酒盛り2:ろりーたDay
「おーい鳴葉~? お客さん殴ったら駄目だからねー クスクス」
空音さんが、ギルドの仲間に手を上げるゴスロリ鳴葉さんに声をかける。
因みに『クスクス』は抑え笑いではなく、地声で『クスクス』と言っている。
「うっ…五月蝿いっ ああもう…」
顔を赤く染たままちょっと邪険になっている鳴葉さん。酒の影響ではなく、羞恥で火照った肌が相まって、ゴスロリ服が余計に愛らしく見えるが、それは口にはださない。俺の命が危険だから
「ねぇ鳴葉ぁ? ふふっ、もう一回勝負しない?(笑)」
ねぇ鳴葉と空音さんから声をかけられた瞬間『グルルルル』と野生本能剥き出しで威嚇していた鳴葉さんが「む…」と不審そうに空音さんを見る。
「勝負…私に課せられるリスクとメリットはなんだ?」
これ以上私にどんな辱しめを受けさせる気だ? とばかりに親の敵の様に空音さんを睨む鳴葉さん。
「んーっとね、じゃあそうだな~、空音が勝ったら鳴葉はそうだな~、之から一週間猫語でメイド風に話すけど、鳴葉が勝ったら…んー…なんでも一つ言うこと聞いてあげる(笑)」
そういつものニコニコとした笑みを浮かべる空音さんだが、少々邪悪味を帯びているのはきっと電灯の光が反射しているだけだと信じたい。
「断る。私は猫語でメイド風に話さねばならんのだ。」
「んーじゃあやってくれたら無条件で空音も今日はコレ来て一緒にウェイトレス手伝って上げるから(笑)」
と言い、スイートロリータ、通称甘ロリ(真っ白なロリ服)を何処からか、物理法則を無視してとりだす空音さん。 自分の存在が少々中和される事を理解したのかとたんに受けてたった鳴葉さん。
―――――――此処に二人の戦いが再度繰り広げられる。
と言ってもこれは過大表現だが、勝負の内容は鳴葉さんが『親(壷振り)』でやるちんちろりん、つまり『丁半博打』だ。
「それじゃあ…ふるぞ。」
空音さんが用意した縦横1m位の畳の上で、これまた空音さんが用意した笹で編まれた壷で賽をふる。
張り詰めた空気が流れる……が、残念ながら二人の格好がどちらもロリ服なのでイマイチ臨場感はでない。寧ろ何やらちょこんと…ダメだ、笑ったら殺される…!
コツン、カラリ、と音がして、賽が壷にいれられ―――――――
「丁か半か!」
鳴葉さんの声が響く。
空音さんはいつもの語り口調で「丁」と一言告げる。
再び緊迫した空気が流れ…壷がゆっくりの鳴葉さんの手によって開き、周囲の視界に入った賽は
―――――――― 1―1 ピンゾロの丁
鳴葉さんがうめき声と共に項垂れるのと同時に、空音さんは小さくガッツポーズをした。
それから色々ゴタゴタがあったが、何はともあれ…
…15分後
「ごっ…ご主人サマ… ご注文の品…お持ちしました…にゃぁ…ッ」
恥じらいながら言う、何時もと違う鳴葉さんをギルドの面々、男も女もそれぞれ非常に楽しんでいた。
毎度毎度、この人達が酒盛りをすると、穏便に収まらないが…それはそれで、
俺は今までにないくらい最高に楽しい酒盛りだと思えた。
―――――――鳴葉さんが、1週間しっかり猫メイド語を話し通したのも、
空音さんがサイコロがグラ賽(イカサマ用のサイコロ)だと笑顔で打ち明けたのも
また別の話(笑