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隔世の時が来た 

都市の上で大怪獣が立っていた。化け物は息をはくと地球はふるえ、体から滝のように水が流れ、山みたいにでかいビルのような岩が落ちた。長い間眠っていたあいつは目覚めた。予言通り世界の終わりが来た。


大怪獣が空に向かって吠えると、ミラの下の地球が残酷に震えた。ミラは『エンドタイムズ施設』の入り口の柱に全力でしがみついた。何キロも上でピカピカ星のように光るでかい炎の塊が現れ、視界が悪い中にいる遠くの怪獣の頭を打った。地震が薄れた時ミラはガッツポーズした。


(よっしゃ、ヒロ達はさえぎることに成功した!まだ終わっていないかも!)ミラは思った。


でも、そのことを知っても予断は許されない。古代のあいつは空と地平線を隠してしまうほどだ。あいつが炎をはけば、海を蒸発させられる。大陸を割ることができる。(できることは――)活路を見いだす思考は、古代の怪物が腕をもたげ、こぼれ落ちた巨岩が流星となって都市に降り注ぐ光景に停止を余儀なくされた。ミラの口が開いた。「お願い!」


強力な衝撃波を携え、巨岩は都市を覆う虹の障壁にぶつかった。空気中のエネルギーが爆発的に増加し、揺らされた地球によって百億もの岩石が障壁の外を舞っていた。しかしその後一瞬で、障壁の一部を担う赤と黄色が一時的に消滅し、それらはすぐに力を取り戻したがしかし続いて消えた青の障壁が戻ることはなかった。


ミラの後ろに集まる大勢の人々の、心配するささやき声が聞こえ始めた。「そのガキだ。クラッグズノルツ。あいつの氷障壁は衝撃の後に消えた? 確かに一番弱いだろうけどまだ真の戦いが始まていない。何をしている、あいつは?」


ミラの心臓が早鐘を打っている。「クラッグズノルツ。」胸に手を置いた。温かかった。


ミラは雷と火炎が暴れ回る空に目を向けた。世界の終焉が来たのだ。彼女はしなければならないことが解った。


気持ちを告白する時は今だ。


ミラは戦いから背を向けて、混んでいるロビーを走り抜けた。そして施設のトランスポーターに転がり込んだ。人々はガラスがない窓か、大きいスクリーンで戦いを観ていた。みんながずっと待っていた戦いは外で起こっている。しかし、ミラはもう一つの誰も知らない戦いがあることを知っていた。トランスポーターの壁の七番のボタンを押して扉を閉まった。コマンドセンターから横に発射して障壁を転送している施設の一つに向けた。トランスポーターが動く。戦いの音が遠のくのと反比例し、緊張が高まっていく。(間違いない、今だよ! 今! その時だ)


停止したトランスポーターの扉が開くと冷たい風が吹き込んだ。ミラは深呼吸をして、でかく暗い部屋に入った。数ある大きくて真っ青な氷の柱の内、二つだけが光を放っている。部屋の天井の真ん中に構えられた大きなスクリーンが、外で繰り広げられる長く壮絶な戦いを映していた。まるで部屋の中で行われているかのように、画面横のスピーカーががなりたてていた。


ミラは部屋の真ん中のコントロールデスクの前で、重い服を着ていて膝を抱える男の子のところまで歩いた。デスクから警報が繰り返しがなっていた。「インディゴ、クラッグズノルツ、どうして虹障壁への力の供給を辞めたんだ? 七人が揃わないと完璧な防御ができない。君が減ったことで防御力は著しく低下している。」


ミラはデスクの冷たい天板に指を添え、「だまって!」と強く言った。デスクのがなるスピーカーをミュートにすると、黙っている男の子の隣に座った。彼のように膝を胸に抱いて、ただ、隣にいる少年との肩が触れあうような距離が、自分の早鐘をうつ心臓の音を彼に伝えてしまうのではないかと怯えていた。


「どう、クラグッズ君?」また訪れた沈黙の中でミラは男の子の手から冷たい雫のこぼれる音が聞こえた。


彼は鼻をすすって肘で目をふいた。「前の岩は一つだけだったよ。」クラッグズノルツの弱くてざらざらの声が、腕の下から漏れた。「見た?」


「成功だったよ! 本当に成功だったよね!」


「ギリギリ成功したよ! 赤と黄はあんな強い力を使った後で一瞬で疲れ切ってしまったよ!僕より、二人はとても強いんだ! 終わりまで続ける可能性がないよ! 無理だ。本当に無理だ!」長いため息をした。「寒いよ。」



ミラは少しゆっくりと、肩がクラッグズノルツ触れるほどの距離に動いた。「まー、確かに、オーストラリアを毛布にして1億年も昼寝してるようなオオトカゲを相手にしてるんだから、そりゃ頑張らないとだね」


クラッグズノルツはだまっていた。


「正直、私たちはこの日に死ぬことをどこかでわかって生きてきたから、バリアについて話すためにここに来ることはなかった。」小さい呼吸をとって、「ついにおこったよ、クラグッズ君。大昔のあいつを目覚めたんだ。」


