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姫百合荘のナイショ話  作者: 嬉椎名わーい
5/6

5、ワキとトイレとトゲトゲ

女性専用シェアハウス姫百合荘(ひめゆりそう)オープンから7ヶ月が過ぎた金曜日。

本日休みシフトのローラとアリスン、くわえて管理人・紅鬼(くき)の3名は、ダイニング・ルーム作りつけのボックス席で、重要な問題を語り合っていた。

「わきキッス?」

17歳のアリスンが初めて、新しいプレイを考え出したのである。

「ダメ、かな・・・?」

姫百合荘では常に、恋人同士の絆を深めるための新しいプレイや競技のアイデアを募集している。

いつもはたいてい、リーダーでアイデア・ウーマンの紅鬼が発案するのだが・・・

隣り合って座っているローラとアリスンはさっそくTシャツを脱いで、お互いの側の腕を上げて、脇の下をこすり合わせてみた。

アリスン「くすー・・・ ぐったい」

ローラ「ふーむ」

紅鬼「どうなの?」

ローラは腕を降ろし、「いや悪くないよ! 下キッス、日本でいう貝合わせ同様、快感のためというよりお互いの恥ずかしいところをくっつけて親密感を得る、といったところか・・・」

紅鬼「私もまぜてよ」

2人の側の席に移る紅鬼、2人がけのベンチシートに無理やりグイグイと3人が並ぶ。

真ん中に挟まれてるのはアリスン。

シャツを脱ぎながら、紅鬼「両側からダブルでアリスンに、わきキッスしてみよう」

皆で腕を上げ(アリスンは両腕)、脇の下をしゅりしゅり

ローラ「これ、ずっと腕を上げてるのが疲れる・・・」

紅鬼「真夏だったら、いい感じにムレてて、もっと感じるかも!」

アリスン「い~?」

ローラ「自分の匂いを相手につけるのは愛情行動の基本だからね」

紅鬼「今はあまり匂わないなあ・・・」

ローラ「うちはワキガの人いないから、汗でもかかないとワキの匂いはそんなに・・・」

紅鬼はいったん腕を降ろし、「ローラ、アリスンのほっぺたにダブルわきキッス」

左右両側の美女から、顔に脇の下を押しつけられるアリスン、「んー・・・」

まんざら悪くもなさそう。

紅鬼「1人1人の匂いは弱くても、2人で力を合わせれば・・・」

アリスン「ほんのり、かすかに・・・ 秋の味覚」

ハッと思いつく紅鬼「一句できた! わきの下 匂い弱まって秋を感じる」

ローラ「それ俳句なの?」


ここでいったん休憩、ブラジャー姿のまま、大人の女2人はコーヒーを、アリスンは紅茶をひとくち。

アリスン「でもうれしい! ふだんはローラ、あんまりイチャイチャしてくれないんだよね。キスもしてくれないし距離も近くないし・・・ 紅鬼がいっしょだと興奮して、ほら鼻の穴も開いてる」

