表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻獣ぱれっと!  作者: 橘 猫音
旅立ち(顔見世的なとかいっちゃダメ)
14/26

クリスマス:リボンとえっちな発想の『ティファレト』さん

「『リリーム=バルシェンド』…!!なぜ貴様が…!」


シェンド…! どうやら、俺は『死神』に助けられたらしい。


少々驚いた様子の『ローブの男』あらため『アジ・ダハーカ』


「覚えててくれたんだな。まぁなんつーか…理由を話せば長くなる。」


でもな… と続け、言った。


「ゴキブリを殺す理由なんざ、『天気が良いから』で十分だ。つーわけで『地獄に還れ』。」


体に力をが入らず、身を起こせないので状況は解らない。


「待て、はやま」


『アジ・ダハーカ』にそのさきの言葉は無かった。


コロリ とドクロに皮だけを張ったような、不気味な首が、俺の横に転がってくる。


相当不気味だ。


…沈黙


「ギャハハハ!!俺がこれくらいで死ぬと思うか!? 思ったか!? 思ったかァ?『リリーム=バルシェンド』!!!」


突然生首の口が開き、鼓膜が破れそうな位の大声で叫ぶ。


「ほら離れろよ? 離れねぇとこの女殺すぞォ? オラ離れろやァッ!!」


正直言って、うるさいからもうちょっと静かに話して欲しい。


右横に気配。どうやらシェンドが移動したらしい。


「そういえばお前からは『神麻大戦』で殺されたんだったなァ? 太古から大悪魔として君臨してたんだぜ俺ァ! てめェから容易く殺された時ァ悔しくてたまんなかったよ!」


突然昔話を始める生首


「あれから俺ァ、『悪魔長』様から認められるまで! 認められるまで戦果を立てて! やっとの事で!『身が分かれても死なない』力を貰い受けたんだぜェ!?」


黙って聞いていたシェンドが口を開く


「『身が分かれても』ね。」


「なんだ? 火の魔法でも使って体を焼こうってかァ? 俺の周りには結界が張られてんだよバアァァカ! ギャハハハハ」


うるさいからもうちょっと音量を下げて欲しい。


「そんな野暮なマネしねぇよ。なぁ『アルエ』?」


「勿論、『魔法』なんて、ねぇ? ふふっ」


背後から声、どうやら、後ろには『天才』の乗った『マシン』がいるようだ。


「そのデカブツで俺を焼こうってかァ? 甘いね! 撃ったら殺す! 弾が届く前にそこの女を殺すぞ!」


そうだった…あちらには人質が居るんだった。


「ところでなんだが、お前頭だけじゃ動けないのか?」


突然シェンドが言う。 なんだその質問…


「動けねぇさ こっからじゃ見えねぇが、俺の杖先はしっかり女の首元に有るぜェ!? 感覚で分かるんだよ感覚でェ!」


「なら安心だな」


「?」


生首が疑問詞を浮かべる。


痛みも引いてきた。俺が身を起こすと


視線の先には、「涙目のまま、口を釣り上げた、空音さん」が頬を赤く染ていた。


「オラ、テメェの死角だよ。『アジ=ダハーカ』」


シェンドの声と共に、開いた空音さんの桜色の唇の合間から、朱色の焔が吹きでる。


「ぇ…? 熱ッ… うァ… あ…」


現状が分かっていない様子の生首、きっと自分の様子が見えていない彼には、痛みだけが伝わっているのだろう。


「『消えろ』」


ギャアァアァァァアッ!!


シェンドの声と、生首の悲鳴が重なる。


長く続いた悲鳴。 一分程続いた悲鳴が、「ウゥ…」と言って途切れる頃には、『アジ=ダハーカ』の胴体は、すでに焼けスミとなっていた。


どうやらコイツが最後の悪魔だったらしい。皆は既に帰っていて、悪魔の残骸だけが転がっていた。


「シェンド、アルエ、助かった。」


いや、本当に助かった。


「ほらさっさと立てよ。もうすぐ9時だ。 帰るぞ」


そう言って『世界樹』の方に歩きだすシェンド


すっかり痛みはとれた。立ち上がり、空音さんに行きましょう、と声を掛け、二人を追いかける。


数分ゆっくりと歩き、『世界樹』に到着すると


うぉぉぉっと歓声が上がる。なんか照れくさいな…


数人が木の根元で倒れている。 数人は顔など、所どころを血で染めている。


どうやら死者や負傷者は出てしまったらしい…


「無事で良かった。お帰り。」


鳴葉さんが笑顔で迎えてくれた。心が癒される。


「シュウにぃ… お帰りなんだよ…」


ユーも先に帰って居たらしい。涙目な所を見ると、本気で心配していてくれたらしい。


「只今ですよ。鳴葉さんもユーも無事だったんですね。でも…何人か、死んじゃったんですね…」


「?」と疑問詞を浮かべ、後ろを振り向く鳴葉さん。


「あれ…? 確か誰も死者は出ていないハズなのだが…? きっと疲れて寝てしまっただけだろう。付いている血は返り血ではないだろうか?」


どうやら、彼らを殺害したのは鳴葉さんのようだ。俺は血の量が多いようで、気絶はしなかったが…


どうした? さっきまでは大丈夫だったのに… まさかステルスの悪魔がまだ居るのか? と顔に血を滴らせる俺を本気で心配してくれる鳴葉さん。心配してくれるのは嬉しいんだが…


