お題:射手座
二つの国がありました。その国の上にはとても厚い雲が何ヵ月もかかっていました。何ヵ月も何ヵ月も。日の光が当たらず、作物は枯れ、国民は困っていました。食べ物がないのです。このままではみんな飢えてしまいます。
二つの国の王さまは神様にお願いしました。どうか空の雲をどけてくださいと。
すると空から弓矢が一つ降ってきました。
二人の王さまはこれでどうするのかと首をかしげましたが、すぐにわかりました。
これで戦争をすればいいのです。そして隣の国の食べ物を奪うのです。
すぐに二つの国は戦争を始めました。降ってきたものをもとにいくつも弓矢をつくり、いくつもの命を奪っていきました。
そうして幾日か経った頃、一人の旅人が二つの国を訪れました。戦争をしている理由を尋ね、あぁと納得したようにうなづいて、降ってきた弓矢を持ってくるように言いました。
「これはこうやって使うんですよ」
旅人は空に向かって弓をひきました。矢はぐんぐん空へのぼり、ついに厚い雲をさいてしまいました。
「たったこれだけのことだったのです」
何ヵ月ぶりかの日の光が二つの国を照らしていました。
光が当たれば何ができる?