神頼み
全然目立ってなくて狭くておまけに薄汚れてて人の気配なんてまるでない神社の前に私は立っていた。
それはもちろん、恋愛祈願をするためである!
「案外近くにあるものね!」
正直、有名どころの方が効き目はありそうなんだけど遠くて行く気にならない!
そんな残念なほど面倒くさがりなのが私、高宮望である。
ここを見つけたのも、ちょっと気分転換に裏道に来たら迷ったからでして。完全に偶然だ。
でも、これも運命というものだろう。
幸いなことに、恋愛成就の効果があると立て看板にかかれている。今の私が最も望んでいるものだ。
なにしろ私はこれまで彼氏ができたことがない!
今ぴっちぴちの女子高生だというのに!
なぜか友達はみんな中学デビューしてすぐに彼氏つき。おかげでぼっちだ!
二年生になった今こそ、新たな出会いに賭けたい。
恋が、したい!
「神様神様お願いしますぅううう!どうか私に彼氏を!」
ガラガラと派手に鳴らしながら必死にお願いをする。
そして手を合わせて強く願った。
「神様、ください!」
思わず声に出していた。
目をつぶりながら願いが届くことを切に願う。
「よかろう。その願い、受けたわまった!」
「へ?」
突然頭に響くような声が聞こえる。
驚いて目を開けると、目の前に光とともに和風の服を着た男性が出現した。
目を疑う不思議現象にあっけにとられた。
「えっと、どちら様で?」
「見てわからぬか?」
見てわかることといえば、イケメンだってことぐらいだろうか。
「あ、ここの神社の!」
「うむ。」
「巫女さんですか?」
「違うわぁ!」
「あ、男性だから違うかぁ。えっと男性は。」
「だから違うというに!」
「え?」
「私は、この神社の神だ!」
「え、ええええええ!?」
し、信じられない。でっでも、突然現れたし!まさか本物!?
「じゃ、じゃあ、私の願いを叶えてくれるんですよね!」
「その通り!しっかり聞き届けてやったぞ!だからわざわざ出向いてやったのだ!」
「おお!」
「望み通り、この私をくれてやろう!」
「おおお!・・・へ?」
「今日から私はお前のものだ!」
「え、えええええ!?」
神様、もらいました。
ってかもらっていいのかよ!