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雨の日のからかさおばけ


 友人のKが言っていた話です。彼はよく冗談を言う人間ですから話半分にお願いします。


 そのころKは小学校の低学年だったそうです。彼が通う小学校では、とある噂が流れていました。


 彼のずいぶん先輩。高学年に美人で優しい女の子が居たんですって。その子は誰からも好かれていて校内でも人気だったのに、ある時から学校へ来なくなってしまったのです。


 先輩が学校に来なくなって一週間ほどが経ったくらいだったと言います。時期はちょうど梅雨時で連日のように雨が降り続いていました。


 それでですね。なんとも小学生らしいというかKの回りでは、こんな噂が広まっていたんです。雨の日に一人でいると、よくないものに連れていかれる。そんな噂です。


 Kたちは雨の日になると、なるべく一人にならないように気を付けていたそうです。同時に、最近姿を見せない先輩はその、よくないものに連れていかれてしまったのだろうと、そんな噂も広まっていました。


 さて、そんな噂の広まる中、とある雨の日のことです。Kは学校の帰り道で途中まで一緒に帰っていた友人と別れ、寂しい思いをしながら家に向かっていました。


 突然吹いた強い風によってKの傘が壊れてしまったのです。彼はしょうがなく、近くの屋根がある場所で雨宿りをしていました。人の気配はなく寂しい場所です。


 どれだけ時間が経ったか、雨はいっこうに止みません。携帯で親に迎えを頼んでいたそうですが、親もなかなか来てくれません。


 そんな時にKはそれを見たのでした。それは傘に一つ目と足がついたような姿をしていて、Kが後に語るには、からかさおばけというものではないかと。そう分析していました。


 からかさおばけは、その身に雨を受けながらKのことを見ていたそうです。おばけは傘を大きく開いて、まるでKに中へ入るよう促してた。と言うのですが本当でしょうか?


 結局Kはその場から動くことはなく、いつまでも動かない彼に対し、おばけは諦めたように去っていきました。ほどなくして彼の親がやってきて、その日は無事に買えることが出来たのでした。


 そんな経験をしてから数日後、Kはいつの間にか噂の先輩が学校に来ていることに気づいたそうです。彼女はインフルエンザでしばらく学校を休んでいて、そのことを下級生たちが知らないというだけのことでした。


 これで、このお話は一件落着。めでたしめでたし。と、言いたかったのですが、そうはならなかったとKは言います。


 Kがおばけとであった雨の日から、彼の友人の一人が行方不明になっているそうです。


 もう、何年も経った現在も。

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