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短編集(道具箱)  作者: 天笠唐衣


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短編集1

https://49829.mitemin.net/i1095282/

【フランスの街角での小さな冒険】

 石畳を歩きながら、ふと路地の奥に小さな扉を見つけた。

「何だろう…?」と思いながら、思い切って押してみると、中には古い本屋があった。


 木の香りが漂う店内には、埃をかぶった古書が並び、窓から夕暮れの光が差し込んでいる。

 小さな椅子に腰かけ、手に取った一冊をめくると、ページの間に挟まれた手紙が出てきた。

 フランス語で書かれた文字に指を滑らせながら、遠い時代の誰かと心がつながるような気がした。




【フィンランドの湖畔でのちょっとした冒険】

 湖沿いを自転車で進んでいると、木々の間に小さな小屋を見つけた。

 扉を開けると、木の香りと薪ストーブの温かさが迎えてくれる。

 中には、地元の人が描いた湖や森の絵が飾られていて、自然の豊かさに触れることができた。


「誰もいないのに、なんだか歓迎されてるみたい…」

 思わず笑みがこぼれ、自然と人の温かさを同時に感じる不思議な時間を味わった。




【MOON】

 ここはイギリス。出張の合間の夜。

 月を見ながらビールを飲む。

 何時間後。

 君も同じ月を見るんだろうか――

 などと思いを馳せながら味わうビールは、ほんのりほろ苦かった。




【満天の星空】

 山奥の人里離れたキャンプ場に一人で来ていた。

 手慣れた手つきでテントを張る。周りはシーズンオフで誰もいない――貸切だ。

 暖かいスープとパン、茹でたソーセージ。体が温まり、ホッとする。

 空を見上げると、小さい星まで空一面まぶしたように星が重なっていた。

 満天の星を見ながら飲むホットココアに身も心も癒された。




【白い模様】

 夏の浜辺。

 太陽に照らされた波が砂を軽く撫で、透明な泡を残してすぐに引く。

 

 彼女は裸足で波打ち際に立ち、ぬるい水の感触に思わず笑みをこぼした。

 潮の香りが鼻をくすぐり、白い波が砂に淡い模様を描くたび、指先に伝わる夏の海のぬるさが、どこか遠い記憶のように心をくすぐった。




【青い孤独】

 宇宙ステーションの外。

 青い地球が遠くに浮かび、太陽光に照らされて鮮やかに輝いている。

 彼は安全ロープに体を固定しながら、慎重に機材を扱った。

 微かな手の震えと、心臓が高鳴る鼓動を感じる──もし少しでもバランスを崩せば、あの無限の闇に放り出されてしまう。


 わずかな振動が体を伝い、手元の機材もかすかに揺れる。息を整え、視界の端に映る青い地球を意識しながら、彼はゆっくり次の作業に手を伸ばした。

 緊張と、なぜか湧き上がる畏敬の念が同時に体を支配する。


掌編をまとめました。

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