表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/30

統一組織案をぶち上げた日

「同志昭夫! 各派閥がまた揉めている!」


「え、昨日は“革命の目”って呼ばれてたのに、今日は“調整役”なの?」


東大構内の一角。学生運動の各グループが、またしても言い争っていた。

「直接行動派」「理論重視派」「文化革命派」――名前だけはカッコいいが、やってることはただの口喧嘩。


「このままじゃ、運動が分裂する!」


美咲が焦っていた。彼女は情熱で突き進むタイプだが、組織運営にはちょっと不向き。

俺は未来知識を持つ転生者。昭和の学生運動が、後にどうなるかを知っている。


「……このままだと、運動は内ゲバで崩壊するぞ」


「な、なんだって!?」


「いや、Wikipediaに書いてあっただけだけど」


「同志昭夫の言葉は、未来の警鐘だ!」


「だからWikipediaだってば!」


俺は考えた。どうすれば、この混乱を防げるか。

そして、思いついた。


「統一組織を作ろう」


「え?」


「各派閥をまとめる“連合体”を作って、意見を調整する。議長制で、定期的に方針を決める。暴力は禁止、議論重視。名前は……“学生統一協議会”とかどう?」


「すごい……それ、未来の政治みたいだ!」


「まあ、令和の自治会の仕組みをちょっとパクっただけだけど」


「同志昭夫、やはり預言者……!」


「いや、だから違うって!」


学生たちはざわついた。

「それなら、俺たちも参加できる!」「意見が通るなら、暴力はいらない!」

空気が変わった。混乱していた運動が、少しずつまとまり始める。


「同志昭夫、あなたが議長を!」


「え、俺が!?」


「当然だ! この案を出したのは同志だ!」


「いや、俺、ただの転生者なんだけど!?」


「転生者議長、誕生だ!」


「なんか、肩書きがどんどん増えてないか!?」


そのとき、玲子が現れた。腕を組み、冷静な目で俺を見ている。


「……あなた、ただの預言者じゃないわね」


「いや、預言者じゃないってば!」


「この統一案、現実的よ。だけど、なぜそんな発想が?」


「えーと……未来の自治会制度を参考にしました」


「未来の……なるほど。あなた、やっぱり面白いわ」


「それ、褒めてる?」


玲子は俺に一歩近づいた。警戒はしているが、興味も持っている。

この人、ツンデレの気配がする。いや、まだ“ツン”しか出てないけど。


「この案、私も協力するわ。父の知人に、教育関係者がいる。制度化の助言をもらえるかもしれない」


「え、マジで? それ、官僚ルートじゃん!」


「別に……あなたのためじゃない。運動のためよ」


「出た、“別に”!」


こうして俺は、学生運動の分裂を防ぐために「統一組織案」をぶち上げ、なぜか議長にされ、玲子の協力まで得ることになった。


「……俺の昭和ライフ、革命の中心になってきたな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