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ソフィア様との再会


「おはよう」


 いつものようにディオン様のお迎えから始まる私の学園生活。


「おはようございます」


 階段から突き落とされ、過去に飛んで戻ってきてから、一ヶ月が経った。

 けれども、ディオン様はこうして迎えにくる。

 心配なんだよと小さい時のディオン様を思い出させる表情で言われると、断れない。

 不気味なくらい女子も私に何も言わなくなったし。


「マギー嬢。今日もおはような」

 

 もちろん車内にはジソエル様もいる。

 ジソエル様はディオン様の隣に住んでいて、幼馴染の関係らしい。

 まあ、私が領地でディオン様に会った時は、まだジソエル様と面識がなかったみたいだけど。

 ちなみに、私が過去でディオン様に会ったとか、そういう話はジソエル様にはしてないみたい。何かあるとは思っているみたい。


「マギーちゃん。おはよう」

「ベルナルド。なんでここにいるんですか?」

「朝の挨拶のためだよ」


 ベルナルド様もなんだか構ってくるようになってしまった。

 彼は私に構うというよりも、ディオン様と話すのが楽しいようだ。

 本当、ベルナルド様、小さい時は大人っぽい子供で落ち着いた感じだったのに。どうしちゃったんだろう。


「マギーちゃん。ソフィアが今週戻ってくるよ。楽しみだね」

「戻ってくるんですか?留学は大丈夫ですか?」

「もちろん。学ぶべきことは習得した後だよ。安心して」

「……邪魔者が増える」

「え?何か言いました?」

「ははは。ディオンったら」

「ソフィア嬢か。ベルナルドに似ているのか?」

「似てるよ。めちゃくちゃ美人。だけど、近づかないでね。私の大切な妹なんだから」


 あ、ちょっとベルナルド様の視線が怖いかも。

 ジソエル様がちょっと引いている。


「わかったよ。わかった。話したい時はお前に許可取るから」

「私は絶対君には許可なんて出さない」

「ひでーな」


 ジソエル様はゲラゲラと笑っている。

 本当彼は明るいよね。


「ん?ディオン様」


 なんかディオン様がじっと私を見ているんだけど?


「なんでもない。教室へ送っていくよ」

「じゃあ、俺らは先に教室に行くな。ベルナルド、行くぞ」

「私に取り入っても妹には近づけさせないから」

「わかってるって」


 ベルナルド様はジソエル様を牽制しながら、一緒に歩いていく。


「さっ、行こうか」

「はい」


 ディオン様が歩き出して、私がそれに続く。

 この流れも過去から戻ってきて、ずっと続いている。

 女子が色々言わなくなったけど、なんだか落ち着かない。

 彼が卒業するまで続くのかな。



 三日後、ソフィア様が登校してきた。

 銀色の髪はふわふわで、空色の瞳は大きくてまつ毛がくるりとしている。

 小さい時よりさらに可愛くなっていて、びっくりした。


「お姉様!」

「え?お姉様?!」


 ソフィア様は私を見るなり、ぎゅっと抱きしめてきた。


「私、心配してました。私が呼んだせいで、お姉様が!」

「えっと、違うから。ソフィア様。あなたのせいではないから」

「お姉様!」


 ソフィア様は締め殺すのではないかという勢いでぐいぐいと私を抱き締める手に力を込める。


「く、苦しい」

「ソフィア!マギーさんが苦しがっているだろう?」

「あら?ディオン様。嫉妬ですか?男の人が見苦しいですわよ」

「嫉妬なんかじゃない。離せって」

「ソフィア。離してあげなさい。マギーちゃん、本当に苦しがってるから」

「え?」


 ぱっと離してくれて、私は大きく息を吸う。

 苦しかった。


「面白いなあ」


 ジソエル様は大笑いしている。

 なんていうか、めちゃくちゃですね。


「お姉様。改めて自己紹介させてくださいませ。私はソフィア・ハーバー。よろしくお願いしますね」

「えっと、お姉様はやめてほしいんだけど、私はマギー・ヒルズ。よろしくお願いします」

「お姉様は、お姉様ですわ。マギーお姉様って呼ばせてもらいますね」

「う、うん」


 ぐいぐいっと迫ってきて、断れる雰囲気じゃなくて、頷いてしまった。

 押しに弱いな。私。


「ソフィア。距離が近いから」

「ディオン様。本当嫉妬は見苦しいですわ」

「だから、嫉妬じゃない」

「それならいいじゃないですか」

「そうだぞ。ディオン。女の子二人で可愛いじゃないか」


 ジソエル様が会話に割り込んできた。


「あら、あなたはどちら様?」

「俺は、エディ・ジソエル。ディオンの幼馴染だ」

「そうですか。よろしくお願いしますね」

「よろしくな」

「油断も隙もない」


 ジソエル様が伸ばした手を、見守っていたベルナルド様がすかさず叩いた。


「お兄様。余計なお世話ですわ」

「よ、余計なお世話」

「そうですわ。私はもう子供じゃないのですから」


 今度はソフィア様とベルナルド様が言い合いを始めてしまい、私の静かな昼食時間は消え去った。

 だけど、正直楽しい。

 ディオン様に声をかけてもらうまでは一人だったし、こうしてみんなの会話を聞いているのは楽しい。


「楽しそうですね」

「うん。ディオン様のおかげですね」

「僕?」

「みんなでいるのは楽しいです」

「そっか、みんなか」


 ディオン様が寂しそうにそう呟く。

 うん?どうしたのかな?




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