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真由のスクープと恋心

「昭夫くん、今日も革命してる〜?」


「いや、“革命する”って動詞じゃないから!」


東大構内の中庭。俺は今日も“革命の星”として演説を求められていた。

そして、今日も真由がカメラ片手に俺を追いかけてくる。


「スクープ! “革命の星”、今日のテーマは“恋と革命の両立”かも!」


「やめて! その見出し、ラブコメ雑誌に載りそうだから!」


真由は新聞記者志望。好奇心旺盛で、俺の言動を逐一スクープ扱いしてくる。

でも最近、その“取材”がちょっとだけ距離近めになってきてる気がする。


「ねえ昭夫くん、好きなタイプってどんな人?」


「え、急に!? 革命関係ないよね!?」


「いや、革命の中心人物の恋愛事情は、国民的関心事だから!」


「国民って誰!?」


真由は俺の顔をじっと見つめる。

その瞳は、いつもの好奇心とはちょっと違う――なんか、キラキラしてる。


「昭夫くんってさ、未来から来たんでしょ?」


「まあ、転生者だからね。Wikipediaベースだけど」


「じゃあ、未来の恋愛事情も知ってる?」


「えーと……マッチングアプリが流行るよ」


「それ、昭和じゃ使えないじゃん!」


「だから俺、恋愛に関しては昭和仕様なんだよ!」


真由は笑いながら、俺の袖を軽く引っ張る。


「じゃあさ、昭和仕様の恋愛って、どうやって始まるの?」


「え、えーと……喫茶店で告白とか?」


「じゃあ、今ここ喫茶店だよね?」


「え、今!? この流れで!?」


真由は顔を少し赤くしながら、カメラを下ろした。


「昭夫くんのこと、ちょっと気になってるかも」


「え、今の“かも”って、記者の推測じゃなくて本心!?」


「スクープ! “革命の星”、記者に狙われてるかも!」


「自分でスクープすんな!」


そのとき、美咲が遠くからこちらを見ていた。

目がちょっとだけ鋭い。ビラを配る手が止まってる。

玲子は図書館の窓からチラ見してる。アナは喫茶店の隅で静かに観察中。


「……なんか、ヒロイン全員の視線を感じるんだけど」


真由は俺の腕を軽く叩いて、笑った。


「昭夫くんって、ほんと面白いね。未来から来たのに、昭和でモテてるなんて」


「いや、俺、恋愛に鈍感だから!」


「それがまた、いいかも!」


こうして俺は、真由の恋心に気づかされることになった。

スクープの裏に隠れていた感情――それは、好奇心から始まった恋だった。


「……俺の昭和ライフ、恋の取材が本格化してきたな」

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