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白い麦わら帽子

作者: 秋葉竹





なにを泣けばいいのだろう


この空虚うつろな悲しみには

なんの意味もないと

知らされて


白い麦わら帽子をかぶり

あの

マチュピチュとは似ても似つかない

梅田スカイビル

空中庭園から

宵の風に吹かれながら

大阪を眺めながら


どこへも行けない呪いに

後ろ髪を引かれる


大きな夕陽があり

西の空が

いつもより明るいみたいだとか


透明な新月は視えず

東の空には

涙が凍った傷みたいな

星たちがまたたいてるとか


だれからも

好かれないんだから

だれのことも

好きじゃなくてもいいとか


そんな

強情な大嘘をじぶんでじぶんに

云い聴かすこともできる訳なくて

あーあ、

もっと

いや、

もうすこしだけ

じょうずに生きられたらなぁ、

とか


なんだかバカ云ってるよ

泣きそうな顔して、さ

そうなんだ

悔いと

失望と

しんどさが

もつれてほどけない

糸みたいにからまるんだって、さ


大好きな

白い麦わら帽子が

空中庭園から

突風に

飛ばされて



それを泣けばいいのだろうか


こんな空虚うつろな悲しみには

なんの意味もないと

知らされて


それとも

なにを泣けばいいのだろう


そんなあたりまえの問いかけにさえ

こたえる正しさを見失ってしまった


正しいと想うのは

これから

心は凍りつづけるだろうし

これから

だれからも愛されないだろうし


けれど

じぶんはこの街に生きて

すこしはじょうずに笑う日もあったり

すこしはぶざまに笑う日もあったり


片手にたりない

希望みたいな

イメージだけは

いつまでも握りしめて

いたいなぁ、って


どんな暗い夜の部屋に孤りでも

夜が好きだと云いはって、ね












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