紅鬼「そうなの? 女がいっしょだといつも興奮してるような」

ローラ「紅鬼! あんた私のことクレージー・サイコ・レズだと思ってるでしょ!」

紅鬼「あっ懐かしい、そのセリフ! 昔は会うたびに言ってたよね?」

2人の大好きな姉のような美女が、自分の顔を挟んで至近距離で会話をしているのが、とにかく楽しそうなアリスン。

「紅茶を飲んでるのに、両側からコーヒーの匂いが強くて紅茶の味がしない・・・」

ローラ「両側からダブル・キスしてあげるよ。こんどはちゃんとくちびるで」

かなり難しい体勢だが、ともかく2人でアリスンの口に、ちゃんと舌を入れるキス。

アリスン「やっぱりわきより口がいいね! コーヒー苦いけど」

紅鬼「アリスンもまだ17歳、大人がイチャイチャしてるとロリコン罪で逮捕されてしまう年齢だから、もう少しガマンしなさい(以前ラブホに連れてったけど)」

ローラ「私にとってあんたは、恋人だとか家族だとかを超えた唯一無二の存在だから、アリスン!」


以上は前フリ、ここからが本題である。

ローラ「ところで紅鬼、大浴場の横のトイレなんだけど・・・」

姫百合荘にはトイレが5か所ある。

3階にひとつ、2階にふたつ、1階の接客エリアにゲスト専用トイレ、もうひとつが今話題に出た「大浴場の横のトイレ」なのだが・・・

紅鬼「気がつきましたか」

ローラ「気がつくわ! 何なの、あの長いの・・・」

それは通常の便器に比べ縦に1.5倍ほど長い・・・

紅鬼「メーカーに特注した特製の便器なのです」

ローラ「もしかして・・・」

紅鬼「男がする連れションというものを女もするなり、と思いまして」

ローラ「やっぱりかー!」

アリスン「連れションって?」

紅鬼「そのようなトイレを作ったものの、みんなには言い出しにくくて・・・」

ローラ「みんなも薄々わかってたけど聞きにくいわ!」

紅鬼「連れションでカップルの絆が強まるかなあ、と」

ローラ「ちょっと、その連れション連れションって・・・ 娘の耳には入れたくない単語なんだけど、他に言い方ないの?」

紅鬼はしばらく考えて、「バディ・ション」

ローラ「『ション』の部分を変えてもらいたいんだけど!」

結局、「バディ・トイレ」という呼び方に決定。

紅鬼「で、どうよ? 実際アリスンとバディ・ションしようって気になる? なんとなく連帯感は生まれそうだけど」

ローラは大笑い、「今さら、この子とオシッコしたからって! オネショの後始末してあげたの私だし! あれは14歳くらいだっけ? ビックリしたなあ」

アリスンはワナワナと震えて、「なんで言うのよ・・・ 絶対言わないって・・・」

ウワーンと本気で泣き出し、「ひどいよお・・・」

紅鬼はびっくり「うお!ガチ泣き?」

ローラはあわてて、「ゴメンゴメン悪かった!」

紅鬼「オネショって・・・ 性的な意味でなく、ただのオネショ?」

ローラ「ふつうの純粋なオネショ」

紅鬼「なんだツマラン・・・」

アリスン「逆につまらなくないオネショって何さ!」

紅鬼「20歳の女性がオネショしたなら興奮するけど、14歳じゃあね・・・ もう心が汚れすぎてオネショなんか何も感じないのよ」

ローラ「ちなみに寝る前にポッカ・サッポロのシチリア・レモンのレモネードを飲みすぎたのが原因」

紅鬼「あ、ポッカ・サッポロのドリンクって美味しいよね」

アリスン「ううう~」

紅鬼はアリスンのブロンドの髪を優しく撫でてやり、「オネショはどうでいいけど、泣いてるアリスンはかわいい! 生意気っ子の涙っていいよね・・・ これから毎週泣かしちゃおうかな」

アリスン「くやしい~」



さて、この「バディ・トイレ」に関する情報が住人専用掲示板にアップされ、ほとんどがあきれ果てた冷たい反応しかなかったが、ついに挑戦しようという勇者が現れた。

「まりあ様、ちょっと待ってな。今水分補給してるから」ゴクゴク

「あの・・・ 漏れそうなんですが・・・」もじもじ

常にチャレンジャー精神を失わない燃子(もえこ)、その名の通りギラギラと燃えていた。

「超至近距離での女子連れション・・・ いまだかつて誰も見たことのない風景が私たちの前に!」

「早くしてくれー!」クネクネ

例のトイレへGO!

燃子「これ、後ろの人が股をガっと開かないと、だよな? パンツも脱がないとダメやん・・・」

まりあ「わーん!早くー!」じたばた

燃子「よっしゃ、私が後ろになるわ!」ぱんつポーイ

以下は、燃子が紅鬼に送った報告書からの抜粋である。


・・・私がバックに、まりあ様がフォースにポジションを取りました。

このスタイルはまるでボブスレーのようです・・・

「クール・ランニング」という映画を思い出しました。

便器のサイズ的に大人の女性2人が座るのはかなりキツく、ギュウギュウに密着せざるをえません。

「まりあ様、もう出していいんだよ?」と促しましたが、彼女は緊張のため、なかなか出ないようです。

私がリードを取り、ファースト・スプラッシュを噴射。

「フォローミー!フォローミー!」と檄を飛ばしましたが、まりあ様の尿道は便秘のように閉ざされたままです。

すると不思議な現象が起こりました。

まりあ様はまだ出てないのに、「なんかポタポタきてる! 燃子の方から水が来てる!」

なんと重力に逆らって、私の出した水の一部が、密着した部分を伝わって、まりあ様の股間に達していたのです!

