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最強ネクロマンサー、エルフの少女を復活させる

「くははは!!ついに、ついにエルフの村を見つけたぜぇ!!これで俺は大金持ちだ!! ハーカス様の時代がくるぜぇ!」


エルフの奴隷としての価値はとても高い。見た目がとても美しいからだ。そんなエルフ達は自分達を守る為。多くの森林は認識を阻害する結界をはっていて、迷いの森となっている。かといって迷いの森にエルフが住んでいるとは限らない。


なぜなら、迷いやすい森があったとして、そこにエルフが住んでいるともなれば、結界を破る能力を持つ人間がすぐに訪れて、エルフを捕らえてしまうだろう。


だから、知恵が回るエルフ共は自分達が住んでいない森にも迷いの結界は張って維持している。


そうすることにより、本物のエルフの森がどこにあるかわからないようにしているわけだ。当たり前だが、数え切れない程の森があり、それら全てを探すのはとても困難である。


しかも多くの森には魔獣やモンスターがいて、なおかつ迷うようになっているとなるとかなり危険。だから、人間にとってエルフを狩ることはとても危険である。だが、もしもエルフのいる森を見つけることができれば…一生、遊んで暮らすほどの金を手に入れることができる。そんな夢を見て、エルフを狩ろうとする者を、人はエルフハンターと呼ぶ。


そして…ついに俺はエルフがいる森を引き当てたのだ。


「さて…お前ら、頼んだぞ?これが成功すれば、お前らにもたっぷり分け前をやるからな」


俺は部下達に檄をいれる。


「わかってますよ、おやぶん」


「元々、山賊だった俺達がエルフハンターになって一発目の探索でこんな成功するなんて、ついてますね」


「本当だぜ!正直、エルフハンターに転向するっていった時はどうなることかと思ったけど…おやぶんはやっぱり最高だぜ!」


部下共が口々に俺を褒め称える。


「でもさ、さっきのエルフの女は正直もったいなかったよな」


「あぁ、確かにすげぇ綺麗なエルフだったなぁ、あいつも売れば高くなったんだろうなぁ。ねぇ、おやぶん」


「確かにもったいなかったが、仕方ねぇだろう。あの女そこそこやるやつだったからな、森の外へ助けを呼びにいこうとしてたが、あの傷じゃいまごろ、もう生きちゃいねぇだろう。な~に、村さえ支配しちまえばいくらでもあの女の代わりはいくらでもいるさ。おう、さっさと襲撃するぞ」


「でも…エルフ共って魔法が得意なんですよね?俺達だけで大丈夫なんですか?」


「何の心配もいらねぇさ、この魔道具があればな。忘れたか?この周囲の魔法や結界を無効化する魔道具があったからこそ、山賊からエルフハンターに転向したんだ。魔法さえなければエルフなんぞ非力な人間と変わんねぇよ。中には多少腕が立つ奴もいるだろうが…なぁに、俺はこれでもAランク冒険者の戦士を倒したこともあるんだ。楽勝な仕事だぜ」


「そうでした!おいら馬鹿だから、忘れてましたぜ!おやぶんすんません!」


「気にすんな。山賊になるような奴は馬鹿ばっかりなのは知ってるからな」


「さすがだぜ!優しいぜ、おやぶん!」


「よし!いくぞてめぇら!!エルフ狩りの時間だぁ!!」


◇◆◇


「魔王軍の幹部としての仕事って何をすればいいんだろう? 」

僕は素朴な疑問をカイルさんに尋ねてみた。彼は、復活祭の後、僕の部下として魔王様から派遣されてきた。魔王軍の常識を知らない僕をサポートする役目として。


「シオン様がしたいようにされればいいですよ…俺はただそれを全身全霊でサポートさせていただきます」


「それはいいんだけど、そうだな…たとえば他の幹部が何をしてるかだけでも教えてくれないかな?」


「わかりました!…では、シオン様と同じ幹部の方をそれぞれどんな方かもふくめて紹介させていただきます」


「助かるよ」 


魔王軍の幹部かぁ。一体どんな人達なんだろう。


「まず、【流言飛語】の称号を持つ幹部のホーリエ様、ホーリエ様は主に王国に潜入して有望な冒険者などの悪評を収集して、引退に追い込んでいます」


「え?」


「冒険者の多くは欲深く腹黒いものなので、大体は何かしら後ろ暗い過去を隠しています。それを集めて、冒険者に二択を迫るのです。悪事をばらされるか、引退するのか。たいていは引退を選びます」


「なるほど…ちょっと四天王って思ったのと違うんだね。なんていうか、もうちょっと正攻法なイメージだったよ」


「正攻法というと【疾風迅雷】の称号を持つ黒騎士様ですね。魔王軍の脅威となる冒険者は単身で倒しにいく武闘派です。任務はこれまで一度も失敗したことないそうです」


「やっぱり強いんだね…」


「そうですね、魔王軍でも一、二を争う実力者です。魔王様も最も信頼している部下だからこそ、シオン様の勧誘という大役を任せたのでしょう」


僕はそんなたいしたことないと思うんだけどなぁ…まぁ、いいか。


「武闘派と言えばあの方もいますね。【万夫不当】のタイラン様。人間嫌いで有名なので、シオン様は関わらない方がいいかもしれません。もっとも、タイラン様は常に最前線で戦っていて、ほとんど魔王城には帰ってこないので、会う機会もないかもしれませんが…」


