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アナとの接触

「あなたが……武井昭夫?」


その声は、氷のように冷たく、そして妙に落ち着いていた。

振り返ると、そこには長い黒髪に深いグレーの瞳を持つ女性――アナが立っていた。

スーツ姿に身を包み、まるで映画から抜け出してきたような雰囲気。

昭和の喫茶店には、明らかに浮いている。


「えーと……どちら様?」


「私はアナ。ソ連からの留学生よ。あなたに、少し興味があって」


「……あ、これ絶対スパイだ」


俺の中の警報が鳴り響く。未来知識が告げている。

“この時代、ソ連のスパイは普通にいる”――って、Wikipediaに書いてあった。


「あなた、最近急に注目されているわね。“学生運動のカリスマ”“預言者”“未来の目”……」


「いや、それ全部、勝手に言われてるだけで……」


「未来のことを語る人間は、どの時代でも危険視されるものよ」


「それ、怖いこと言わないで!?」


アナはコーヒーを一口飲み、静かに言った。


「あなたの“未来知識”、本物かどうか、確かめさせてもらうわ」


「え、テストされるの!? また!?」


「任務だから」


「やっぱりスパイじゃん!!」


アナは微笑んだ。だが、その笑みはどこか寂しげだった。


「私は、あなたの知識に興味がある。もし本物なら……利用価値がある」


「利用って、言い方が怖い!」


「でも、もし本当に未来を知っているなら……あなたは、世界を変えられる」


「……それ、俺が一番困ってるやつ!」


アナは俺の目をじっと見つめた。

その瞳には、冷静さと、ほんの少しの揺らぎがあった。


「あなたの言葉、信じるかどうかはまだわからない。でも……私は、あなたを観察する」


「観察って、ペットじゃないんだから!」


「任務だから」


「便利な言い訳だな!」


こうして俺は、ソ連のスパイ・アナにマークされることになった。

彼女の目的は、俺の未来知識。だが、その奥には、まだ見えない何かがある気がした。


「……俺の昭和ライフ、ついに国際スパイ戦に突入かよ」

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