00 ぶっちゃけ、冒険者ギルドって要らなくね?
個人的嗜好であることは重々承知しているが、このエッセイを書くためには必要なので、ハッキリ言ってしまいましょう。
自分は、いわゆるテンプレと呼ばれる作品に出てくる、『冒険者ギルド』という存在が嫌いです。
女性向け作品ならば、そもそも登場することは少なく、男性向け作品でも、一時期のことを思えば減りましたが、まだまだ見ることのある設定です。
厳密に言えば、嫌いと言えるほどでもないです。
でも、この組織が公然と存在している世界を見るだけで、「あ、この作品ダメだわ」と思うほどに最近なってきました。おつまみ感覚で読み流すのならばまだしも、ガッツリ味わいたいとは思わない。ビーフジャーキーは味わった後に飲み込みますが、ガムはしばらく噛めば吐き捨てます。
考えれば考えるほど、矛盾していて、冒険者ギルドは謎の組織であるし、存在意義が理解できないからです。
そうではない作品もあることも否定はしませんが、ごく少数。
だから物語の中とはいえ、存在しなければならない必要性がわかりません。実際の個々の事情についてはともかく、「主人公が冒険者ギルドに登録する」という序盤の展開を作りたいがため、思考停止した作者が登場させている。
結果、その作品に出てくるの住人は、神様のくだらない演劇に付き合わされているだけ、つまり世界観が死んでいると判断しています。
なぜ自分がこんな主張をしているか、多分理解できない人がほとんどでしょう。
だって多くの作品で使われている設定だから。
理屈を超えて「フィクションの中なら、あるモンはあるんだよ」という固定観念に囚われているでしょう。
理解する必要がない、理解したくない、と思う方は、ブラウザをそっと閉じてください。前提からして自分と話が合わないでしょうし、不快になるだけですから。
さて、ここから先は語り口を変えさせていただきます。
こちらのほうが語りやすいので。
考察するにはまず、以下のことを定義しないと話が始まらない。
作品ごとの個性で異なる場合もあるだろうが、以下に挙げる内容は、おおよそ共通し、誰でもなんとく思い浮かべる条件だと思う。
【Ⅰ】中世ヨーロッパ風異世界
・剣と魔法の世界である。
・基本的には文化、技術レベルは産業革命以前の中世ヨーロッパに準ずる。(多くの国家で封建制。一部魔法を応用した突出技術あり)
・魔物、魔獣といった、総合的には通常の野生動物より危険な生物が溢れている。
・大都市は石造りの城壁など、城塞都市化している。
・都市の門は夜間は閉じられ、日中は門番が居り出入りを監査している。
・危険が大きく、命は容易なことで失われ、奴隷など命が売り買いされることも当たり前。
【Ⅱ】冒険者ギルド
・冒険者を登録する。
・身分証明書が発行される。
・ギルドの建物に、さまざまな依頼が張り出される。
・狩猟/採取した動物や植物の買い取りを行っている。
・大きな街には必ず存在する。
・異なる国でも、なんらかの形でギルド間の情報共有がなされている。
【Ⅲ】冒険者
・誰でも就ける職業。
・とはいえ、剣の腕や魔法など、武力を求められることが多い。
・実績に応じて実力を何段階かでランクづけられている。
・報酬次第でどんな仕事でもやる。
・個人の思想を除き、国家や権力に縛られない。
・国家、領地間の移動に制限がない。
この条件を前提に考えていく。
ちなみに似たようなことをしてらっしゃる人を見つけたが、それとは異なる視点で考えていく。
冒険者・商人・職人ギルドについての考察(作者:青田 ガリ様 http://ncode.syosetu.com/n7490bz/)