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血に名を与えたこの世界で  作者: 錦 美和
境界線の内側

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第13話 朝飯の約束

「なぁ虎汰!お前の朱式術見せろよー!」

「しょーがねぇな、よーく見てろよ?火溶冷高かようれいこう!」


白髪の少年にせがまれ、虎汰は朱式術を唱え、手から刀を生成した。


「うぉぉお!やっぱ綺麗だなお前が作った刀!」


触っただけで切れそうな程薄い刃先を、白髪の少年はキラキラとした目で見ていた。


「でも1本作るのにすげぇ時間かかるからなぁ…父さんだったら無詠唱で沢山の刀を一瞬で作りだせんのに、俺なんて術唱えた上で1本の刀作るのに3分もかかるんだぜ?

そりゃあ父さんも呆れて家帰ってこねぇわな!」


虎汰はヘラヘラとしている。


「無詠唱はそもそも成人越えねぇと()()()()()()なんだろ?じゃあお前が無詠唱で刀が作れるかどうかは分かんねぇじゃん」

「まぁ、そうだけど…でも少なくとも1本に3分もかかってるようじゃダメだろ」


虎汰はドカッと胡坐をかいて座り、白髪の青年と同じ視線の高さになる。


「でも、俺の刀は父さんの刀より切れ味いいと思ってる」


虎汰はニヤァと笑いながら白髪の青年に人差し指を向けた。


「俺もおんなじこと思ってた」


白髪の青年もニヤァと笑った。


「やっぱお前なら分かってくれると思ったわ!ありがとな!あけび!」


ジリリリリリリリリ


虎汰はけたたましく鳴り響く目覚まし時計を止め、のそのそとベッドから起きあがった。


朝の身支度を簡単に済ませ、十薬からもらった薬を飲む。


「これ飲んでから体調が良い…気がするな…」


虎汰は自室を出て、集合時間より30分早くエントランスに到着した。


エントランス横にあるソファに座り、スマホを起動し時間をつぶす。


「印血」


術を唱えるとスマートフォンが起動し、様々なアイコンが並ぶ画面へ移管いかんした。


「悠久学舎に入学する前に使ってたスマホとあんまり違いねぇのかな…」


ポチポチと見慣れたアイコンを開いては閉じてを繰り返していると

昨日見た寮の鍵を開けるアプリとは別に、見たことのないアイコンがあった。


「なんだこの注射のマーク…」


恐る恐るアイコンをタップしたが、アプリは起動しなかった。


「早いな、刀刃。」


ふと顔をあげると、相変わらず目付きの鋭い玻璃田が目の前に立っていた。


「お前も早いだろ。まだ6時45分じゃねぇか。」


虎汰はスマートフォンに表示されている時計を見る。


「昨日はよく眠れたか?」

「あぁ、お前が作ってくれた焼うどんで腹いっぱいになったからか、よく眠れたよ。ありがとうな。」


刀刃はニッと笑った。


2人がソファで話していると、1人の少女が話しかけてきた。


「あ…えっと…おはよう…」


少女は長い髪の毛を揺らつかせ、前髪の隙間からオドオドとした表情がちらっと見える。


「あー…えっと…」


虎汰は少女の顔を見て名前を思い出そうとする。


「酵全さん。だったな。堺校長に質問をしていた。俺は玻璃田だ。よろしく頼む。」

「あっ…!はい!酵全こうぜん 有奈ゆなです…!よろしくね…!」


玻璃田と酵全は握手を交わす。


「すまん…名前がスッと出てこなくて…」

「い、いえ…!私あまり目立たなくて…刀刃君だよね…よろしくね…!」


酵全は前髪の隙間からニコッと優しく微笑んだ。


「あぁ、よろしくな酵全さん。」


虎汰も酵全と握手を交わす。


「2人は誰かを待ってるの?」

