表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/30

世界が赤く染まった日

「同志昭夫、世界が……動いている!」


「え、また!? 今度はどこ!? 宇宙とかじゃないよね!?」


1975年春。

俺は今、東大構内の中庭――ではなく、国際会議の場にいた。

いや、正確には“学生代表”として招かれた、国際青年フォーラム。

場所は東京。テーマは「未来の社会と平和の構築」。

そして俺は――なぜか基調講演を任されていた。


「……俺、ただの転生者なんだけど!?」


「同志の言葉には、世界を変える力がある!」

美咲が拳を握りしめて言う。いつもの赤ハチマキは、今日はスーツの上に巻かれている。

「革命は、国境を越えるんだ!」


「いや、越えすぎてるよ!?」


玲子は冷静に言った。

「あなたの提言、“静かなる共産化”は、各国の若者に影響を与えている。特に北欧と南米」


「それ、ちょっと怖いんだけど!?」


アナは静かに言った。

「任務だから、各国の反応は把握している。……あなたの言葉は、理想として受け入れられている」


「それ、任務超えてない!?」


真由はカメラ片手にニヤニヤしてる。

「スクープ! “革命の星”、ついに世界を赤く染めるかも!」


「その見出し、国連で怒られそう!」


俺は未来知識を持つ転生者。

Wikipediaで読んだだけの知識を元に、昭和の学生運動をまとめ、政治家に助言し、国際問題に口を出し――

気づけば、世界中の若者が俺の言葉に耳を傾けていた。


「……これ、もしかして、世界が“赤く染まる”って、比喩じゃなくなってきてない?」


壇上に立つ。

目の前には、各国の青年代表たち。

通訳を通じて、俺の言葉が世界に届く。


「皆さん。未来は、変えられます。

暴力ではなく、制度で。対立ではなく、対話で。

そして、格差のない社会は、夢ではありません」


拍手が起こる。

歓声が上がる。

そして――SNSもない時代なのに、なぜか“革命の星”の名前が世界に広がっていく。


「同志昭夫、あなたの提言、国際的に採択されたぞ!」

「え、マジで!? 俺、ただの転生者だよ!?」


「それでも、未来を知る者が、今を変えた!」


玲子が静かに言った。

「あなた、もう“預言者”じゃない。“思想家”よ」


「それ、ちょっと重い!」


アナは目を伏せながら言った。

「任務だから……でも、あなたの言葉に、私も動かされた」


真由はカメラを構えながら笑った。

「スクープ! “革命の星”、ついに世界を赤く染めた日!」


こうして俺は、未来知識を使って、世界に“静かな革命”を広げた。

それは、暴力ではなく制度で。思想ではなく、希望で。

そして――


「……俺の昭和ライフ、ついに世界を変えちゃったかも」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