第1話「熱き変態」
プラモデル―それは、何十年も前から人を虜にして病まない組み立て式模型の一種だ。
いくつかのパーツに分割して作られたプラスチック製の部品群と説明書をセットにした形で販売されている。
これは、プラモデルの虜になった人間達で御送りするお話である。
※なお実際私が作りながら出筆するので展開はカメのごとくのんびりだと思ったか!?!?
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都内某所にある模型店
ちょっと大通りから外れた静かな店内へ一人の男が入店をした。
お世辞にも店の雰囲気とは似合わないホストのような服装をしたその男は入店と同時に店内へいたもう一人の男へ声をかけた。
「またせたな、天道」
「時間ジャストとは相変わらずだな桜井」
「余裕を持って出ようと思ったんだが作業が中々終わらなくてなぁ~」
ちょっと静かな模型店の店内に2人の談笑が響く。
その手の道の人間が見ると2人とも顔はいいため掛け算を開始しそうな雰囲気だ。
「とりあえず電話で言ってた通り今日は、ガンプラを買いに来たんだが正直まったく分からなくてな…ご教授願おうと思ったんだわ」
ガンプラとはその名の通りガンダムシリーズのロボットや戦艦を立体化したプラモデルの略称である。
なおMADE IN JAPANのブランドの一つだったりもする。
「まぁ、別に構わないが何を作りたいんだ?」
「最近ダブルオーに凝っててそのシリーズを買おうと思ったんだが正直さっぱりだ」
「んー天道、凝った作り方も俺が教えるべきか?」
「あぁ!頼む」
「OK、それなら…店長!」
桜井の呼び声と共にどこからともなくガンプラマイスターと書かれたエプロンを身に纏い
店内なのにサングラスをかけたどこからどうみても怪しい変態が颯爽と現れた。
「呼ばれなくても現れる素敵な大尉こと店長だ、何か用かね少年?」
「HGアヴァランチとケンプファーの購入と店の奥と工具一式を貸してくれない?」
「フフフ…よろしい!30秒待て少年達!!!」
それだけ言い残すと変人は店の奥へ突っ走って行く。
隣で見ていた天道はその当たり前のやり取りをただ唖然と見るしかなかった。
「…ぁーすまん、今のが店長?」
「自称ガンプラマイスターこと店長さんだ、辛い食べ物を食べると3倍の速さでガンプラを組むらしいぞ?」
「なるほど、想像がつかん」
「安心しろ、冗談だ……といいたいところだが本当だ」
「冗談は格好だけじゃないのか?」
桜井の言葉を冗談半分に受け取る天道だったが桜井の顔は冗談という顔ではない。
「私に不可能なことは無いのだよ少年達!」
「うぉッ!?!?」
突如後ろから聞こえた声に天道はびびり思わず声を上げて驚くが、
桜井は特に動じることも無く対応をする。
「店長相変わらずどこからでも現れますよね」
「店長の名は伊達じゃないということだ少年!」
「まぁ~いいですけど、天道固まってないで奥行くぞ~」
「分かった…というか桜井、店長と知り合いなのか?」
「残念ながら俺の従兄弟だ」
「うそ!?!?全然似てないな」
「残念とかいうな少年、そもそも私がいなければプラモにも染まっ「全ての元凶が何を言う!」」
―プロローグ「熱き変態」―
~予告~
唐突に始まった方向性を間違えたこの小説。
期待の新星天道は素組みの果てに何を見るのか!?
次回、「ゲート処理とやっぱり変人」
――君は組み立てることが出来るか。 ・
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~貴方も分かる超簡単解説!~
ガンプラ、MADE IN JAPAN!!!
ダブルオー、ガンダムの作品の一つ19年ぶりの完全新作映画が2010年にあった作品。
HG、ハイグレードという名前のシリーズ最初から色のついたパーツとシールで「塗装しなくても完成する」手軽さが売りの一つ。144/1スケールと比較的小さい。簡単と難しいの中間に位置する。お一つの値段も比較的手ごろな作者御用達キット。
HGアヴァランチ、ガンダム00の主人公機エクシアの外伝装備。
キットとしては比較的作りやすいものの完成度の高いエクシアの可動範囲が減るが難点。
HGUCケンプファー、宇宙世紀と呼ばれる時代の機体。
コンセプトは襲撃、むき出しのスラスターや軽量化したボディーのために
「出撃後の帰還は考えられていません(笑)」という漢仕様。
作者がこの前買ってきたが塗料と改造パーツ買い忘れて袋すら開けてないプラモ。