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54.新しい先生が決まったよ

 朝お迎えに来たボリスに「ボリスさん」と呼んだら、後ろの「さん」は要らないと言われた。アスティの次に偉い人になった僕がそう呼ぶと、他の人が困るみたい。それは嫌だから、ボリスと呼ぶことにした。まだ慣れないけど、頑張るね。


 勉強のお部屋には、礼儀作法を教えるウサギのリリア先生以外も人がいた。新しい先生を選ぶと聞いたけど、扉を開けてあまりにたくさんいたので、びっくりして後ろに下がる。両手の指の数より多いんじゃないかな。


 隣に立つボリスの影に隠れた。今日はアスティがお仕事だから、ボリスが手を繋いでくれたんだけど。


 ちらりと見上げると、困った顔で僕を見た。そうだよね、僕が隠れたら困ると思う。でも怖いものは怖いの。いっぱいいると、囲んで殴られた時のことを思い出すから。こういうお話は暗いんだって。だから人に話すのは、相手の人を気分悪くさせちゃう。


 何か言わなくちゃと焦る僕を、ボリスは抱っこした。逞しい腕にお座りする形で抱き着くと、腕を首に回さなくても平気。ぐらぐらしない。それに身長が高いボリスの上にいる僕は、皆を見下ろす形になった。不思議だね、この位置だとそんなに怖くない。


 もしかして、大きい広間のアスティの椅子が高いところにあるのも、怖くないからかも。


「番様、驚かせてしまいましたか。学びたいこと、学ばなければならないことを一緒に探しましょう」


 選ぶんじゃなくて、僕が探す。リリア先生の言葉はいつも柔らかい。頷いた僕に、それぞれの先生が順番に話しかけてきた。いっぺんに話されると分からないから、順番にお話しする。


 ふかふかの椅子に僕が座り、片方の膝を突いたボリスが隣で書類を用意した。


「あのね、ボリスも椅子にお座りしたらいいと思う」


「では番様のお言葉に甘えて」


 離れた場所の椅子を魔法で引き寄せて、ボリスが座る。隣じゃなくて後ろだったから、ここって指さした。そうしたら移動してくれて、隣のボリスの顔が見える。安心して肩の力を抜いた。


 歴史を教える先生は難しい言葉を並べて説明するけど、何も分からない。隣のボリスの膝を指で突いた。それでこの先生は終わり。次の先生は言葉を教える人みたい。難しい言葉だったけど、僕が首を傾げたら優しい言葉になった。


 幾人もお話を聞いて、僕は3人の先生にお願いすることになった。言葉を教える熊獣人のタカト先生、赤い鱗が綺麗な魔法の先生はクナイさん。最後に竜族の歴史を研究しているミーナ先生も。どの先生も有名な人みたい。リリア先生みたいに呼ぶよう決めて、僕は先生達にご挨拶した。


「カイです。よろしくお願いします」


 こちらこそと答えてくれる先生達の後ろで、リリア先生が指で丸を作った。教えてもらった通りご挨拶できたよ。アスティも褒めてくれるかな。わくわくしながらお部屋に戻った。

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