その時、まりあ様が指についた何かをペロッと舐めるのを見てしまいました。

「何なめとんじゃー!」思わずエキサイトしてしまいます。

すると私の水が呼び水になったのか、まりあ様のお股からものすごい勢いで、まるでギアナ高地のエンジェル・フォールのような噴出があったのです。

彼女は真っ赤になって、「めっちゃ溜まってたから! いつもこんなじゃないよ!」と言い訳していました。

ここで一句 恋人のオシッコ馬なみ じゃーじゃーじゃー


さすがに紅鬼も、このようなトイレを作ってしまったことを後悔した。

後日、紅鬼はショッキングな光景に出くわした。

例のトイレから、アリスンとアンが連れだって出てきたのである。

しかもアリスンのパンツはトイレの前に脱ぎ捨ててある。

「アリスンあんた! 何やってんの!」

気まずそうな顔で、あわててパンツをはくアリスン、「お願いローラには黙ってて!」

アン「アリスンと連れションした!」

アリスン「1回どんなものか経験してみたかったんだよう」

アン「気分そーかい!」

紅鬼「そりゃもちろん黙ってるけど・・・ ローラ発狂するから・・・ で、どうだったの?」

アリスン「タイミングが合うと、すごい一体感がある・・・ 悪くないよ!」

アン「アリスンにおまたふいてもらった」

紅鬼「アン子もママにはナイショにしなさいよ」

アン「あいよ」


また後日、紅鬼はまたしてもトイレから出てくる2人連れと出くわした。

今度はローラとアンである。

「ちょっとローラ! 何やってんの!」

すばやくパンツをはいて、「誤解しないで紅鬼!」

アン「ママと連れションした!」

ローラ「この子が1人でちゃんとトイレできてるか確認したくて・・・」

アン「できるよ!」

ローラ「でもこのトイレ、小さい子にトイレの仕方を教育するのにいいかも!」

おーまいがーっという気分で紅鬼は頭を押さえ、「で、どうだった?」

ローラはもじもじして、「娘のおしっこ、かわいい・・・」

アン「ママのおまたふいてあげた」

紅鬼「ともかく・・・ アリスンにはナイショにしておこうね」


だが、今度はアリスンとローラが、例のトイレに入っていくのを見てしまった・・・

紅鬼「バディ・ションにハマった人々・・・」

また別の日に、パンテーラが「ションション、ションション」とエンニオ・モリコ-ネ作曲「夕陽のギャングたち」テーマ曲=ショーンのテーマを口ずさみながら、龍子(りゅうこ)を連れてトイレに入っていくのを見た。

その後に届いたパンからの報告によると、龍子と対面式に座るパターンを試し、ついでにそのままセをしたという。

ともかくけっこう人気のようなので、例のトイレにはそのまま2組のスリッパを置いたままにしておこう、と紅鬼は思った。




姫百合荘の豆知識(17)


(前回からの続き)「ぷりぷり7」のかわいいキャラクターをデザインした、イラストレーターの「りんごごりら」先生とは、いったい誰でしょう?

まりあ「わしじゃー」

そう、今は姫百合荘の住人、実はイラストが趣味のまりあさんです。

彼女の母、壬生月子(みぶ つきこ)ことディアナ・ヤコブソンはスウェーデン出身のイラストレーター、コミケに参加したことも何度かあります。(ペンネームは「ボー・ダラ」)

人物の描き方は日本のアニメ風ですが、北欧の感性が生きる透明感あふれる画風は日本でも大評判でした。

そんな母の血を引くまりあさんは、意外にも繊細で乙女チックなイラストが得意。

牧場を経営する父は獣畜振興会との関わりが深く(風太刀会長との対談が何度も会報に載るほど)、その縁で「ぷりぷり7」のキャラデザイナーに推薦されたのです。

デザインするにあたり、モデルとなった女性たちと何度も面談、スケッチを重ねながら、彼女たちの内面をもデザインに反映させました。

「そんなわけで龍子と夜烏子(ようこ)は、まるで自分の作品からキャラが抜け出してリアル化した、みたいな・・・ なんというか自分の娘みたいな感じ。(2人とも私よりひとつ年上だけど)」




「ゲリはゲリでも鬼ゲリー」シリーズ(「姫百合荘の日々」も参照)

