今からベッドに行きましょう」


「通じないじゃねぇか」


「あ…」


ちょっと今…っていうか本気で椅子を立って鳴葉さんのクールな外角を引きはがして幼気な姿を晒させちゃおっかなとか思ってた俺っていったい…


「鳴葉さん、シュウにぃ? バカやってないで話戻そうよ」


おお…そうだった。


ユーの一言で呪縛から抜け出し、現実に戻る事の出来た俺は


「そうですよ…全く鳴葉さんは…で? 実際は何がターゲットですか?」


ふむ、そうだな と鳴葉さん。


「今回のターゲットはライルバイソアだ。」


ふむ、どうやら之は本当の事らしい


『ライルバイソア』忍者が妖術で呼び出すみたいな、クソでかいガマガエルみたいな奴


まぁ敢えてランク付けするなら中の下くらい。


『討伐』なら鳴葉さん独りで余裕に狩れる程度の境獣だが、飽く迄目的は『転生』なのだから、独りでは少々キツい所があるのだろう


「ライルバイソアですか…なら毒消しとか持ってかないとですね」


ああ、そうだな。と鳴葉さん。 毒吐くの? うへーこわー とユー


ライルバイソアは確か毒も吐いた気がする。(しか)もガス状の、余計タチが悪い。


「さて、記念すべき諸君の初任務には、私とリリシェが同行する。実行日は明日。諸君らも準備を怠らないように」


そう言って、鳴葉さんは、空のコーヒーカップを窓の淵に置き、ドアを開けて出ていった。


鳴葉さんの、命令口調に何処か憎めない所があるのは、なんだろう


いざというときの心地よい支配感というかリーダーシップが原因なのだろう。


そんなことを考えて居と、暫く遅れて、『明日』という期限が入っていた事に気付く


「明日…明日? マジかよ、ユー、解毒薬とか買い行かなきゃいけないから俺は市場行くけど、付いてくるか?」


そう声をかけると、「いくー」とユー。


ふぅ、まぁシェンドと鳴葉さんが一緒なら大丈夫だろ


と、些かの緊張感も覚えずに俺とユーは、街の中心に並ぶ、市場に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