第5話 虎系美少女ルトラ登場!
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前回までのあらすじ
貴族の愛人の子である主人公、胎児なのに母ごと家から追放される。
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母が亡くなって孤児院に行ったら迫害されたので、樹海に逃走。
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樹海でめっちゃ成長する。
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探索者になりにギルドへ行くもコミュ障晒す。みんな優しかった。審査はいい評価をもらえた。あと孤児院は潰れてた。これからは父親への復讐をがんばろうかな。
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寮に入ることになった。
その物件は、ギルド本部から徒歩4分のところにどんと建っている3階建ての集合住宅でした。ギルドが土地を買って建設したのでかなりの好立地になっています。
木造のいい雰囲気の建物で遊びがあり、なおかつしっかりとした造りに見えます。ここの3階が私の部屋になっているらしいです。どんな内装か気になって、そわそわ落ち着かないのもしょうがないことだと思います。なぜなら、まともな住居に入るのはなんと5年ぶりになるのですから……。
入り口で管理人さんにおっかなびっくり書類を渡して挨拶をし、部屋の鍵をもらいます。
「はっ、初めまして!今日から入寮するアジサイと言います!よろしくお願いします」
「はいよー。初めまして。私が寮監のローニャだよ。これ、あなたの鍵よ。部屋番号は書類に書いてあるからねー。よろしく」
なんとかちゃんとあいさつできました。ギルドで披露した体たらくよりは断然良くなっているのではないでしょうか。ちょっと調子に乗ってみます。むん。
3回まで上がって部屋に入ると、中はそこそこ広くなっていました。大きな本棚や作業室があるのは資料や道具を置けるようにという配慮でしょうか。さらに、風呂やトイレも備え付けられています。当然樹海ではどちらも存在せず、色々と工夫して凌いでいました。
しかも、大きめのベランダがあります!植物の生育や小型のビオトープも設置可能です!よくよく調べてみると飼育室なるものまでありました。これがあれば小型のモンスターやアクアリウムの運営もできてしまいます!
予想をはるかに超える素晴らしい寮でした。これほどの設備がそろっていとは夢にも思わなかったです。なけなしの勇気を振り絞ったかいがあります。
しかし、これだけの施設を無料で使えるということは、極めて大きな期待がかけられている証拠だと思います。より一層の努力しなければいけません。
それはそうと、僅かな荷物を片付け終えた結果手持ち無沙汰になってしまいました。まだ引っ越しの挨拶をしていないので、ひとまずそれを済ませてしまいましょうか。アーダーンの常識だと上下左右の一部屋づつに行けばいいはずです。ここは角部屋なのでお隣さんは1人だけ。全くもって気は進みませんが挨拶をしに行かなければ行けません。
もし怖い人でいじめられたらどうしよう……。失礼なことをして嫌われないようにしないと……。
胃がしくしくしてきました。逝ってきます……。
オエッ!
結論から言えば、私の心配は杞憂に終わりました。
私は運命の出会いをし、生涯の友を得ることになるのです。
☆☆☆☆☆
意を決して隣室の扉をノックすると、眼が合いました。それは美というものを極めたような、華麗な眼でした。
その眼の持ち主は白いセーターを着た美少女だったようです。こちらをみてニコリと微笑んでくれました。背は私と同じくらいなので結構な高身長です。綺麗な銀髪が光を放ってきらきら輝いています。
「あら、かわいい。どちら様?」
「……とっ、隣に引っ越してきたアジサイです。よろっ、よろしくおねがいします!」
「新しいお隣さんだったのね!私はルトラっていうんだ。ついこの間探索者になったの。よろしくね!」
恐ろしくフレンドリーで朗らかな人です。あまりの輝きに後光が差している錯覚がします。そして、この人がメイアさんの言っていたもう1人の新人探索者でしょう。多分。
「恐らく、明日はいっしょに依頼を受けて頂くことになると思います」
「そうなんだ。お互い頑張ろうね。ところで……」
「な、なんでしょうか?何か気に障っ」
「どうしてそんなに可愛いの?」
「え」
そう言うとルトラさんはぎゅっと抱きついてきました。胸に何か柔らかく弾力に富んだものが押しつけられています!むにむにしていますね……!
私もスタイルにだけは自信がありますが、彼女は私と同等かそれ以上です!とても健康的な身体付きをしています。なにより、そのお顔。これほどまでに美しい人を私は見たことがありません。私のキツイ目つきをした顔では比較にならないでしょう。
しかも、いきなり抱きつかれて心臓がががががが。嬉しいのか怖いのか自分でもわかりません。
まあ、探索者はその性質上あまり不健康な人はいないのですが。冒険者にはいます。彼らの中には異常な手段で戦闘力を確保している人が時折現れます。
「綺麗な髪にぷるぷるのお肌……スタイルもすっごくいい……一体どんな生活をしたらこうなるんだろう」
「……ルトラさんもとってもお綺麗ですよ」
なけなしの気力で返事をしました。死にそうです。
これだけ整った顔面がすぐ目の前にあるのは同性といえど心臓に悪すぎます。もっと自分が美人だという自覚を持って欲しいところです。それとも、理解した上でこうしているのでしょうか……。
というか、こんなに容姿を褒められるのは初めてですから、羞恥心でおかしくなりそう。自分でそう思うのと他人から言われるのとでは大違いです。
「ありがとう♪こんなところで立ち話もあれだし、私のお部屋に来ない?」
どうしましょう。まだ下の階に挨拶に行ってないですし、何より心の準備ができていません。しかも、無意識に警戒してしまって失礼なことをしてしまいそうです。
「まだ下のお部屋に挨拶に行っていないので……」
「今2階は反対側の側部屋しか埋まってないよ。この間何人か退寮して一人暮らしになったんだって」
2階と3階は6部屋づつ横並びになっていますが、2階は逆サイドの2部屋しか埋まってないそうです。逃げ道がなくなってしまいました。
「なら、お邪魔させてもらっても大丈夫ですか?」
「もちろん!」
かくして、入寮早々ルトラさんの部屋に連れ込まれることになりました。またも社交的な少女と知り合いになってしまうとは……。
お読みいただきありがとうございました。本日はもう1話あります。
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