番外編 元孤児院出身の子どもたちの現在
アジサイをいじめていた少年たちのその後です。
【アジサイをいじめていた少年視点】
ある日、俺たちのいた孤児院が閉鎖されることになった。大人たちが色々やってた悪事がバレて、ギルドとアシュリークーパー公爵の夫人に潰されたらしい。
次はどこの孤児院なら行くのか気になっていたら、俺と他の何人かはギルドに引き取られることになった。
冒険者になれるかも、と喜んでいたら更生施設にぶち込まれた。アジサイにやっていたいじめが原因だった。なんでバレたのか謎だ。あんなクズのせいで俺たちの将来が絶たれるとかありえねえ。
そしたら、どうにも冒険者を目指させられることになった。最近は冒険者も人不足なんだとか。ラッキーだぜ。更生施設で厳しい訓練を受けさせられたが、俺ならすぐにSランク冒険者になってハーレムパーティを作れるだろう。どこかのゴミとは才能が違うんだ。
しかし、現実は甘くなかった。訓練にはついていくのが精一杯だったし、女にもモテなかった。噂だとそもそも俺たちに冒険者として活躍できる見込みは最初からなく、アジサイを傷つけた罰としてしごかれているだけらしい。そんな馬鹿なことがあってたまるか。
☆☆☆☆☆
16歳になり、他のやつらといっしょに冒険者になる審査を受けた。落ちる人はほとんどいないらしいので、俺も合格できるだろう。しかし、審査の会場で俺たちは屈辱を受けることになった。アジサイのやつが探索者の審査でことごとく俺たちを大きく上回る成績を叩き出したのだ。
普通、冒険者と探索者なら前者の方が審査で倍以上高い数値を記録する。ところが、アジサイは逆に俺たちよりも倍以上いい記録をマークしやがった。許せねえ。お陰で俺たちは他の受験者や冒険者たちに散々煽られた。アジサイとの間にあったことはギルド関係者なら誰もが知っているからな。
審査の結果も最悪だ。アジサイがDランクなのに俺たちはEランクスタート。しかもアジサイはすぐにCランクへ上がる見込みがあるらしい。
あまりのことに怒りを隠せなかった俺たちは、アジサイを襲うことにした。それが最悪の選択だということも知らずに……。
今日は4話投稿になりました。この後21時15分にも最新話を投稿します。
彼らの「最悪の選択」の結果は19話で明らかになります。