第1巻:少年ゲリー・オールドマンはある日、おなかがゴロゴロしたが、周囲のあらゆるトイレは使用中だった。空いてるトイレを求めて、ゲリーは旅に出るが・・・

第2巻:少年ベン・キングサイズはたいそうな便秘体質。1度トイレに入ると1週間は出てこない。そんな彼が、トイレが1つしかない町でトイレにこもってしまった。町は大パニックに・・・


アンは図書館から借りてきた「鬼ゲリー・シリーズ」第15巻を、まりあといっしょに読み終わった。

まりあ「まさかようやく見つけた空いてるトイレが、空いてるトイレに偽装した宇宙生物だったとは・・・ まあでも、ようやくウンチを出せたな」

アン「ゲリー、食べられちゃったのかな?」

まりあ「それよりも、食べられる前にお尻が拭けたのかどうか・・・」

アン「続きがめっちゃ気になる! 来週16巻が出るんだよ。まりあ、買って!」

まりあ「うーん図書館に入るまで待った方が」

そこへローラが現れ、「湯香-っ!」と怒り爆発。

まりあはビックリして、「え?湯香はいないけど?」

その光景を紅茶を飲みながら見ていたアリスン、(いつも湯香に怒ってるから・・・)

アン「ママ、鬼ゲリーの16巻買って!」

ローラは自分の顔を指さし、「まりあ! この困ってる顔を見て、私の心を察して・・・」

ぽっと頬を赤らめるまりあ、「ローラの困った顔かわいい・・・」

アン「そうだよね、こまってるママかわいいよね! いっつも、どうやってママをこまらすかアイデアをねってるよ」

フラフラとめまいがしてくるローラ、「とうとう娘が反抗期に・・・」

ここで割って入るアリスン、「まあまあ落ちついて! そもそもローラがアンくらいの時、どんな本を読んでたのさ?」

ローラは遠い過去を見るような目で、「エミリが丘ブロンテ、嵐の姉妹」

アリスン「ほんとに? 実はねー、こんな資料が残ってる」

タブレットを取り出し、「もう時効だからちょっとだけ情報を漏らすと・・・ 実はシンガポールでの子供時代、ローラ一家の生活費はほとんどMI6が負担していたのです。理由は言えないけど・・・ ローラのお父さんから、こんな請求書が来てる」

PDF化されたファイルの文章を読み上げる。「『メタファック・レベリオン・マガジン』年間予約購読料、娘のローラが絵本よりも気に入ったため」

湯香「メタファック、何?」

いつのまにか湯香も参加している。

アリスン「わざわざロンドンの出版社に年間購読を申しこむほどローラが気に入ってしまった雑誌とは・・・ 今、画像を検索するね。ほら!」

タブレットには、古い雑誌をスキャンした画像が表示されていた。

どうやらパンク・ファッションの専門誌らしく、黒レザーの露出度の高い服にサングラス、トゲトゲのアクセサリーをまとった男女の写真が満載、モデルたちは皆いちように中指を立てて「ファック!ファック!」と叫んでいる。

ローラ「な、懐かしいなー」

アクセサリーどころかブーツもバッグもトゲトゲ、車やバイクもトゲトゲ、ベッドさえもトゲトゲという、ガチなパンク魂を持った若者たちの画像がザクザク。

まりあ「このベッド、どうやって寝るの?」

湯香「このプラカード、なんて書いてあるの?」

アリスン「政府の建物にウンコを投げつけよう!」

まりあはあきれ果てて、「これを子供のころに読んでたのか・・・」

湯香「そのくせ娘の絵本に怒るとか、信じられない・・・」

ローラ「ううう・・・」

恥ずかしさに顔を覆うしかない。「もうわかった!許して! アン、鬼ウンコでもなんでも買ってあげるから!」

アン「やったー!」

うれしさのあまり、アンは「ウンコがブリブリ、ウンコがブリブリ、ウンコがブリブリブー ふんだらブリブリ、ふんだらブリブリ、ふんだらブリブリブー」と歌って踊り出す。

泣き崩れるローラ、「娘が不良になってしまった!」

湯香「まさに母子だな、としか言いようがないよ!」

まりあ「アンころ、買ってもらったら私にも読ませて・・・」

アリスンはタブレットの画像をつくづく眺めて、(この雑誌、ちょっとだけカッコいいと思ってしまった・・・ やっぱりローラと感覚似てるのかなー。だからパートナーなのかな・・・)



第5話 おしまい

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