5話『朽ちる記憶は永遠に』
私の目から涙が流れてきた。
自分でも気付けなかった。
なんで泣いてるかもわかんなかった。
「あ……彩ちゃん……泣かないでください……!」
遥華が慰めてくれている。
「うわ〜ん……遥華〜!」
「わ……わっ!」ドサッ
私は遥華に飛び付いた。
遥華は衝動で尻餅をついてしまった。
「あ……彩ちゃ〜ん、大丈夫ですよ……!私たちが付いてます……!」
「ごめんね遥華、私涙脆いんだ」
遥華に抱きつく私を見て凪沙はクスクス笑っている。遥華は頑張って慰めてくれてるようだ。
「行こう」
凪沙は少し笑いながらそう言った。
「うん、そうだね!」
「でも、どこに行こう?」
と私が問うと、凪沙が答える。
「エジプト」
「エ……エジプト!?」
私はビックリして声を上げてしまった。案の定後ろから悲鳴と物音が聞こえた。
「なんでエジプトに!?」
「エジプトに行けって、言われてる気がする」
「でも、どうやってエジプトに?」
ここは日本、エジプトまで行くにはいくらなんでも遠すぎる。
そう考えてると凪沙が答える。
「私達、死なないでしょ」
凪沙の一言に街が静寂に包まれた。
「でも……」
「また見たいんでしょ」
私の中で何が動いた音がした。
それは希望なのか、それとも運命なのか。それは私たちにはわからない。
でも確かに言えることはある。
「また……あの世界を見たい!」
「彩ちゃん……!」
「うん、いいね」
私達の言葉に応えるように、煙が風で吹き飛び、その隙間から太陽の光が溢れ出てきた。
「みんな!エジプトに行こう!」
「い……行こう!」
「うん!」
長い時間歩いて、ようやく開けた場所に来た。どれだけ歩いたのかは分からない。でも、そう単純な旅ではなかった。
「こ……ここ」
遥華が指を刺した。
その先には果てが見えない広大な地面が広がった。
「海……だった場所だね」
「なんでわかるの?」
「土地勘、なんとなく分かる」ドヤァ
凪沙は自身気にそう答えた。
遥華もクスクス笑っていた。
「この海だった場所を渡るってこと?」
「そうだね、私の想定ではユーラシア大陸を渡ってエジプトに行こうと思ってる」
「とても長い旅が始まりそうだね!」
「そ……そうですね……!」
みんな気合十分のようだ!
これから何が待ち受けてるか分からない。何が起こるか分からない。
けれど確かに、それは目標に向かっていっている。