堀部助平
代官御前試合まで残すところあと三日。代官屋敷の中にある試合場ではその準備が着々と進行していた。
試合での順番は本人の希望で一番は笹本ろうまに決まった。笹本は拳銃を所持していた。元々笹本は南神一刀流の免許皆伝で剣豪の中でもその腕は随一とされていた。しかし笹本はある男との出会いで剣の道を捨てることになる。
笹本ろうまは武士の中でも下位の家に次男として産まれた。そしてその頭は三歳にして既に禿げていた。学問を学ぶようになると同級生からろうまへの苛めが始まった。しかしろうまは切れると手がつけられない位暴れ相手の耳を食いちぎった事もある狂暴な子供であった。この頃から剣術を磨き始めるのだった。そんなろうまから周りはしだいに距離をおくようになっていく。そして18歳の時に同郷だった岡田いじょうと脱藩し家族から絶縁される。更に父親はろうま脱藩の責任で死罪になってしまう。
その頃のろうまは冷酷な男であった。
ろうま「他人の事なんかどうでもいいぜよ‼」
自分が一番で自分中心の生活を送っていた。そんな中、いつものように岡田と日課にしていた強奪を働いていたとき偶然その場に居合わせたある男に岡田共々あっという間に召し捕られてしまう。その男こそが堀部助平であった。それまで負けたことがない、自分が一番強いと思っていたろうまには衝撃的な出会いだった。
次元の違いをこの時ろうまは実感していた。
そして堀部の紹介で代官に会い堀部の推薦状で岡田と共に七人侍に任命されるための御前試合に出場しろうまは優勝、岡田は準優勝した。更に後に待ち受けていた当時の七人侍の一人、柳生久兵衛を倒して七人侍に任命されるのだった。この試合で柳生は両腕骨折の重症を負い剣豪の道を断たれている。
高柳「どうかされたか?」
代官屋敷で昔の事を思いだしほくそ笑みを浮かべるろうまの隣に高柳がそっと腰を掛けると不思議そうな顔で覗き込んでいた。
ろうま「あイヤ、これは高柳どん!ちぃと昔を思いだしてのう、わしは酷い男じゃとな。」
ろうまはそう言うと高柳の肩をポンと叩いた。そして神妙な顔になると両手で顔を叩いて気合いを入れた。
ろうま「今度の試合、わしは絶対に負けられん。わしは銃をもっちょるが弾は3発しかない。わしはこの試合で再び剣を握る事になる、刺し違えてでもわしは負ける訳にはいかんけぇ。」
高柳「ろうま殿、剣を捨てて久しい今の貴殿では河上は愚かあの二人にもどう転ぶかわかりかねる、皆の前では言いづらかったので今言わせて貰うが順番を考え直して欲しい。」
ろうまは悲しそうな顔をした。
ろうま「やはりおまはんにもそう見えておったか。けんど、順番を変えるきは無いぜよ、わしも1度は剣豪を名乗った事もある男じゃき。死ぬときは戦場じゃ!....。」
高柳「本心ではござるまい...」
ろうま「二言はない。」
それぞれの思惑を孕みながら時は過ぎて行った。
御前試合まであと2日‼




