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【第三話】我々は王家に秘匿されし物語を決して口外しないことを誓います

大神官様は聖獣『ユニコーン』を連れてくるための秘術を行うことに加え、『過ち』がなかったことを王族の一部の人間に知らしめるための儀式の場を中立の立場として設けるために一週間ほどの期間が必要だと説明し、そのまま後にしていくのだった。

ほどなくして、ラディールの父、ラングドールド・ラヴェルディ前国王が入室してきた。

「・・・事のあらましは、すべて大神官より聞き及んでいる。新王である我が息子よ・・・そして妃教育のためとはいえ、親元を離れ寂しい思いを押し殺して懸命に努力をしてきた姿をずっと見せてきたニルヴァーナ妃よ。二人が出会ったあの日から、王として、そして父として、その絆が深まってゆくのを感じながらこの日まで生きてきた。妃教育を受ける者というのは、選ばれた時点でその者はどこまでも心身が清く、純潔であるとされている。『過ち』がないのは当然だと、信じているよ。」

ラディールも、ニルヴァーナも、深く頷いた。

前王が信じてくださっている。何よりも心強いお言葉なのだろうか。

二人の様子を見た前王が侍医に部屋から出るように指示し、入れ替わるように、ローズリン・ラヴェルディ前王妃が入室する。

「ニルヴァーナ妃。お身体はまだおつらいでしょうから、このまま私の話を聞いてくださるかしら?」

ニルヴァーナは自分が如何に急を要する事態ではあったと言え、正装とは遥かに程遠い身なりであることに気づくと、急に恥ずかしくなってしまった。思わず縮こまって俯いてしまうが、

「大丈夫よ、かしこまらなくても。」

優しいお言葉。恥ずかしくないように、そして、冷えないようにとわざわざ季節にあった品のある刺繍の入った薄手のショールを肩からかけてくださるのだった。

「ここからが本題なのだけれど。」

前王妃様が椅子に腰掛け、見たことがないくらいの古い書物を開く。

ラディールも、ニルヴァーナも、一体何の書物なのか見当もつかない。

ただ、何かこの事態に関係したものであるだろうというのだけはわかった。静かに次の言葉を待つ。

前王妃が前国王へ目配せすると、前王が口を開いて話し始めた。

「これより我が妻が読み上げる書物は、王家と一部の階級以上の神官にしか言い知られていないものだ。」

前王妃が、ゆっくりと、静かに読み上げる。

「これより読み上げる伝承は、建国物語とも呼ばれる遠い昔からの記憶を代々継いできた話になります。王、ラディール。そして王妃、ニルヴァーナ。決して口外なさらないことを誓いますか?」

二人は顔を見合わせると、前王妃に向き直した。

「「我々は王家に秘匿されし物語を決して口外しないことを誓います。」」

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