彼は
彼は、
穏やかだった。優しかった。
だからこそ気になったのだ。
よく私に
「君は強い子だね。」
と、言うのだった。
私は、よく日向ぼっこをするのが好きだった。
その日も、いつもの場所で日向ぼっこをしていた。
「屋上からだと、星に近くなれるから大好きなんだ。でもその上は、もっと星に近くなれるね!」
声がした。
どうも。
適当に返した。
「そのタンクの上、僕も登っていい?」
嫌よ。
だってここは、私の場所なの。
そう言いたかった。だけど、初対面にそんなこと言えるわけない。
数秒後には彼が隣に居た。
「太陽ってすごいよね。あんなに輝けるなんてね。」
そうだね。
適当に返す。
「恒星っていいよね?自分で輝けるから・・・・」
そう言って彼は、遠くを見つめた。
「僕も、輝きたいなあ。自分で。」
そう言って、タンクの上から降りた。
え・・・
思わず声が出た。
「あぁ。ごめんごめん。そろそろ帰らなきゃ。君は、其処にいるの?」
うん。
笑顔が眩しかった。
私の顔が、熱くなっていく。
「ごめんね。君の場所だったのにね。」
そう言って、彼は踵を返した。
「まって」
私でもなんで引き止めたか分からなかった。
「あなたは、十分輝いてるよ・・・!」
彼は、目を丸くして、それからしばらくしてぷっと吹き出した。
「ありがとう。」
恒星。
私もあなたのように、輝きたかった。