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第5話『店長さんはご機嫌です』

新しい年の朝。まだ空気にひんやりとした静けさが残る中、結衣は今日もカフェ・ルアンの扉をくぐった。


「おかえり、結衣!」

「今年もよろしくね!」


笑顔で迎えてくれるのは、いつも通りのリリィとルル。けれど今日はもう一人、見慣れない女性がカウンターに立っていた。


髪は流れるような銀色、深紅のリボンを結んだエレガントな姿。その女性は、柔らかい声で微笑んだ。


「はじめまして。私はルアン。このカフェの店長よ。ようこそ、私たちの秘密の場所へ」


「えっ……ルアンって、お店の名前と同じ……?」


「そう。ここは私の“居場所”。そして、あなたの居場所にもなれたら嬉しいわ」


その声はどこか包み込むような暖かさがあって、結衣の心も自然とほころんだ。


「よろしくお願いします、ルアンさん。あの……今年もここに通っていいですか?」


「もちろんよ」ルアンはにっこり笑って、ホットティーをカップに注いでくれた。


テーブルを囲み、3人と1人はのんびりと新年の時間を過ごす。甘いお菓子とやわらかな会話。心地よい空間に、時の流れを忘れてしまいそうになる。


「……はぁ、やっぱりここが一番好き」


結衣がそう呟いたときだった。


――カラン。


店の扉についた鈴が、ふいに鳴った。


誰かが来たのだ。


結衣は顔を上げる。ルリィも、ルルも、ルアンも、同じタイミングでそっと目を細めた。


「さて、どんなご縁かしら――」と、ルアンが口元に手を当てて微笑む。


新しい年、新しい誰かが、カフェ・ルアンの秘密に触れようとしていた。

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