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静かなる共産化

「同志昭夫、最近の演説……ちょっと“赤く”ないか?」


「いや、俺、ただ格差の是正を言ってるだけなんだけど!?」


1969年。

高度経済成長の真っ只中、日本は豊かになりつつあった。

だがその裏で、地方と都市、労働者と資本家の格差は広がっていた。


「……このままじゃ、未来の“失われた30年”に突入する」


俺は未来知識を持つ転生者。

昭和の経済がどこでつまずくか、だいたい知っている。

だからこそ、今のうちに“社会主義的な再分配政策”を提言する必要がある。


「同志、まさか……共産化を狙っているのか!?」


「いや、違う! “静かなる共産化”だ!」


「それ、余計に怪しい響きだぞ!」


俺が提案したのは、以下の3つの政策だった:


地方への公共投資の拡大

教育と医療の無償化

労働者への利益分配制度の導入

「これらは、資本主義の中に社会主義的なバランスを取り入れる“ハイブリッド型”だ!」


「……って、説明しても昭和の人たちに通じるのか?」


玲子は資料を読みながら、冷静に言った。


「理論的には整っている。だが、政治的には危険な香りがするわね」


「それ、褒めてる?」


「別に……」


「また“別に”!」


美咲は拳を握りしめて叫んだ。


「同志の提案、私は支持する! 革命は、生活の中にあるんだ!」


「それ、ちょっと名言っぽい!」


真由はカメラを構えながらニヤニヤしてる。


「スクープ! “革命の星”、ついに社会改革に乗り出すかも!」


「やめて! その見出し、国会で取り上げられそう!」


アナは静かに言った。


「任務だから、社会主義的動向には注目している。でも……あなたの提案は、理にかなっている」


「え、今のちょっと褒めた?」


「……任務だから」


「やっぱりか!」


俺の提案は、学生たちの間で静かに広がっていった。

「資本主義の暴走を止めるには、バランスが必要だ」

「未来を知る男の言葉には、重みがある」

「“静かなる共産化”――それは、優しい革命だ」


「……なんか、俺、思想家みたいになってない?」


こうして俺は、未来知識を活かして社会主義的政策の導入を提言した。

それは、暴力ではなく制度で世界を変える“静かな革命”の始まりだった。


「……俺の昭和ライフ、ついに政策提言フェーズに突入か」

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