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剣豪伝Ⅱ  作者: 苦痛笑虫
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思惑はそれぞれに!

試合まで僅かと迫った朝、蟹蔵は一人用事があると仲間のもとを離れることを告げた。蟹蔵が秘密裏に製作させていたあるものを受け取りに行くためである。


河上「よし、では我々も試合までそれぞれ別に過ごす事にする。再び集まるのは明日の夕暮れ時‼それまでに戻ってこい‼」


蟹蔵「よおしわかった!じゃ頭領は俺と来い‼」


頭領「ひっ、はい!」


野猿之助「俺は本番まで人斬りして過ごさせてもらうさ!」


河上「では女はどうする?この場で斬るか、どうせ邪魔なだけだろう。」


お銀「!?」


野猿之助「あ?馬鹿かお前‼その女は言われなくても俺に付いてくるさ!」


お銀「...そっそうよ‼馬鹿じゃないのあんた‼...」


河上「口の聞き方に気を付けろ...まあいい、解散‼」


河上一団は一時解散し御前試合に備える。


独りになった河上は刀を研きながら思考を巡らせていた。この男数々の闇試合に出場し全ての者の命を絶って来た。残酷性も去ることながら用心深さも備えていた。河上の剣は神速の抜刀である。彼に命を狙われて生きている者はいない。河上の強さは相手の技を瞬時に真似て使う事が出来る天性のセンスと迷いの無い冷徹さにある。彼は人を斬る事に全くの抵抗が無かったのである。高柳はこの男の性質を見抜いていたのだ。だが高柳は知らない。この男に隠された本当の力を!


一方、本番までの時間を潰そうと野猿之助は闇試合に登録した。

闇試合は真剣での殺し合い、敗けは即ち死を意味する。野猿之助もまた冷酷な男であった。彼は勝つためには手段を選ばない。彼もまた河上に近い考えを持っていたのである。彼の生い立ちは貧しい農民の家に生まれる所から始まる。日々餓えに苦しむ者を沢山見てきた、そして自分自身もまたその体験者である。彼は幼くして口べらしに売られ奴隷のように働かされた。しだいに身体は痩せ細り使い物にならなくなった彼を親方は平然と捨てた!そこに現れたのがある人斬りであった。この人斬りの男は六兵衛と名乗り捨てられたりした孤児を引き取って剣を教えると兵として戦場に送り込むのを生業としていた。拾われた野猿之助もまた六兵衛の下で剣術を磨き気づいた時はその中でも最強の剣士に成長していた。しかし六兵衛のこの行為は野猿之助の幼い頃に芽生えた怒りを呼び覚ました。


ある日の夜、寝ていた同胞の寝首を次々とを搔くと六兵衛の寝室にいき死闘の末、六兵衛を斬るとその首を切り落とし刀を突き立てて屋敷をとびたし二度と戻らなかった。こうして野猿之助の人斬り人生は始まったのだ。


野猿之助にしてみれば今回の闇試合はいわば遊びのようなものであった。試合が始まるや否や相手が名乗る間もなく野猿之助の横凪ぎの一文字斬りで相手の上半身と下半身が別れて崩れ落ちる。

それを見ていた次の対戦相手は迷わず棄権した。


野猿之助「決めたぜ!御前試合の先鋒はこの俺だ‼ききーっ」


御前試合まであと一日‼はたして...。そして蟹蔵の用事とは?

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