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最強ネクロマンサー、幹部として認められる

改稿しました。

「シオン殿ーそろそろレイン様の復活祭が始まりますよー一緒に行きましょうー」


黒騎士さんが僕を迎えに来た。


「はい…」


緊張するなぁ。レインさんの復活祭が行われる。それはいいんだけど、なんとその席で同時に僕の魔王軍の幹部就任も発表するらしい。


僕はタマとレインさんと一緒に、会場へと向かう。ミミは先にいって、宴のための料理をの手伝いをしている。復活祭には魔王軍の兵士、民たちが大挙して押し寄せている。


これでも会場に収まりきらなくて、抽選で参加者を選んだらしい。


「さて…久しぶりの宴だな」


「「「うわぁああああ!!!レイン様だぁ!!」」


「握手してください!それとサインも!」


「おいずるいぞ!」


すごい。まるでアイドルみたいな扱いだ。


「ふふ、歓迎していただけて嬉しいな」


会場につくと、レインさんの周りに多くの人が押し寄せる。レインさんはそれに快く答えていく。巻き込まれてもみくちゃにされる前に離れておいてよかった。さて、どうしたものか…手持ちぶさたになっていると。袖をクイクイとタマが引っ張った。


「とりあえず、ここから離れて姉様のいる調理場にいくです」


「そうだね」


「レイン様、一緒に入ってきた男の人は誰なんですか?恰好的にもしかしてレイン様を復活させたネクロマンサーですか?」


「そうだよ、素晴らしいあるじ様だ」


 と、レインさんが答える。


「えぇ!?あんな子がレイン様を復活させるほどのネクロマンサーだなんて…すごいなぁ。サインもらっておけばよかった!」


 離れ際、そんな言葉が聞こえてきた。


◇◆◇


時間は過ぎていき、そろそろ幹部就任の挨拶の時間がきた。


「不安だなぁ…人間の僕が受け入れてもらえるのかなぁ」


「大丈夫ですよ、そりゃ多少は反発する者もいるでしょうが、シオン殿ならいずれかならず皆から慕われる最高の幹部なれます!この私のように!」


黒騎士さんはどんと胸をたたいた。


「私もご主人様なら大丈夫だと思うよ!」


「姉様がそういうならきっと大丈夫です…万が一失敗しても骨は拾うですよ…」


タマが真剣にそういった。


どっちかっていうとネクロマンサーの僕は骨を拾う側なんだけどね…。ネクロマンサーはスケルトンナイトのアンデッドを使役するときは骨を集めることもあるし。まぁ、見た目が怖いから、僕は使役したことないんだけど。


「そろそろ、魔王様から紹介されますよ。ほら見てください」


黒騎士さんの言う通り、会場の中央奥にあるお立ち台に魔王様が上がる。


「ちゅうもーく!! なのじゃー!」


そういって皆の注目を集めると、ごほんとせきをひとつしてから、話始める。


「みなのもの…実は知らせておきたいことがある…宴でも多くのものが話題にしておったが、レイン様を復活させたネクロマンサー…彼はすさまじい実力の持ち主である。それでありがら、謙虚で優しく素晴らしい魔人格者。私は彼を…魔王軍の新しい幹部…私は彼を新しい四天王として迎え入れようと思っているのじゃ!」


「おぉー!大賛成です!」


「しかし…そんな腕利きのネクロマンサーがいたなんて全く知らなかったなぁ。レイン様を復活させるって魔王様以上じゃないのか?」


「どこかの辺境で修業でもしてたんじゃないか?」


「なるほどなぁ」


…人間で冒険者やってただけです。


「では…シオン殿!こちらへ!」


「シオン殿!頑張ってください」


「ふぅ…」


 僕は一度深呼吸してから魔王様のもとへと向かう。そして、魔王様のもとまでゆっくりと歩く。途中で魔族や多くの亜人からの視線を感じる。


 そしてお立ち台に上がって、魔王様の横に立つ。そして、魔王様にうながされるように、はなしはじめる。まずは…自己紹介からだ。


「初めまして…! ネクロマンサーのシオンです!僕は実は人間として冒険者をやっていました…もしかしたら、この場にいる方たちと戦ったことがあるかもしれません」


すると会場が一瞬シーンと静まり返る。やっぱり…人間の僕が魔王軍の幹部として認められるなんて無理があったんだろうか。だが、これぐらいでへこたれちゃだめだ。自分の素直な気持ちをみんなに伝えるんだ。


