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第7話、ダンジョンでレベル上げⅣ

「ッ!?」


 突然、物陰から野球ボールサイズの石が飛んできて俺の手に当たった。

 地面に落ちたペットボトルから中身がドクドクと零れる。


 ハッとして振り返ると、そこにあのイヤらしい笑みを浮かべたゴブリンが二体居た。

 更にもう一体、繁みの奥から現れて俺の後方に回る。


 ウソだろ……ッ!?

 やっと一匹倒したってのに……ッ!!


 俺は愕然とした。

 あんなに苦戦してようやく倒した相手が同時に三体。

 しかも、俺は負傷したまま。

 こんなの、勝てるわけ……!


「ケラケラケラッ!」


 考えている内に、俺の背後に回ったゴブリンが石を投げてきた。


 危ねえ!?


 俺は一瞬驚いたが、相手の動作は遅い。

 直後に飛んできた石も、まるで5歳児が投げた毬のようにスローモーションに感じる。

 その石は俺の顔面目掛けて投げられたものだったが、俺は冷静に石の飛んでくるスピードと方向を見定めて石を躱した。


「シャッ!?」


 石を投げたゴブリンが驚いた顔をする。

 避けられるとは思っていなかったらしい。


「ッ……!?」


 俺は無言で一度鞘に納めた剣を抜くと、今石を投げたゴブリンに全力で斬りかかった。

 だが、そのままゴブリンを跳び越えてしまう。

 相手の懐に踏み込もうとしたのだが、体が軽すぎて体が跳び上がってしまったのだった。

 5メートルぐらいジャンプしたかもしれない。

 着地した俺を、ゴブリンたちが唖然として見ている。

 完全にヒーローな気分だ。


 ……。

 いける!

 今の俺なら全然倒せる!


 そう思った俺は、今度こそゴブリンに斬りかかった。

 ゴブリンたちは俺の剣に全く反応できていない。

 あっという間に二匹を斬り、慌てて逃げ出そうとしたもう一匹のゴブリンを背後から剣で突く。

 筋力《STR》と器用さ(DEX)を上げていたお陰だろう。

 俺の剣はゴブリンの背中を貫通し、そのまま胸にあったコアを破壊した。


 ピロリン♪


 すると、ポケットに入れたスマホが鳴る。

 どうやらまたレベルが上がったらしい。

 ステータス画面を開くと、全ステータスが1ずつ上昇したのに加えて、ステータス振り分けポイントが1ポイント得られていた。

 少し考えて、筋力《STR》に振り分ける。


 更に俺は落としたペットボトルを拾って、中に残っていたポーションを右腕に振りかけた。

 全回復とまではいかないが、右腕が動くようになる。


 よし。

 この調子でゴブリンを狩る!




 ◆




 その日俺は仮眠を繰り返しながら戦い続け、西麻布と同じ50体のゴブリンを倒してレベルが6まで上がった。


 最終的なステータスは以下の通り。


 ──────────────────


[レベル]     6



[スタミナ値]   55/58

         (現在値/最大値)



[称号]      なし



[HP]       19/45(ー0)

         (現在値/最大値)

         ※マイナスはスタミナ値による補正


 ◆

 ──────────────────


 STR(筋力)          19(ー0)

 DEX(器用さ)         18(ー0)

 AGI(素早さ)          15(ー0)

 VIT(耐久性)        15(ー0)

 INT(知能)          20(ー0)

 CHA(魅力)         14(ー0)


 ステータス振り分けポイント  0


 ◆

 ──────────────────



 振り分けポイントは筋力《STR》と器用さ(DEX)に集中させた。

 現状ゴブリンを圧倒できるだけのスピードがあるから、素早さ(AGI)はまだ上げなくていいだろうと判断してのことだ。


 ダンジョンに潜る前と後とでステータスが2倍近く上がっている。

 たった1日でだ。

 こんなカンタンにレベル上がっていいのかって思う。

 いや、カンタンじゃなかったか。

 ゴブリンを倒すのはかなり苦労したし。

 HPも一桁にまでなった。

 だが、それでも俺は生き残った。

 一生懸命頑張った俺の成果だ!

 なんだかとっても自分に優しくしてやりたい!


「俺超偉いマジ偉い死ぬほど偉いハイパー偉い偉すぎるわマジで百億兆点あげちゃう俺天才」


 そう思ったので、とりあえず頑張った自分を褒めてあげた。

 すると、途端に虚しくなる。


 いくらなんでも俺ダサすぎだろ……!

 あとこれ完全に怪しい人だからまた職質されそう……!

 でもそれぐらいは嬉しい……!

 どうしたって顔がニヤケてしまう……!


「……よっし……ッ!」


 俺は両拳を握った。


 とにかく、これで強くなるための道筋が決まった。

 日中は仮眠を取りまくって、スキルの熟練度を上げまくる。

 そして放課後はダンジョンに潜って自分自身のレベルを上げるのだ。

 それが、俺が世界一になるための最善の方法だ。

 ダンジョン以外起きてるヒマはないぞ!

 この調子で頑張ろう!

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