運命の赤い糸
都合の良すぎる神様が現れた時点で、おかしいと気づくべきだったのだろうか。
あるいは、現れた神様の姿が見えてることに疑問を感じるべきだったのか。
...いや無理。それは無理。
でも頭が回れば少しは気づけていたかもしれない。
「まさか、神様って概念と縁結びさせられてたなんて。」
その気になったら全部の赤い糸が見えるはずなんだけど、見るのが怖い。
「はりきってしまったからなぁ。さすがに全員と結ばれてはいないはずだが。」
「なんか信じられない。」
「縁は数あれど、運命の赤い糸というものは特別だからな。」
そんなこと言われても、縁切りの神様にまで赤い糸が見えた時点で信用できないんですけど。
たしか絆が深まった時とかに見えるんですっけ?
「わ、我はただ、姿が見えたということに驚いただけだからな!?」
「特別感、ってやつですよね。たぶん。」
ただの一般人から新種が見つかれば、特別視をすることになっても仕方ないだろうな。
「まぁ縁結びというものは、絆を深める切っ掛けをうみやすくはしているだろう、」
「っていうか、この調子だと神様全員とお知り合いになっちゃうじゃないですか!」
強力すぎる縁結びを取り消すために、神様たちにお願いする予定だったのにっ。
もしこ会うたび赤い糸が結ばれていったら私はどうなるの!?
「ふん、任せろ高宮望とやら。我の力を使えば100人力よ。」
そこまでいうなら任せてみようじゃないかと、縁切りの神様に身を任せてみる。
が、一旦動きを止めてきた。
「待てよ?神との縁が無くなれば、俺の姿が見えなくなるじゃないか。」
「言われてみれば、そうなるでしょうけど。…え、まさか。」
「やめとこっかなぁ?」
「こっちは困ってるのにぃー!!」
この時の私たちは、思いもしていなかった。
神様との縁を切る。
それはつまり、一生の別れにもなりえるし。
未来永劫、全ての神様とは縁もなく頼れない運命が待ち受けることになることを…。
だけどきっと、また巡り会えるような気がしていた。
それは、私自身が掴んだ縁なのだから。