猫拳:猫刀、空中でジャンプ!
「そう、基本姿勢は頭を垂れて威嚇する様な蛇を模した姿勢だ。」
左腕を蛇の胴体の様に見せ、右腕をその手先にのせ、手先を曲げ、蛇を模した構えをとる。
鳴葉さんが明らかに東国の拳法のような構えで見本を見せる。
ユーも頑張っているようだが、何処か鳴葉さんの様に『近付いたらかみ殺す。近付か無くてもこっちから近づいてかみ殺す』的な怖いオーラは出ておらず、イマイチ迫力がない 。
「そう、その姿勢のまま…右手を後ろに引いて、相手をつかんでそのまま皮膚を引き裂くように手を引く」
ひゅっ とユーが鳴葉さんの動きを真似する。
「あー…それは、猫だな」
だがどう見てもユーのそれは『猫』そのものだった。
「…猫ですね」
行動そのものは鳴葉さんと全く同じなのだが、鳴葉さんの引手は腕にまともに食い込んだらそのままちぎれて持っていかれそうなのだが、それに比べて明らかに威力も無いように見える。
もう一回 と言って右手を出した瞬間
「はおっ?」
ぽんっと黒猫になり、くるりと回って3メートル程先に着地した。
「おいおい…それじゃあ猫そのものじゃねーか」
最早あれでは威力も何もないだろう…
「はうっ 不可抗力だよ! 不可抗力!」
そう言っていつもの姿に戻るユー
なんの不可抗力だよ…
あ… 横で鳴葉さんがふるふると震えている。
んでもって…なんか複雑な表情をしている。
嗚呼、鳴葉さんもユーが巫山戯ていると判断したんですね分かります…
鳴葉さんの口が開き… 罵声が――――――
「そっ…その移動する為の無から発生する運動エネルギーはコントロール出来るのか?」
へ? 少々はしゃぐような口調で告げる鳴葉さん
「みっ 見たところそれは進行方向に発生するエネルギーらしいなっ おお! 之はいいぞ! 一定時間で瞬間的にエネルギーを発生させられるのだな!」
えっと…怒ってない…? 何を話しているか分からずぽかんとする俺とユー
「解らないのか? 少し訓練すれば… 立派な戦力になって特殊な能力を活かして戦闘に参加出来るって事だよ!」
え――――――――
―――――――――――3日後
ぴょんっ ぴょんっ
「えいっ!」
掛け声と共に降りおろされた刀に引き裂かれ ぐしゃり と、3メートル程の高さまである藁人形が真二つに切れる。
「うわぁ…」
ユーは自分の身の丈程の小型の刀を鳴葉さんから渡され、すっかり使いこなせるようになっていた。
「ふふん♪ すごいでしょぉ」
上機嫌だ。
更に、ユーは空中で変化する事によるエネルギーの発生を利用した、空中ジャンプ的な移動ができるようになっていた。
まぁ鳴葉さんも上機嫌だし、ユーも上機嫌。
それはいいのだが、やはり戦闘に参加させるのは少々心配だ。
まぁ…ざっくり、実際俺より多分強くなってる訳だし、大丈夫だろ。
それに何より…
――――――――今日はユーは白とみずいろの縞パンをはいている。
空中でぴょんぴょんやってるワンピースのユーを下から見守るのは…
最高に幸せだ…♪