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-APPREHENSION-
「じゃあ、昼休みにな」
片手を挙げながら去っていく背中に、返事を返す。
「わかった!」
僕が頼れるのは、紅葉だけだ…
いつもはクラスが違うのもあって、
昼には会ったりはしない。
でも、こういう風に誘ってくるときは、
僕の異変に気づいたときばかりだった。
「また気づかれた…」
小さく呟きを漏らす。
気づかれないようにしているはずなのに、
どうしてか気づかれてしまう。
「他の人は気づかないのに、な…」
そして、僕を助けてくれる。
信じてた人に捨てられるというのは、
思っていたよりダメージが大きかった。
教室に入り、自分の席に座る。
窓際の一番後ろの席。
いつものように窓の外を見る。
思い浮かぶのはただ一人だけだった…
昨日突然姿を消した、僕の恋人だった人。
昨日までは普通に他愛のない話をしたり、
一緒にテレビを見たりしていたのに。
本当に突然だった。
何も残さずに消えた。
いや、消えたんじゃない、僕を捨てた。
その言葉が一番合っている気がするから。
せめて一言でも残して欲しかった…