恋の爆発寸前
「同志昭夫、今日の演説は“恋愛の自覚と革命の進化”だ!」
「いや、テーマが哲学っぽくなってない!?」
東大構内の中庭。俺は今日も“革命の星”として壇上に立っていた。
でも、今日の俺は――なんか、落ち着かない。いや、むしろ落ち着きすぎてる?
「昭夫くん、今日の髪型、ちょっとキマってるかも〜」
真由がカメラ片手にニヤニヤしてる。
「え、寝癖なんだけど!?」
「スクープ! “革命の星”、恋の予感で髪も乱れるかも!」
「それ、ただの寝坊だから!」
美咲はビラを配りながら、俺をチラチラ見てくる。
「同志! 今日の演説、私が原稿を手伝ったぞ!」
「え、マジで!? ありがとう!」
「同志のためなら、革命も恋も全力だ!」
「いや、今“恋”って言ったよね!?」
玲子は資料を抱えて、冷静に言った。
「あなた、最近視線が定まってないわね。……恋愛の兆候よ」
「それ、官僚の娘が言うと説得力ある!」
アナは喫茶店の隅から静かに言った。
「任務だから、あなたの心理状態も分析している。……恋愛感情、発生中」
「それ、スパイの分析で言われると怖い!」
俺は未来知識を持つ転生者。
昭和の政治、経済、国際情勢――ある程度は語れる。
でも、恋愛だけは無理。Wikipediaにも載ってない。
「……なんか、最近みんなの距離が近い気がする」
美咲は俺の隣でビラを配りながら、真由をチラチラ見てる。
真由は俺に密着しながら、美咲にウインクしてる。
玲子はため息をつきながら、資料を俺に渡してくる。
アナは「任務だから」と言いながら、俺の予定を把握してる。
「……これ、完全に恋愛フラグ立ってるよね?」
「同志、次の演説は“恋の革命”だ!」
「それ、俺が一番苦手なやつ!」
俺は壇上で、マイクを握りながら思った。
「……俺、もしかして、みんなのこと……気になってる?」
その瞬間、頭の中で何かが爆発した。
昭和のラブコメ的演出で、背景に花火が上がった(気がした)。
「同志昭夫、顔が赤いぞ!」
「スクープ! “革命の星”、ついに恋を自覚かも!」
「あなた、やっと気づいたのね」
「任務だから……でも、今だけは応援する」
俺は恋愛に鈍感だった。
でも、今――確実に何かが変わった。
「……俺の昭和ライフ、恋の爆発寸前!」




