最強ネクロマンサー、Sランクパーティーから追放される
「ひぃ…い、命だけは助けてください。なんでもしますから」
「ふん!!」
命乞いもむなしく魔王軍の幹部【不撓不屈のディアボロス】は、勇者のクラスを持つクロスの剣で両断された。
「やりましたね、クロス!」
「さすが、クロスです!」
魔法使いのドロシーと騎士のレミリアがいつものように、クロスをかこんで、うっとりしている。ネクロマンサーの僕は、いつも輪の外で三人からは距離をとっている。
三人曰く、僕が近くにいると気持ち悪いらしい。
「さてと…シオン、今日でおまえクビな」
「え?」
「いい加減、根暗なお前にはうんざりしてたんだよな~大体ネクロマンサーが仲間だと、体裁悪いっていうか。俺様のイメージダウンになるからさ。もう俺達についてこなくていいよ」
「たしか~、ネクロマンサーっていうわりに大したアンデッドも操れないし、役立たずだよね」
「私もネクロマンサーなんて下賤な職業を仲間にいらないと思うわ。そもそもなんで仲間にしたんだっけ?」
「たしか、私たちがどこかのダンジョンで死にかけているところを通りかかって助けたのがきっかけよね」
魔法使いのドロシーが苦々しい顔でいった。
「おい、そんなことはどうでもいいだろ。大体、こいつがこなくても俺様がなんとかしてたからな、あんな小さな借りでここまでこいつを仲間にしてやってたんだから、もう十分に恩は返したぜ。なのに、いつまでも俺様のパーティーに寄生しやがって・・・大体、てめぇネクロマンサーとしてたいして役に立たないから、治癒師として回復魔法覚えてこいっていったのに、お前にヒールかけられると逆に痛いんだよ。おかしいよなぁ?無能にもほどがあるよなぁ?」
「もしかしてわざと痛みを与える魔法つかってきてるんじゃない?根暗のネクロマンサーならやりそうだよね」
「その可能性はありますね。いやきっとそうでしょう」
「やっぱりそうだったか!!てめぇまじで許さねぇ!!」
クロスは僕をにらみつけていった。
「そんな…急に言われても。せめて次のパーティーが見つかるまでいさせてくれないかな?」
「そんなの知らねぇよ!俺様がクビだっていったらクビなんだよ!!」
「えぇ…」
「あ、装備と手持ちの金は全部置いて行けよ。お前の持ってるものは全部俺様のおかげで手に入れたものばっかりなんだから」
「それはいくらなんでも…」
あまりにも理不尽すぎるクロスの言い分に、すこし言い返そうと思ったその時。
「俺様のいうことがきけないなら死ね!!」
そういいながら、クロスは僕に斬りかかった。僕は、慌てて後ろに飛びよける。もはや、話が通じそうにない。僕はおとなしく、手持ちのお金と装備をその場において、そこから逃げ出した。
「二度と俺様の前に顔を見せるんじゃねぇぞ!!」
うしろからドロシーとレミリアのあざ笑う声が聞こえる。
こうして僕はSランク冒険者パーティー【クロスオブゴッド】を追放された。どうせ追放されるなら、最後にパーティー名ださいって教えてあげればよかった。