15.職場見学
「神流ちゃんカッコいい!!お姉さん感動しちゃった!!」
「そ゛、ひ゛、ね゛ーさ、くるし…、」
「蒼緋!神流様を離せ!!」
「蒼緋。締まってる」
相当全力で抱き締めているのだろう。紫穂と朔羅の呼びかけでようやく蒼緋は離れた。
「ごめんごめん。つい」
「げほっ」
「神流様、御無事ですか!?」
いい歳した大人が何をやってる…と呆れた朔羅がため息を吐く。
「……別に貴女自身を嫌ってるわけじゃないわよ。“神託の娘”はそこに居るだけで重宝されるから、何の努力もせず七大守護者からチヤホヤされやすいの。…私は、それが気に入らないってだけ」
「な、なるほど…?」
「神流ちゃんに関しては大丈夫よぉ。こんなに勉強熱心で、誰かに媚びを売ってるわけでもない。この世界にちゃんと馴染もうとしてる」
「……蒼緋は会って数日の彼女を気に入りすぎじゃないの…」
「あら。素直な神流ちゃんを気に入らない理由がある?」
まるで気に入るのが当然と言いたげで。ぐ、と詰まる朔羅。
「…わ、私は…」
「朔羅は、神流様が聖藍様の庇護下になるのが納得いかないだけだろう」
「あら。…つまり嫉妬?」
「勝手な事言わないでよっ!」
真っ赤になって反論するあたり、おおよそ間違いでもないらしい。
……先ほどから「兄様」と呼んでいるし、この美少女は聖藍を心から尊敬している。
なぁんだ、聖藍が大好きなだけか。
「…何よ。その生温かい目は。」
「何でもないです」
微笑ましい兄妹愛じゃないかと。
「…で、次がここか」
神流達三名が次に向かったのは、聖藍達が仕事をしている建物。盈月官邸と呼ばれる執務館。
蒼緋の案内で聖藍達の居る執務室に入ると、聖藍、颯紫、柚樹が揃っており、蒼緋が「一回全員の仕事を見てもらおうと思って⭐︎」と言うと、納得した聖藍が上記の発言をした。
「神流ちゃんもこれから自分で出入りする事が増えるでしょ?今の内に知っておいた方が良いんじゃないかな」
「……一理あるか」
「…あまり書類には触らないように」
側仕え二人の許可もいただき、蒼緋達は堂々と見学を始めた。
壁一面にギッシリと詰め込まれた本の数々。
資料だろうか。
机の上には大量の書類。聖藍は、それに次々と署名をしていく。
「………聖藍、さんは……」
「………聖藍でいい」
書類整理をする聖藍に、恐る恐る声をかけた。
初対面の時から、この男は特にぶっきらぼうだった。
蒼緋達が友好的すぎたのだ。
「…聖藍は、普段からここに?」
「……これが、俺の仕事だからな」
話をしながらも手は止めない。




