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21.動物がいっぱい住んでるお部屋

 たくさんの贈り物は、残り半分くらいになった。お洋服がいっぱい入っていた中間が終わると、残りは僕が入れそうな大きい箱ばかり。


 侍女のお姉さん達も一人じゃ無理で、何人もで箱を開けてる。僕とアスティだけで開けたら、大変だっただろうな。


「お姉さん、頑張って」


 だから声をかけた。応援されても嫌じゃないよね? 侍女のお姉さんは口々にお礼を言って、また箱を開けていく。一番大きな箱を横にずらし、手前の箱が開いた。


「うわぁ!」


 柔らかくて大きな塊、これ何するの? 首を傾げた僕を抱き上げ、アスティが贈り物の上に僕を置いた。ふわっと半分くらい沈む。柔らかく包む感じは、ベッドに似ていた。でももっと沈むの。


「これはソファクッションね。気持ちよさそうよ、ほら」


「アスティも使う?」


「カイと一緒がいいわね」


 僕を抱き上げてからクッションに座った。小さな僕だとベッドみたいだったけど、アスティもぶわっと周囲を包まれる。気持ちいい手触りの布を撫でた。


「次は何かしら」


 その言葉に気を引かれて、よいしょとクッションから抜け出す。ずぶずぶと沈んじゃいそう。次の箱は大きなウサギが入っていた。真っ白で赤い目のウサギは、ぬいぐるみと呼ぶ人形。恐る恐る手を伸ばして触った。


「怖いの?」


「ううん。僕が触っても平気か、確かめたの」


 前に女の子が抱えてたぬいぐるみを落として、僕が拾ったら叩かれた。僕が盗もうとしたっていっぱい蹴られた。落としたから返そうとしただけなのに。誰も話なんて聞いてくれなかった。


「これは誰のぬいぐるみ?」


「カイのよ。あなた専用。他の誰でもないわ」


 何回も言い聞かされて、ようやく自分のだと理解する。これをもらってもいいの? 僕が……? ぬいぐるみは黒いチョッキと帽子が付いてる。手に赤いステッキも持ってた。全部柔らかいクッションみたいな素材で、赤い目はツヤツヤで輝いてる。


「凝ってるわね、瞳がルビーだわ」


 ルビーは宝石の名前らしい。僕に渡すのに、こんなに立派な贈り物を用意してくれたなんて。すごく嬉しくて泣いてしまった。アスティは僕を抱き締めて、あなたは愛されるために生まれたのよと囁く。そんなこと、アスティとお母さんしか言ってくれなかった。


 きっと僕はアスティに会うために頑張ってきたんだ。殴られても蹴られても、アスティに会うためなら我慢出来るよ。


「ほら、他の箱も見てみましょうね」


 アスティに促され、他の箱も全部開けた。大きな馬のぬいぐるみは、僕が背中に乗れる大きさだし、熊やドラゴンもある。お部屋に並べたら、動物がいっぱいで森みたいになった。


「これはすごいわね。今度皆にお礼を言いましょうね」


「うん! ちゃんとお礼を言う」


 約束して、お部屋の一部を動物のぬいぐるみ用にした。広いベッドに置こうとしたら、アスティが嫌なんだって。


「カイと寝るのは番である私の特権よ」


 意味はよく分からないけど、アスティが嫌ならベッドに乗せないようにするね。

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