クラッグズノルツはまっすぐに座った。彼の照り映えている青い目が強くミラを見た。「君の力は目覚めた?」


ミラ彼と目を合わせずに、自分の手を見てうなずいた。「見たいの?」


クラッグズノルツは、ミラが彼の首が心配になるほど激しくうなずいた。「ずーと待っていたよ! 絶対に目覚めてできるといったよね! 間に合ったね! ミラのお姉さんの力はすごかったみたいだったらミラの力もすごいだろうね!」


「ワクワクしているけどクラッグズ君は私の言うことをよく聞いてね!」


「もちろん。」クラッグズノルツはミラをじろじろ見た。ミラは微笑んで、彼の反対に座った。


「まず、ちょっと落ち着いてくれないかな。期待外れになるかもしれない」


「あ、そ、そうだよな。お姉さんの時間を止める力みたいじゃなくてもいいんだよ!もちろん、そんなすごい力もいいだろうけど。。。」深呼吸を取った。「だまってあげる。」


「ありがとう。」また、ミラが笑った。「次、目を閉じてくれてね。」


「でも、そうしたらどうやってミラの力を見える?」


「さっき、よく聞いて黙ると言わなかったっけ?」


「了解!目を閉じている、隊長!」


「その通り。」とミラは言って小さくうなずいた。「よっしゃ、次に前に手を開けて手のひらを上に。」


「でもミラは入った時そんなに温かくない服を着てなかったけど。。。」彼は薄目を開けた。


「見るのは禁止って!」


彼は目をまたよく閉じて、閉まっている拳を外に動かした。「寒さを拘束するね。」と彼はささやいて深呼吸をとってゆっくり手を開けたとき氷が分かれて霧となり消えた。


「無理するな。リラックスしてね。」


「本当に大丈夫?」


「大丈夫だよ。」


呼吸をとり、放してまた冷たい霧を作り始めた。


「じゃ、」ミラは息をとって手を合わせた。「おどろかせないでね。」心のドキドキを感じながらかがみこんで彼の手を取った。


彼は急いで目を開けて、「ダメ!ミラ!凍えちゃうよ!」


びっくりした瞬間が過ぎてしかしなにもおこらなかった。ミラは彼の手を握りこんで笑った。


「あっていてよかった!やっぱりこおらないね!」ミラの暖かそうな手はクラッグズノルツの青い霧をさわったがなにもおこらなかった。「やっぱり踊るのは価値があるよ!」


彼は手からミラの頭まで見返した。「冷たくない?」


「全然。私よりクラッグズ君のほう、どう感じる?」


彼はよく考えた。「暖かいよ。ミラの力だろう?」


ミラはうなずいてニコニコした。「よかった! ほんとうによかったよ。ずーと、クラッグズ君が温かいって言うの聞きたかった。」また、彼の手をにぎりこんだ。「私の力はすごくなんかない。私の手が暖かいだけだ。今朝、この力が表れたとき、世界の果てが来ているけれど、でもすごくうれしかった! 世界の果てでもここにクラッグズ君と一緒に来る理由になったから。」


「ミラ。」彼もミラの手を取った。「来てくれて本当にありがとう。ミラはいつも強いよ。僕は怖かったけど今怖くない。もし今が終わりだったとしても気にしなくていい。ミラはここにいるから。」


ミラはクラッグズノルツの手を引いて心のとなりに持っていた。深呼吸をとって彼の顔を見て頬を赤らめた。告白の時は今だ! と思っていた。心が本当にドキドキした。「クラッグズ君、私は君がー」


すごくうるさい警報が部屋に満ちた。机が赤くなった。「インヂゴ、聞こえるの?」コントロールセンターの人は聞いた。「できれば助けてほしい。君の力では結果を変えられないかも知れないけど。。。」ミラとクラッグズノルツは天井のスクリーンに向けた。空には巨大な古代生物の足の裏だけがみられた。


ミラはリップに歯を立ててクラッグズノルツは息をのんだ。クラッグズノルツはミラの手を放して机に戻った。机の手をおく場所がピカピカして手の霧を吸い取った。机の隣の二つの氷柱はガーンと音を立ててもっと冷たくなった。スクリーンで彼の青い六角は虹障壁に合わさった。肩の上でクラッグズノルツは「僕の全てを注いでいる。ミラ、後で残ったらー」


ミラはクラッグズノルツの後ろ、すぐ近くに動いて彼の手の上に自分の手を置いた。彼の耳にささやいた。その一秒に世界の果ての音がなくなった。二人共の心は一緒にビートを飛ばした。


クラッグズノルツの顔はゆっくり微笑み始めた。彼の身体中ににミラの暖かさが広がった。スクリーンにフォーカスして彼は世界の果ての大騒ぎと一緒にほえた。「こい!あいつの足、こい! 今日が世界の終わりだなんて許さない!」今、ミラのおかげでクラッグズノルツのいつも冷たい手は温かくなっていて、いつもより強力な彼の冷気を注いだ。巨大な古代生物の足が障壁を打った時世界は揺さぶられ、轟音をたててたたきこわれた。


少し経ってミラがまだ腕の中にいるクラッグズノルツを感じとり、彼が耳の隣にミラのリップを感じったとき、二人は世界が終わっていなかったことを知った。本当は始まったばかりだった。


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