第12話 妖怪スネコスリ
本日は3話投稿します。16時15分と18時15分と21時15分です。
こちらは2話です。ご注意ください。
また、現在改稿を行なっているので一部展開、設定に若干の変更がございます。ご了承ください。
『密猟者視点』
「おらっ、入れよ!ああああもう!」
「ぶうぅぅぅぅー」
俺はルーズ。元冒険者だ。
5年ばかし冒険者をやっていたが全然儲かんねえから、おんなじようなうだつの上がらない奴らに声をかけて密猟を始めた。
隠密魔法を使ってダンディライオンの子どもを攫って売ったらいい金になった。そこで今度はサンウルフの子ども捕まえてようとしたら、親に隠密魔法を見破るれて大変な目にあった。火炎魔法で全身大火傷さ。俺みたいなのはまともな医者にはいけねえから闇医者にかかったら大赤字だ。ちくしょうめ。
そしたら、闇ルートでミニサイは相当の高値で売り捌けるって話を聞いたんだ。しめたとおもったぜ。ミニサイはちっこくて大人しいから簡単に捕まえられると考えたんだ。けど、それがやべえ間違いだったんだ……。
まず、ミニサイが想像よりずっと強かったんだ。小さくたってサイはサイってことだな。俺は元Cランクだったから負けやしねえし普通なら苦戦もしないんだが、無傷で捕まえるとなると別だ。
しかも相手は10頭以上いてスタコラさっさと逃げ回る。おまけに水の中にどぼんと逃げ込んで隠れる奴もいた。それで、5日かけて1匹も捕まえられなかったんだ。DとCだった野郎しかいねぇといえ、元冒険者6人でだ。
そうなるとみんなイライラしてやることが乱暴になってくる。仮にも元冒険者なのに野営地の後片付けも雑になってきた。喧嘩を始める奴らもいた。
そしてついに恐れていたことが起きてしまったんだ……。
「このっ! くそ! 逃げるんじゃない! あっ……頭突きしやがったな。これでも喰らえ!」
「おいよせっ! 馬鹿!」
抵抗されて頭に血が上ったやつが剣で斬りつけちまったんだ。これじゃ商品にならねえよ。それに他の個体も怒りまくってるし、踏んだり蹴ったりだ。
でも、それは序の口でしかなかった。あの化け物が現れやがったんだ……。
☆☆☆☆☆
『アジサイ視点』
「直ぐあのミニサイの手当をしないと!」
「でもどうやって近づきましょう?上手いこと一頭だけ連れ出せるといいんですが」
「……私が魔法で陽動をする。その隙に助けてあげて」
「ダメです!あまりにも危険です!……ちょっと待ってください。ビッグサイはどこに?」
「そうだ!ビッグサイは……うわっ!」
ドン!グワラガギーン!
今後の方針を2人で言い争っていたらどどんと凄まじい爆音が轟きました。ビッグサイが密猟者に突進を仕掛けたのです!
「ぐわああああああ!」
「やばい!さっさと逃げるぞ!」
「脚をやられたぁー!置いていかないでくれえ‼︎」
鎧袖一触で吹き飛ばされていく密猟者たち。この隙をつけばミニサイを保護できるかもしれません。幸い、ビッグサイはミニサイを傷つけないよう器用に暴れています。ただし、まわりの自然には配慮していないようですが。
「とにかく、ミニサイを保護しよう!」
「同感です!」
隠密魔法だけでなく、身体強化も最大限に使ってミニサイに近づきます。悪意が無ければビッグサイには襲われる辛いと考えられます。彼が裁きの獣だからです。最優先の攻撃目標は逃げ惑う密猟者たちでしょう。遮るもののない草原でどこまで逃げていられるのでしょうか?
パワーも強化されているため、2人がかりであればミニサイの救助はそれほど難しくはありませんでした。林まで連れ帰って魔法による治療を施します。ルトラには密猟者とビッグサイへの警戒をやってもらって、私がミニサイに手当てします。
「もう大丈夫ですからね。直ぐに良くなりますよ」
「ぶうぅぅぅぅぅ♪」
ミニサイはこちらを警戒していない様子。我々が危害を加えてこない人間だと理解しているんでしょうね。なかなか知能が高いです。流血が止まり元気を取り戻してきたのでほっとしていると、ルトラが険しい声を出しました。
「密猟者が1人林に逃げ込んでくる!」
驚いて草原の方を見ると、1人の男がこそこそこちらに逃げてきています。他の密猟者を囮にしたようです。
しかし、不味い事態になりました。私もルトラも非戦闘職です。戦えないわけではありませんが、本職とは比べ物になりません。そもそも私たちには戦闘技術がないですし、そのための装備も持っていないのです。
「隠れてやり過ごそう」
「了解です」
したがって、身をひそめて気づかれないようにするのが最適解です。逃げるとビッグサイの動向を追えなくなってしまいますし、もし見つかったら自棄になった密猟者に襲われる可能性もあるからです。まあ、隠れる場合でも見つかったらその危険性はありますが、その場合は最悪ビッグサイの前に飛び出す選択肢があるので。
息をひそめてい密猟者の動きを伺います。どうやら私たちから少し離れた場所を通り抜けていくようです。あのような卑劣な犯罪者を見逃すのは業腹ですが、安全第一な以上しょうがないことでしょう。
また、それはルトラも同じ気持ちのようです。おめおめと密猟者が逃げおおせるのが許せないのでしょう、鬼のような形相で睨みつけています。美人の怒り顔は迫力ありますね……。
忸怩たる思いで男を見送ろうとしていたまさにそのとき、予想外のモンスターが現れました。
「ぬぁ〜んご」
気の抜けた鳴き声と共にどこからともなくのっそりと歩いてきたスネコスリが、密猟者の前に立ちはだかったのです!
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