b.3
降りる駅のアナウンスが流れた。次で下車だ。栞を挟み、本をなおす。もうじき読み終わりそうだ。次の本を買っておこう。
この駅は乗り換えのために降りたわけだが、次に乗る電車までは時間がある。昼食を食べてから本を物色するには十分だろう。
とにもかくにもまずは腹ごしらえだ。腹が減ってはなんとやらである。駅の地下に食事処が固まっているらしかったので、下りてみることにした。
飲食店が十数軒並んでいる通りがあった。いったり来たりしながら、店を確認していく。悩み抜いた末、選んだのは安価な定食屋だった。安いは正義である。多少混んでいるのは目を瞑ろう。
暫く並んでいたら、席に通された。メニューを確認して、こちらもじっくり悩んでからハンバーグ定食を注文する。待っている間はスマホのゲームを進める。プレイしているのはシナリオがやたらと長い、ノベル寄りのRPG。マイナーで爽快感も他と比べて低いのだが、ゲームが得意でない身としてはこのようなものが有難い。普通のアクションゲームをやると、難易度イージーが丁度よく、ノーマルですら回復薬を使いきってゲームオーバーという残念さなのだ。ハードともなると一瞬で吹き飛ばされる。敵の攻撃をひょいひょいと避けながら攻撃する人の気が知れない。あれは神の技だ。
店を見渡すとまだ混んでいたので、ハンバーグにありつけるにはもう少しかかりそうである。あとひとステージはいけるだろうか。再びスマホに目を落とした。