「なるほど…わかった。気をつけるよ、しかしほかの幹部はちゃんと働いてるんだね…僕も何かしないとなぁ。どうしたらいいかなカイルさん」


「シオン様にはシオン様にしかできないことがあると思います」


「僕にしかできないことかぁ…う~ん…」


「シオン様、とりあえずギルドを訪れてみたらどうでしょう?」


「ギルド?」


「魔王軍にも王国のようにギルドがあるのです。魔族達は自分で解決きないことはギルドに持ち込みます。ギルドはそれをやってくれる人を仲介する場所ですね。俺も手が空いている時は、副業としてギルドで仕事を探すこともあります。シオン殿は幹部として就任されたばかりでとくにやることがないなら、そちらで仕事を探してみてはどうでしょう?」


「なるほど…それはいいね!」


◇◆◇


というわけでギルドにきたわけだけど。受付嬢に話しかけてみる。牛のような角が生えた、綺麗な女の人だ。胸元がざっくり開いた服を来ている。


「あの~何か仕事がないですかね」


「あれ!?あなた魔王軍新幹部のシオン様じゃないの?ギルドに用ですか?」


「幹部に就任したばかりでとくに役目がなくて、僕にもできる仕事がないか探しに来たんだ」


「へぇ~殊勝な人だねぇ…私なら仕事ないときはさぼっちゃうね~…」


「いえいえ…」


「ところでシオン様って魔族も恋愛対象になる感じ?」


「え?」


「可愛いし、もしもシオン様さえ良ければ、私を愛人にしてほしいかも!魔王軍の幹部なら愛人の一人や二人ぐらい飼う甲斐性あるでしょ?」


「そ、それはちょっと…」


「デイジー!仕事中にナンパするな!ぬけがけはずるいぞ!」


僕がなんと答えたものか、悩んでいると、他の受付嬢の人からそんな怒声が聞こえてきた。


「あちゃー、怒られちゃったよ。この話はまた今度ね…。あ、私以外の受付嬢には気をつけてね?可愛い男の子が好きな子がおおいから、シオン様は狙われやすいと思うの…」


「おい、いい加減にしろ。シオン様が戸惑っているだろう」


「いいじゃないのカイルさん。ちょっとしたスキンシップよ」


「たっく…で、シオン様にふさわしい仕事はないのか?」


「えぇと、腕利きのネクロマンサーでしょ?逆にありすぎてしぼるのを迷っちゃうわねぇ…リストにして渡すからちょっと待ってて」

「わかりました」


僕は受付の前にある椅子で待つことにした。そんな時だ。ドン!!という音をたててギルドが凄い勢いで開かれた。僕が振り返ると…そこには傷だらけのエルフの少女がうつ伏せに倒れていた。僕は思わず立ち上がり、エルフの元へ駆け寄った。


「だ、大丈夫ですか?」


「…みんなをたすけて」


エルフの少女はその言葉を最後に、ぴくりとも動かなくなった。


「ちょ、ちょっと何々!?エルフが魔王軍にくるなんて何事よ?しかも今にも死にそうじゃない…?ていうかもしかしてもう死んでる? 私、治癒師の先生を呼んでくるわ!」


「その必要はない。俺がみよう!」


「カイルさんって治癒師だったんだ?」


「えぇ、仲間が傷ついたときにすぐ癒してあげたくて、治癒師の魔法を習得したんです…ひどい傷だな。よくここまでこれたものだ…」


カイルさんはエルフの少女に手をかざすと、かざした右手が白く発光した。


「…何の反応もない。駄目ですね…もう亡くなっています。治癒師の私ではすでに死んでしまったものはどうすることもできない…」


「…この女の人は僕に何かを言おうとしてたんだ…何か助けを求めてたよ」


「プライドが高いエルフが魔王軍に助けを求めるとは…それだけ差し迫った状況だということでしょうね。もしかすると、エルフの村がエルフハンターに襲撃された可能性がありますね。助けに行きたいですが…エルフの村の場所はエルフ自身しか知りません」


「…そうなると、本人に聞くしかないのかな」


「シオン様、この子を復活させるのですか?しかし、エルフのアンデッドなど可能なのですか?聞いたことがありませんが」


「カイルの言う通りじゃな!」


「わ、アンリ様…」


「シオン殿、騒ぎを聞きつけて、やってきたのじゃ。傷だらけのエルフが城門の衛兵の制止も聞かずに突っ切って、このギルドまで来たことで町中大騒ぎじゃよ?」


「そうだったんだ…確かにこんな状態だもんね。騒ぎにもなるよなぁ」


「それにしても、シオン殿。エルフをアンデッド化させるということじゃが…それはちょいと難しいと思うのじゃ。何しろ、エルフは森の精霊が生み出したと言われている、存在自体が聖の属性を持つ存在。これまでエルフのアンデッド化に成功したネクロマンサーはいないのじゃ。私もエルフのアンデッド化は何度か挑戦したことがあるが…一度も成功したことはないのじゃ」


「魔王様でも無理なのですか…? ということはさすがのシオン様でも難しいのでしょうか」


カイルさんが不安げな顔になる。


「う~ん…とりあえずやってみるよ」


僕は魔力をエルフの少女にそそぐ。すると、エルフの少女の体が紫色に鈍く光る。すると、彼女の真っ白な肌がだんだんと褐色に、綺麗な金髪だった髪の毛の色が銀色に変わっていく。


「ど、どうしよう…失敗しちゃったかな ?」


「いやシオン殿…アンデッド化に失敗したとしてもこんな反応は起きないのじゃ…この見た目はもしや…伝説に残っているあの…ダ、ダークエルフなのじゃ!?」


エルフの少女が、がばっと立ち上がった。


「私…助かったの?」


彼女は、銀色の髪に褐色の肌をしたとてつもない美少女だった。



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