「あぁ、錫成を待っている。7時にここへ集合して朝ごはんを食べる約束をしていてな。酵全さんも誰かと約束をしているのか?」

「あ…うん。穀実こくみちゃんと健造けんぞう3人で朝ごはん食べようって約束してて…」


3人がワイワイと話していると、後ろから男の賑やかな声が聞こえてくる。


「おーい!」


錫成はソファに座る虎汰と玻璃田を見つけ、駆け寄ってくる。

隣には15歳とは思えない程高身長かつ筋骨隆々で、髪色が頭頂部が紫、毛先にかけて赤色というパンチの聞いた青年が歩いている。


「おう!有奈!待たせたな!」


筋骨隆々な青年が、大きな手を酵全に向けて振っている。


「なぁなぁ刀刃、玻璃田、こいつ菌誠きんせいっていうんだけどめちゃくちゃ面白いやつでさ、もしよかったら菌誠達とも一緒に朝ごはん食いにいかね?!」


錫成は菌誠の背中をバシバシと叩いている。


「あぁ、俺は構わねぇよ」

「無論、俺も構わないが酵全さんともう1人はいいのか?」


玻璃田がちらっと酵全を見る。


「あっ…うん!私は全然大丈夫…!穀実ちゃんも多分大丈夫だと思うけど…」


酵全がチラッとエントランスにある時計を見ると、時刻は7時を過ぎていた。


「ちょ、ちょっと私穀実ちゃんのお部屋見てくる…!」


酵全はパタパタと走ってエレベーターホールへ向かっていった。


10分程すると、エレベーターホールから酵全と一緒にベージュ色の髪をしたショートカットの少女が走りながら虎汰達に向かって走ってくる。


「遅れたっすー!!」


少女はヒィッという表情をしている。


「ご、ごめんなさいっす…」


ぜーはーと肩で息をしながら、おでこの汗をぬぐう。


「あ…あたしは粉粒こりゅう 穀実こくみって言うっす!よろしくっす!!」


粉粒はじんわりと汗をかいた顔で、ニコーっと満面の笑みで挨拶をした。


6人はワイワイとしゃべりながら寮を出た。

虎汰が空を見上げると、朝日がまぶしく、空はすがすがしい程綺麗な青色をしている。


「空気が綺麗だな。」


虎汰は肺いっぱいに空気を吸い込み、微笑みながらつぶやいた。


「あぁ、こんな綺麗な空気が吸えるとは思っていなかった。」


隣を歩く玻璃田も大きく息を吸った。


「最初、学校はあのでけぇ鉄の扉の中にあるもんだと思ってたからな。綺麗な空気なんてしばらく吸えねぇかもって諦めてたからな。」

「ははっ、確かにそうだな。しかも中に入ったらただの平野だったというのはかなり驚いた。」

「俺も、たまたま雨宮と外で会って一緒に登校したんだが、だだっ広い平野に鳴地先生と雨宮がぽつんと立ってたのを見た時は思考回路が停止してたわ…」

「雨宮と一緒に登校…?」

「あぁ、俺もまさか誰かと登校が被るとは思っていなかったから驚いたんだけどな。」

「刀刃の学区と雨宮の学区が近かったとかか…?」

「俺の周りの学区は大体どこもモノづくり系が多いから、呪術型の雨宮が近いとは思えねぇんだけどなぁ…」


2人はうーんと唸りながら考え歩いていると、駅に着いた。


駅に着くと、虎汰達とは少し離れた場所に真っ黒な髪の毛をした青年が立っていた。


「もしかして先輩じゃねぇか?1号棟の…」


5人が話をしていると、青年がこちらに気が付きペコっと会釈をした。

5人は「おはようございます」と挨拶をし、会釈を返した。


プァァァン


大きな汽笛が聞こえ、ホームに列車が入ってきた。

5人は電車に乗り込んだ。


電車には何人か人が乗っている。


「この時間でも意外と乗ってるんだな」


虎汰がつぶやくと、電車のドアが閉まり発車した。


(朝飯何食おうかな…)

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