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奈月と楓のお仕事

9月13日。新沼奈月と森田楓はカルーン公国にいた。同国は異世界ではまだ珍しいマルス精度を採用。しかも32歳のラミアと30歳のリミアという美人姉妹が仕切る。2人は魔女さまと呼ばれるが、魔力はない。その代わりに卓越した政治力を持つ。異世界は2人の魔王さまが仕切るのが通例だが、彼らもまた魔力はない。やはり魔法のような卓越した政治力を発揮するから便宜上そう呼ばれているだけだ。奈月たちの今日のお仕事はマルスの取材。正規のコスチュームが変わり、彼らは白のセーラーに白のミニスカート。又は半袖の体操服に黒のブルマーの2択。トランクスとブリーフが禁止された以上、彼らはミニスカートの下にブルマーかショーツ。又はその両方を身にまとうしかない。白のアームカバーは魔法戦士と同じ色。同じメーカー。マルス制度を採用した国は他に2カ国しかないが、中でもカルーン公国が最も早く女装化法案を可決した。やはりトップが女性だから変革が早い。実は奈月たちも名古屋に常駐するエージェントから魔法戦士として参戦するよう誘われたが、いまいちピンとこない。シラサギ公国を初めとする異世界はいまだに男社会が抜けきらないからだ。そのため2人だけでなくひとり娘の柚子とみやびまでもが参戦には及び腰。その代わりに2組の美人母娘は単価の高いエージェントの道を選んだ。狙いは3つ。まずエージェントをしていれば参戦にしつっこく誘われない。次に単価の高さ。最低時給が2000円。最後に口やかましい上司がいない。奈月はジュール。楓はミシェルを取材した。彼らは仲のいい友人同士。取材はジュールのマンションのリビングで行われた。彼らは近所に住み、魔法戦士が大好き。でもキモオタ特有の気色悪さはなくて清々しい雰囲気。異世界では毎朝ニュース映画が流れ、魔法戦士の対戦シーンがメイン。でもこれは実録ではなく撮影現場で撮られたもの。日本語訳の字幕が流れ、みんなこれを見て日本語に触れ、覚えるのだ。わずか30分。しかもモノクロ。朝から抜ける唯一の番組。流れなければクレームが殺到する。18歳のマルスの本業は投資家。ジュールはアンティークコイン。ミシェルは現代アートを扱う。彼らはまず日本へ行き、ニセモノやマガイモノをとことん学ぶ。「日本にマトモな投資先ある?」「ないね」理由は簡単。株価にせよ不動産にせよ上がり方がいびつだからだ。「先のある国の上がり方じゃない」「私たちの近所では年明けに勘違いしてイキってバカ高いハンバーガー屋をオープンしたおバカがいるわ」「団塊だろ?」「もちろんよ」「その親父はきっと上っ面の数字しか見ていないし現実が全く見えていない」話題はマルスの女装化に移った。「すでに僕たちは全身脱毛したよ」「コスチュームは?ミニスカート?それともブルマー?」意見が分かれた。ジュールはブルマーの方が戦いやすいと主張したが、ミシェルはミニスカートはかなり丈を短めにされるだろうから魔法戦士との対戦にさほど支障はないと反論。異世界の季節のめぐりは日本と同じ。名古屋みたいな悪魔の残暑はなく、すでに秋モードに入ったようで涼しい。マルス制度は始まったばかりなのでジュールたちは予備役。「実は名古屋でもカルーン公国は注目されてるの」「僕たちが女装するから?」「それもあるわ。でも他の国は男社会が抜けきらなくて。リタイヤした魔法戦士たちからも注目が集まってるみたいね」「奈月たちは?まだ参戦しないの?」「まだ様子見ね」やはり三十路の私たちがひとり娘の前でチア姿を披露するのは怖い。もし対戦相手からおばさん扱いされたら立ち直れないかも。なので三十路の女性は腰が重い。魔法戦士の正規のコスチュームはチア。赤とパープルとブルーの3タイプのみ。あとは白のアームカバー。指にテーピングを巻いて訓練や対戦に臨む。「マルスは奈月たちをバカにしたりしないよ」「必ずしもそうとは限らないでしょ?」「だって君たちはどんどん幼くされていくんだからね」「まっまあね」三十路の女性にはひと回りかそれ以上歳下の男の子があてがわれ、対戦を重ねるたびに幼くされていく。でも私たちにはピンとこない。もし彼らにそうされたらどうなるのか?まるで見当がつかないのだ。私たちだけじゃない。柚子とみやびまでもが同じ運命を辿らされる。私たちはひとり娘を不幸にはさせられない。「大丈夫さ。奈月たちの幼児化には時間がかかるからね」「どっどれくらい?」「5年から10年くらいだろうね」話題は娘たちに移った。「柚子とみやびは何してるの?」「私たちと同じよ。名古屋でエージェントをしてるわ」「でも性的には満たされないだろ?」「そうね。でもたまに性的な刺激を受ける仕事もあるわ」私たちのお仕事は魔法戦士やマルス関連がメインだから。「最近はエージェントになる子が増えてきたわ」「単価が高いからね」でもからだの飢えと渇きには勝てない。

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