第3話
ダンジョンは平常運転を継続中であり、得られるDPも順調に溜まってきている。
第1階層に居ついたウェアウルフたちが本格的に棲みついたことで、外からの獲物を生きたまま運び入れていることでDPの増え方に貢献してもらっている。
ダンジョンコアに言わせると、とりあえず天災級の攻勢を受けても、なんとかギリで逃げ延びれるだけのストックになったんだそうだ。
天災級なんて存在が、こないことだけを願おうじゃないか、ね。
戦力強化のためにガチャを引こうかというと、階層的な迎撃が優先するとか、ガチャ運がないとか、コアを放置しすぎとか、いろいろ難癖付けられて、いまに至っている。
なんだそれ。
第13階層の一部に、自分たちが住む部屋を設けた。
エリアのイメージとしては都市、といっても外壁付きの小さな町なんだけど、普通に住んで生活できるようになるらしい。
深い階層構造にして、普通に暮らすことができるエリアを作ってもいいかもと、とりあえず実験的に暮らそうと考えている。
制御室にこもりっぱなしというのも、精神衛生上よくないしね。
「父ちゃん、ここがあたらしいおうち?」
「そうだよ、ポポルだけの部屋もあるよ」
「サキの部屋もある?」
「もちろん、あるよ」
「でもね、おそったらだめだからね」
「おそうって、なに?どこでそんな言葉をおぼえたの?」
「ええとね、サキュバスのおねーちゃんたちが話してたの」
「サキュバスの?まさか、ゴブリン牧場にいったんじゃないだろうね?」
「ううん、サキのところに遊びに来たときに話してたよ」
そういえばこの前、サキュバス仲間と話しをしたいというから、呼んだことがあったっけ。
「俺はな、サキのことはもちろん、ほかのユニットも襲ったりしないよ」
「……父ちゃん、可愛そうだね」
「…まじかぁ…」
そのあとサキュバスたちを呼んで、切々と説教した。
そんなこんだで、ポポルの教育係というか、家庭教師ぽいのもつけることにした。
ダストデーモンだったものをマメに進化させていた結果、デーモン(ベルゼブブ)Sとなった。
いつ引いたか忘れたけど、進化+3なんてものがあったのも利用した。
確か、蠅の王とか言われてたような気がするけど、現れた姿はとってもダンディな紳士だった。
もとはといえば知の神だったらしいので、教師としては適格だろうと、自分の代わりに、あくまでも代わりに先生をしてもらっている。
「ベルゼ先生、これわかんない」
「む、ポポルよ。四色定理というのはだな…」
あ、駄目なやつだこれ。
「ベルゼブブ、すまないが四則演算の基礎から教えてやってくれ」
「………主よ、申し訳ない。簡単すぎて、教える方法がわからん。わたしは、算式を見ただけで答えが出てしまうのでな」
「……ああ、なるほど」
やっぱり駄目だった。
天才というのも、ある意味紙一重とはよくいったものだ。
「それじゃあ、とりあえず各階層からの苦情処理を頼む。ちゃんとした仕事は後から指示するから」
「……わ、わかりました」
「すまない、頼む」
そういうと、入れ替わりにサキが部屋に入ってきた。
「あ、主さま。お邪魔でしたか」
「いや、邪魔ではないが。そうだ、ポポルの家庭教師なんだが、ほかにいいのいるか?」
「そうですね。レリエルはいかがですか?」
「いや、レリアルはちょっとな。偏りそうで怖い」
「すみません。ほかに思い浮かびません」
「そうか、すまないな」
「主様から教えるわけにいかないですか?」
「どうしてだ?」
「ポポルさまが一番信頼しているようですし」
「教えるガラではないんだけどなぁ」
「ああ、そうです。主さま、ポポルさま、夕ご飯の時間ですよ」
「もうそんな時間か」
「きょうのご飯はなぁに?」
「煮込みハンバーグですよ。あと、ゼリーもあります」
「ゼリー!!やったー」
そういうとポポルは部屋を出ていった。
ゼリーといっても、煮凝りを甘くして冷やしたものだ。
まあ、魚臭さを消すまで手間はかかるけどね。
ポポルの家庭教師問題は、横に置くとして、とりあえず飯だな。
今日も平和だ。