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第1話

ようやく本編……のはずだけど。

「父ちゃん。おはよう!」

「ああ、おはよう、ポポル」


自分のことを父ちゃんといった、この猫耳をダンジョンの入り口で拾ってから、どのくらいが経つのだろう。

この猫耳が育つ速さは、人間とは比較にならないほどにはやいのだそうだ。

もっとも、寿命は人間の3分の2ほどだという。

ちなみに、あざとい「ニャ」という口癖はない模様。


「今日のご飯はなーに?」

「なんだろうな。サキ、なんだい?」

「今日は、ボイボイの串焼きに、野菜の盛り合わせとパーネです」


ポポルは猫耳、外の世界では獣人というのだそうだ。いちおう、メスというか女の子だった。

サキは、育てるには女手が必要だろうとサキュバスクイーンを進化させたリリスという種族だ。

以来、ずっと母親代わりのようにポポルを育ててもらっている。


「美味しそうだな、いただきますだよ、ポポル」

「いただきます」


ダンジョンマスターになってからというもの、食事などした記憶がなかった。

にもかかわらず、この子を拾ってから「食事」というものを思い出したことにひどく驚いたことがあった。

そのことをダンジョンコアに聞いてみたことがあった。


「おそらく、ダンジョンマスターになったことで不要になったからでしょう」

「そんなものなのか?」

「それにしても、ダンジョンマスターが外来の生命体を育てるなんて、記録にありません」

「ゴブリン牧場だって、ある意味外来の生命体を育てているぞ」

「あれは飼育で、あの生命体は養育ですよ」

「養育か。それもそうだな」


それからどのくらいの時間がたったのかはっきりしないが、まともに会話ができるようになって父ちゃんと呼んでもらえるようになった。

上目遣いに物欲しげにしてくるところなんかは、かわいくてかわいくて仕方がなかった。

なんというか、久しく他者を愛でるというのか、可愛がるという感情が起こっていることを、実のところ内心持て余している。


「なあ、ポポル。今日は何していたんだ?」

「ええとね、お外に行ってきたの。ワンちゃんたちとどっちが速いか比べてきたの」


外といっても、ダンジョンの外ではない。

サキには、ダンジョンの外に出さないように指示している。

ワンちゃんたちといっているから、おそらく第7階層のコボルトシリーズのところだろう。

草原と砦跡のエリアとしてそのままにしているため、かけっこやかくれんぼにと遊び場に最適らしい。

それに、外の世界よりは”安全”に遊ばせることができる。


「サキの言うことを聞いて、危ないことはしないんだぞ。特に第8階層にはいかないことだ」

「うん。サキの言うことを聞くよ!」

「よしよし、えらいな、ポポルは」


頭をゴシゴシ撫でてあげると、目を細めて嬉しそうに笑う。

第8階層には相変わらずゴブリン牧場を設置している。

いまはおとなしく飼育されているが、ゴブリンというやつは見境がないから、近づけないのがいちばんだ。

まあ、モニターで追っているから危ないことになったら、すぐに助けに行けるんだがな。


「ごちそうさまですた」

「はい、ごちそうさまでした」

「また遊びに行ってくる」

「サキ、よろしく頼む」

「はい、わかりました」


ポポルを拾ってからのこっち、大きな危機はなかった。

あの病気持ちのウェアラットが何回か居つきそうになったことくらいか。

第1階層から第4階層までを、モンスターハウス化したこと、第5階層を海エリアとしたことで、いまのところ第6階層に踏み入れた外来の生命体はいない。

例外は、このポポルだけだが。

あ、ゴブリン牧場のゴブリンたちもか。

ゴブリン牧場も安定的にサキュバスたちに運営されていて、ユニットたちの進化、転職が順調に進められている。

最近、第1階層にウェアウルフが居ついたようだった。

第2階層に向かうわけでなく、外の環境を避けて居ついているようだった。

たまに、狩りのためなのかダンジョンを出入りしている姿を見ることがある。

それで最近、第1階層のモンスターハウスを減らして、ウェアウルフとのエンカウントを減らしてきている。

番犬代わりにしたいのと、あまり氾濫を起こしたくないという気持ちもあった。


「マスター、DPの伸び率が少し下がっています」

「いまなら単純に200階層は追加できるくらいにあると思うけど」

「確かにありますが、天災級生命体に耐えられない可能性が出てきます」

「氾濫を抑えていれば、目につきにくいだろう。そうだ、ゴブリン牧場を拡張しようか?そうしたら、減収分が賄えるんじゃないか」

「そうすると、少し監視役が手薄になります」

「手薄…か。……ガチャだな」

「そうですね、魅了スキル持ちが増えるといいんですが」


目の前にガチャ箱が現れた。


「20回にしておこうか」

「それがほどほどですね」


いつものようにぐるぐると右腕を廻して10回分の押しボタンを2回押した。


■ドライアド F

■ドライアド F

■ドライアド F

■インキュバス F

■インキュバス F

■インキュバス F

■ライカンスロープ E

■ライカンスロープ E

■ライカンスロープ E

■進化 +1

■覚醒


■ホブゴブリンスカウト D

■オーク E 

■オーク E 

■オーク E 

■オークメイジ E

■オークメイジ E

■オークメイジ E

■リザードマン E

■リザードマン E

■リザードマン E

■エンジェル A


エンジェル……だと?

200名以上の人に読んでいただいたようです。

ありがとうございます。


2018/10/10 一部修正

「よしよし、えらいな、サキは」

「サキってなに?どういうこと?浮気?浮気なのね!!」

「いやまて、話しを……」

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