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短編

ただ暗い部屋の片隅で

作者: 譚織 蚕

「おやすみ~」

「おやすみ! 明日も学校あるんだから部屋でスマホせずにすぐ寝られ!」


 親に挨拶をして、1階のリビングから2階の自分の部屋へと向かう。


「へいへーい」


 気のない返事で忠告を聞き流す。

 寝る前のスマホはやめられねぇ……

 今日まだログインしてないゲームもあるしね。


 豆電球を付けて、薄暗い部屋の中でスマホをポチポチ。


「よしよし、ストライクショッ――――」


 1時間後


「よーしNP溜まったし宝g―――」


 30分後……


「よし、15コンb――― きゃっ!!!」

 

 カサカサ……


 カサカサ……


 誰も居ないハズの部屋に、唐突に音がした。


「へっ、へっ!?」


 部屋に落ちている紙が擦れる音。


「あっ、扇風機かー」


 今日はもう10月。でも残暑で暑かったから、扇風機を付けていた。だからそれが原因だろう。


「なんだなんだ……」


 だからちょっと移動して、足で扇風機のボタンを押す。

 すると風が止まり、同時に音が止まった。


「ふぅ…… 良かった。んじゃもう1回付けるか!」


 ちょっとドキドキする心臓を抑えるために、ワザと少し大きな声で独り言。


 ピッ


 足でボタンを押す。

 風が吹き始め、音は……


 鳴らない?


「あれ……?」


 消す前まで鳴っていたなら、付けたらまた鳴る筈なのだ。なのにならな……


 足の甲に何かが触れた。



「ひゃああああああああああ!!!!!!」


 飛び跳ねる。飛び跳ねる。飛び回ってようやく入口の電気のスイッチに到達。


「アッ、あっ……」


 ヤバい、震えすぎてボタンが…… ボタンが……


「ひえっ……」


 ようやく指がボタンをプッシュ。


 部屋は……


 暗くなった。


「はがっ!!」


 訳も分からずボタンを連打する。


 明るい・豆電球・暗い


 と光りがローテーションする。

 3周してようやく思い出した。


「今は暗いだから……」


 もう一度だけ、そっとボタンを押す。


 部屋に光りが満ちて……


「ほぎゃっ!! って ……なーんだ」


 ベットの上に鎮座していたのは、手のひらサイズの百足。

 安心して一気に腰が抜けてしまう。


「「はぁ…… よかったぁ……」 おかーさーん!」


 ため息と共に大声で母を呼ぶ。私に百足の討伐は無理だ。我が家の頼光を呼ばねば。


「はいはいなんけー! こんな時間まで起きとってー!」


 階段を駆け上がる音が聞こえたので、ほっと一息。ヤツが逃げない様に見張る仕事に移行する。


「はいはい、来たよ。 って……ひっ!」

「うん、どうしたんー?」


 我が家の肝っ玉は百足レベルでは驚かない筈だ。

 いや、彼女の目は部屋の隅のクローゼットに向いていて……


 きゃーーーーー!!!


 ―――――――――


『1週間前にA市で見つかった一家惨殺事件の犯人は未だ見つかっていません。目撃情報などがありましたら、お近くの警察へ―――』

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど。 恐ろしいラストですね……。 面白かったです。
[一言] ひええええええええ・・・・・・!!!!!
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