「鳴葉さん… あの… なんていうか… 弓の装飾が引っかかって… ワイルドチャームのスカートがめくれてます…。」


鳴葉さんの後ろに背負って居る弓には、くるりと巻いた様な装飾が施されている。それが引っかかって捲れた鳴葉さんの本来なら隠れて居るハズの場所には、『ピンクと白のしまもよう」が覗いていた。


「え? あ… おおおっ…お前らッ わっ…私に欲情して鼻血を出したのかッ…!?」


自分の後ろを覗き、顔を真っ赤に染めて、叫ぶ鳴葉さん。


でへらと顔をニヤつかせる面々。空音さんも「うふふ」と微笑んで見ている。鳴葉さん怒っても可愛いよなぁ…


「お前らッ ええい! 覚悟しろよッ」


鳴葉さんが叫んだ瞬間、パァ…と『生命樹』が輝く。


おぉ…何か起こるのか…!?


輝き…元に戻った。


えぇ~? と上がる不満の声。


『…んー、皆護衛有難う、無事精霊化を遂げる事ができたよ~』


上から聞こえる様な澄んだ声、だが上を見上げても何もない。どこから聞こえてんだ?


ざわついて周りを見渡す面々


『ここだよココ …っていっても見えないか、ちょっとそこのお嬢さん?』


お嬢さんとは誰の事をさしているのか? まぁ少なくとも俺じゃねぇけど


『そこの碧のお嬢さんだよ、なんだ、このままじゃ私の事見えないみたいだから、「転生」かけてくれる?』


軽い口どりで言う声。おいおい、転生したらもう戻れないのしってんのか?


「解りました、では…」


転生陣を書き始める鳴葉さん。マジかよ。


『おいおい、反心転生じゃ私が悪い心な人になっちゃうぞ』


いい人なんですね、解ります。


「はぁ、でも私、これ以外方陣かけませんよ?」


「あ、俺書けます。」


つい名乗りを上げる


『おっ? じゃあそこの君、木の周りに方陣を書いてね。』


しゃーなし。ゆっくり木の周りに円を書き、中に文様を書き入れる。


「境獣の身の入、姿を纏いし魂達よ、身の代を変え、悪行を不服せよ!」


光が木を包む。


抑えるような喘ぎ声、叫び声、その他諸々が聞こえる。


光が消えると、そこには


ネイティブな金髪の美少女が、リボン一本だけを身に纏い、座っていた。


…『死亡者多数』


ぐは…俺…血が多くて良かった。


目を手で覆う鳴葉さん。 うふふ、とニコニコ見守る空音さん おぉ~、と歓声を上げるユー


「…うん、メリークリスマス! 無事転生出来たね。 皆ありがと!」


リボン(仮名)が言う。


「じゃー皆ありがとー。じゃっ、私もう行くね~」


よっと、と言って立ち上がり、歩き出すリボン(仮名)


うわ…あっさり…


「…クリスマスプレゼントは?」


生き残っていた男性のうち一人が言う。


うわ…よくぞ恥ずかし気もなく言えるな…


「え~…クリスマスプレゼントぉ? 困ったなぁ…私なんにももってないんだよね~、そこに成ってる禁断の果実でも食べる? この世界から追放されるけど」


食わねぇよ


「いや…いいっす…」


「んー困ったなぁ…じゃあしょうがない、トッテオキがあるんだ~。ふふふ、『トッテオキ』…あげちゃう♪」


あるなら先に言えよってね。


「はい、あげる♪」


「…はい?」


笑顔で言うリボン(仮名) まさか笑顔がプレゼントとかそんなベタな台詞いうんじゃ…


「解んない? だーかーらー…」


だから…? むっとしてから俯いて、ちょっと顔を赤く染める


「あぁもうっ、誰もわかんないの? 之言うのちょっと恥ずかしいんだよね… ほら、だって私ほら、行く宛とかないし? ね? 解んない?」


さっぱり解らない、何をいっているんだこの娘は…?


「もう! 鈍感な人たちだな… だから上げるってほら… 『わ・た・し』…プレゼントにあげるから連れてって!」


…『生存者微数』


生きていた連中も鼻血を吹いてぶっ倒れた。


「わ、分かった。 お前は私達の仲間になるというのだな? 分かった…連れていってやるから早くその破廉恥な格好をやめなさいっ」


鳴葉さんがいう。


「え、えへへ…でも私これ以外もってないんだよね~、服」


マジかよ まぁ、そうか…


「ま、まぁいい、皆、早く街に帰るぞ! 宴の準備だ!」


と鳴葉さんは勇むが、皆死んでいる。


「はぁ…まったく…破廉恥な連中だ… そいつらは置いて帰るぞ、その内来るだろう。」


「そ、そうですね。後で帰って来るハズ…はは。」


まぁ…大丈夫だろ… 大丈夫なハズ


「さて、今夜は聖夜祭だ! 皆で盛り上がろうぞ!」


おぉー! 一部の声は上がるが、イマイチ盛り上がらない。


やっぱり…モブキャラって大事だなぁ…


改めて実感した。


まぁ今夜も、聖夜を楽しもう!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