表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/30

キューバ危機に介入した件

「同志昭夫、アメリカとソ連が戦争寸前らしい!」


「え、ちょっと待って、それって……キューバ危機!?」


1962年10月。

新聞の見出しには「米ソ、緊張高まる」「核戦争の危機」――まさに、歴史の分岐点がやってきた。


「……マジで来たか、世界の運命が変わる瞬間」


俺は未来知識を持つ転生者。

この時代の人間はまだ知らないが、キューバ危機は“核戦争寸前”まで行った事件だ。

そして、ケネディとフルシチョフのギリギリの交渉で、奇跡的に回避された。


「でも、ここで俺が動けば……もっと早く、もっと確実に止められるかもしれない」


「同志、まさか……アメリカとソ連に介入するつもりか!?」


「うん、ちょっと電話してくる」


「軽っ!!」


もちろん、直接電話なんてできるわけがない。

俺が向かったのは、地元局――以前、演説が放送された場所だ。


「すみません、“世界平和特番”ってことで、5分だけ枠もらえませんか?」


「え、また君? “革命の星”の?」


「はい、今回は“世界の星”として来ました」


「肩書き、どんどん増えてない!?」


ラジオ局のスタッフは困惑しながらも、俺の熱意に押されて放送枠をくれた。

そして、俺はマイクの前に立った。


「こちら、東京の学生、武井昭夫です。アメリカとソ連の指導者に伝えたい。今、あなたたちが握っているのは、世界の未来です」


「核戦争は、誰も幸せにしない。対話こそが、未来をつくる」


「……って、これ、届くのか?」


届くわけがない。

でも、俺の言葉は、ラジオを通じて全国に流れた。

そして、新聞記者の真由が記事にし、玲子が外務省の知人に伝え、美咲が学生たちに広め、アナが――


「……ソ連に報告しておいた」


「え、マジで!?」


「任務だから」


「便利すぎるな、その言い訳!」


アナの報告が、どこかでフルシチョフの耳に届いたかもしれない。

玲子のルートが、外務省を通じてアメリカに伝わったかもしれない。


「……結果は、数日後にわかる」


そして――


10月28日。

ソ連がキューバからミサイルを撤去することを発表。

キューバ危機、終結。


「……マジで、止まった」


「同志昭夫、あなたの言葉が、世界を救ったんだ!」


「いや、俺、Wikipediaで読んだだけなんだけど!?」


「それでも、未来を知る者の責任を果たした」


「……俺の昭和ライフ、ついに世界を動かしちゃったな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