3話『復興の兆し』
ああは言ったものの、やっぱり怖い。
ずっと死ねないのはやっぱり辛いと思う。
でもそう考えちゃだめだ!
私がそんな風に考えてたら遥華と凪沙も不安になっちゃう。
「よし!まず何する?」
「いや決めてなかったのかよ」
そうだった。
何にも考えてなかった。
「じゃあさ、まずこの部屋を見ていこうよ」
凪沙はそう答えた。
確かにこの部屋からあの資料が見つかったし、他にも色々ありそう。
「えっ...えぇ...」
「こ...このくらい部屋で探すんですか...」
やっぱり遥華は臆病だな〜
なんて思いつつ、ライトとかないかな?と探していた。
「うう、わ...私はここで待ってます...」
凪沙と私でこの部屋の奥を探索する、
すると後ろから声が聞こえてきた。
「キャーーーー」
遥華の声だ。
「遥華!?」
そう叫んで勢いよく振り返る。
するとそこには謎の機械が遥華の肩を叩いていた。
「あ...彩ちゃん...」
「遥華!?大丈夫!?」
心配になった。
死なないとわかっていても。
未知なる脅威ほど、怖いものはない。
「う...うん、大丈夫」
「こ...この子、教えてくれてるみたい」
遥華が無事で安心した。
そのまま遥華の元に居る機械を観察する。
すると顔に何かが浮かび上がる。
そこには大柄で白衣を着た男とその秘書の様な人物が映し出されていた。
《聞こえるか?この映像を見ているということは、君たちは無事に目を覚ました様だな。
私は不老不死の最前線研究を行っている吉治だ。
私はいつも悪い方に物事を考えてしまう。だからこのビデオを残した。
もしかしたらもうこの世界は存在しないかもしれない。だから君たちにお願いがある。途方もない事だが
この滅びた世界を復興してほしい。
まだ滅びるかもわからないがね。
詳しい方法はないが君たちならなんとかなると信じている。
多少の装備や道具は用意した。
奥の部屋の棚の中にある。
それじゃあ、健闘を祈る。》
「これは」
「この吉治っていうやつが私たちを...」
この男に怒りが湧いた。
どうしてくれようか。なんてことを考えたがどうせこの男はもう死んでいるのだろう。
「復興ね」
「わっ私たちにそんなことできるの...?」
復興...それもこの星を…
そんなことが可能なのか?
そんな不安もありつつ吉治が話していた奥の部屋へ向かう。
「これかな?」
凪沙が何かを見つけたようだ。
私も見に行った。
そこには棚があり中にはライトやナイフ、マスクや薬数多くの非常用のアイテムがあった。
しかし鍵がかかっているのか開かない。
「ちょっと!鍵かかってるの?」
私は怒りに任せて棚を揺らす。
すると棚が倒れてきた。
「ってえぇ!?」
ガタッ
ギリギリで抑えられた。
「あっ危な〜」
「はぁ、彩は何してるんだか」
といって凪沙は棚を正し、扉を反対側に動かした。
すると開いた。
どうやら私は反対側に扉を開けようとしていたらしい。
「彩ってさ、バカ?」
「あのねぇ...」
私は恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じた。
凪沙は小さく笑っていた。
「まっまあ中身を確認しよっ!」
恥ずかしさを消し飛ばすよう話を変えようとした。
中に入っていたライトはしっかり光るしナイフも新品のままだった。
マスクには「高性能フィルター内蔵」と書かれていて、外の空気がやばいということを改めて実感する。
「これで少しは安全に外に出れるかな」
「うん!そうだね!」
「あ…彩ちゃーん...そろそろ…」
遥華が私を呼んでいる。
そろそろ戻ろう。
そしてこれらのアイテムのことを教えよう。
「遥華!戦利品だよ!」
「あ…彩ちゃん!」
遥華の顔は少し笑顔だった。
私に会えたのが安心したのか、戦利品が嬉しいのか…
「…ていう感じで!」
私はさっきのやり取りを、少し得意げに遥華に伝えた。
「ってことは……外に行くの……?」
遥華の声は、かすかに震えていた。
でもその目は、ほんの少しだけ強さを宿していた。
「うん!い…行こう!」
私は頷いた。
凪沙も無言で、それでも力強く頷いてくれる。
「……よし、準備しよう!」
私たちは、光るライトと、防毒マスクと、わずかな希望を手に取った。