「人間だけど…暖かく受け入れてくれた魔王軍のみんなのために頑張って働こうと思っています!」


僕はそんな決意を宣言した。


「魔王様がいうなら…まぁ仕方ないかな」


「俺たち平が意見することじゃないもんな」

「 でもよ…俺はちょっと人間はなぁ…信用できないよ。いつか裏切る気なんじゃないブヒ?」


 頭に角の生えた豚頭のオークが疑わしげに僕を見つめる。


 やっぱり…人間の僕が魔王軍の仲間として受け入れられるなんて、無理だったのかな。僕は思わずうつむいてしまう。


「そんなことは絶対ない!!シオン様は魔王軍を裏切るような人じゃない!!」


会場にいた一人の獣人の青年が大声で叫んだ。彼は人ごみをかきわけながら、僕の目の前までずんずんと進んできた。


「シオン様、お久しぶりです。俺のことを覚えてますか?カイルです。あなたに助けていただいた」


あ!この人はもしかして。


「獣人の村の…」


「みんな聞いてくれ。シオン様は俺の…いや俺たち一族の命の恩人なんだ」


「人間が命の恩人?どういうことだ?」


「あれは二年前…俺の村がSランク冒険者パーティー【クロスオブゴッド】に襲われた時の話だ。あいつらにあっという間にやられた俺たちは村長の家に縄で結ばれて、みんな奴隷として売られていくはずだった。そんなときに現れたのが、あの人だ…深夜に仲間たちが寝静まったころに俺たちのもとに訪れたシオン様は縄をほどいて、俺たちを逃がしてくれたんだ」


「そんなことがあったのか…」


「人間にもそんないいやつがいたのか…。魔王様が仲間に誘ったのもそれを知ってたからなのかな?」


「もちろんそのことは知っておるのじゃ!シオン殿は本当にいい子なのじゃよ」


「 シオン様、あの時は本当にありがとうございました!!おかげで俺たちの一族はあの後、なんとかこの魔王城に逃げてきて、今はここで幸せに暮らしています」


カイルさんが僕の手を握って、深々と頭を下げた。僕もそれにつられて頭を下げる。


「そんな頭を下げないでください。お礼なんて必要ないです」


「そんな…なぜですか?」


 カイルさんが少し不思議そうにしている。


「だって僕たちのパーティーが来なければ、あなたの村が襲われることもなかったんだから。逃げる必要なんてなく、あのまま村で平和にすごせていたはずだよ」


僕がそういうと、カイルさんは涙を流した。


「シオン様…あなたという人は… おい!お前たち!今の言葉を聞いていたか?確かにシオン殿は人間だ…だが、命を助けてくれたのにお礼すら必要ないというこの謙虚さ…俺は人間だとしてもこの方なら幹部にふさわしいと思う!!」


「カイルさん、ありがとう」


まさか、あの時の行動がこんなことになるなんて。


「あのぉ…裏切るとか言ってすいませんでした…俺そんなことがあったなんて知らなかったブヒ」


さっきのオークが僕に頭を下げた。


「いえ、いいんです! 僕だってあなたの立場なら疑うとおもいますから」


「…優しいブヒ!ありがとうブヒ!」


「ゴホン…!ではシオン殿、もう一度改めて挨拶をするのじゃ…今度は大丈夫じゃよ。周りのみんなの顔を見てみるのじゃ」


魔王様にそう言われて、周りをみると確かにさっきとは明らかに雰囲気が違う。


「…これからよろしくお願いします! みんなのためにがんばります!」


今度は大きな拍手が会場に響いた。


こうして、僕は魔王軍の幹部としてみんなに認められたのだった。


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