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ロボットものの設定みたいな話

作者: よぎそーと

「くそ…………!」

 敵の攻撃を受ける。

 それはバリアで退ける事が出来るが、おかげでエネルギーを大きく消耗した。

 登場する人型機械兵器のロボット。

 それを覆うエネルギーの防護膜は少しだけ削れてしまう。



 宇宙を駆け巡る人型機動兵器のロボット。

 それらはエネルギーを周囲に張り巡らせてバリア(防護膜)を展開している。

 これらが飛んでくる敵のビームと互いに消耗し合っていく。

 攻撃を受けた分だけ消耗するし、バリアがなくなれば剥き出しの本体があらわになる。

 そこに一撃を食らったら、ほぼ確実に撃破される。

 ロボットよりはるかに巨大な艦船すら破壊する威力があるのだ。

 全高20メートル程度のロボットなどひとたまりもない。



 いうなれば、バリアはHPなのだ。

 ロボットの生命力をあらわす数値だ。

 これに用いるエネルギーが生命の残量である。

 それがなくなれば、もう死んだようなものだ。

 誰が言い出したか知らないが、上手い言い方だと操縦士は思っている。



 そのHPが減少している。

 それだけ死に近づいている。

 その事に絶望を感じる。



 幸い、バリアは時間と共に回復していく。

 エンジンである核融合炉からもたらされるエネルギーがバリアにも注ぎ込まれていく。

 それが自然とバリアを回復させる。

 ただ、時間はかかる。

 エネルギーは操縦士の生命維持に、搭載されてる各種機器。

 機体の動作に武器にも用いられている。

 その全てに使わねばならないので、バリアの回復だけに使えない。



 一気にある程度回復させるための予備燃料も一応はある。

 だが、ロボットに搭載してる数は少ない。

 予備武装を固定しておく設置器具、いわゆるパイロンを使うからだ。

 そこには予備弾薬やミサイル、追加の武器や索敵機器なども搭載できる。

 予備燃料だけを搭載するわけにはいかない。



 限られたこの設置器具に何を搭載するかは悩ましい。

 その一部に回復用の予備燃料を置いているのだが。

 数少ないそれをここで用いて良いのかどうか。

 さすがに戦闘の序盤のこの場で使うのは躊躇う。



 そうして悩んでる間に、バリアも幾らか回復していく。

 命の危機をあまり心配しなくて済む程度には。

 ひとまず回復用に予備燃料を使わずに済みそうだった。



 だが、敵との距離は更に縮まっている。

 敵の攻撃は更に密度を増してくる。

 攻撃が当たる可能性も高くなってきた。

 自分も敵も。



 密集する敵に向かって突き進んでいく。

 今回の任務は、敵のロボット群への切り込み。

 陣形をつくっている敵を分断させるのが目的だ。

 危険と分かっていても突撃を行ってるのはこの為だ。



 宇宙におけるロボット兵器の基本的な戦い方は戦列歩兵のようなものだ。

 可能な限り並んで敵に向けて銃撃・砲撃を加える。

 そうして少しずつ数を減らしていく。

 超遠距離から始まる射撃戦だ。

 命中など期待しようがない。

 それでも、少しでも敵兵を減らすため、火力を出来るだけ高める必要がある。

 そうなると、横に拡がって射撃可能な兵力を増やすしかない。



 あるいは、そんな横一列に薄く展開した敵に向けて切り込んでいく。

 そうして戦列を崩し、火力を減退させる。

 それを狙って高速で敵陣に向かうしかない。

 もちろん、相手もそんな突撃してくるものを黙ってみてるわけではない。

 自陣に近づく前に撃退しようと攻撃を集中させてくる。

 損害は甚大なものになる。



 しかし、近づいてくるものに集中する分だけ、本体への攻撃が緩慢になる。

 そうなった所に遠距離攻撃を仕掛け、比較的安全に近づいていく事も可能になる。



 いうなれば突撃兵力は囮のようなものだ。

 敵の火力を少しでも減らすための。

 あわよくば、敵陣に届いて内側から敵を粉砕するための。

 その為、突撃する兵団は大きく二種類に分かれる。

 突撃を成功させるために高性能の兵器を与えられた精鋭か。

 切り捨てても構わないほど無能な捨て石連中か。

 突撃を今している者達は、どちらかと言えば後者である。



 操縦技術もそれほどではなく。

 機体も戦闘につぐ戦闘でかなり損傷を受けている。

 修理出来ればいいが、そんな事をしてる時間もない。

 それに、修理は少しでも能力の高い者達の機体が優先される。

 それでも戦闘は続いている。

 となれば、損傷がそれなりになったボンクラ共の使い道は捨て石くらいとなる。



 そんなボンクラの一人に選ばれた操縦士は、必死になって機体を動かしていく。

 神経接続による操作するロボットは、操縦士の思考の通りに動く。

 首の後ろから差し込まれた接続用針が、脳髄から伸びる神経からの信号を受け止める。

 それが機体の制御用電算処理機、いわゆるコンピューターを通してロボットに伝わっていく。

 巨大な金属の体は、操縦士の意思通りに動いていく。



 レーダーをはじめとした探知探索機器からの情報も接続用針を通して伝わってくる。

 それが文字通りに脳裏に映像として表示される。

 どこに敵がいて、どのような攻撃が飛んでくるのかを。

 未来の予測位置も含めて。

 それらをもとに、可能な限り最適な位置を探していく。



 神経に直接接続するからこそ、これらが出来る。

 だからこそ人の形をした兵器が作られている。

 思った通りに動くのだ。

 ならば、普段から動かしてる人体に近い形の方が動かしやすい。



 また、これがロボットの用途を限定する事にもなってる。

 手足という、ある意味無駄なものがついてるのだ。

 重力のある地上で用いるのは難しい。

 立てば自重で足が壊れかねない。

 腕も、振り回せばちぎれかねない。

 重力下で動かすには不利なのだ。

 だから宇宙専用の兵器となっている。



 そんな人型兵器のロボットが一群となって敵陣に突っ込んでいく。

 敵が無視するわけがなかった。

 攻撃が集中する。

 それを避けようと突撃した者達は考える。

 こんな所で死にたいわけではない。



 とはいえ、あちこちから飛んでくる攻撃は無数と言ってよい。

 さながら弾幕シューティングの如し。

 それらを避けるのは至難の業だ。



 なので、完全な回避は考えない。

 もっとも弾幕の薄い所に移動して攻撃を受ける。

 避けようがなければ、出来るだけ損害を減らすしかない。

 被弾は覚悟のうえだ。

 でなければ突撃など出来ない。

 したくしてしてる訳では無いが。



 そうして損害を最小限にしながら敵に近づいていく。

 敵も逃げるが、それで構わない。

 倒せないまでも、陣形を崩せれば良い。

 その分だけ攻撃の密度が減る。

 結果として被弾も損害も減る。



 そうして切り崩した敵のうちいくつかが迫ってくる。

 突撃で生き残った操縦士を大きな脅威とみたのだろう。

 実際、陣形を崩されてる。

 ここど止めなければまずいは確かだ。



 そうして迫ってくる敵が3機。

 そのうちの一つに予備の武器を向ける。

 三砲身のガトリング無反動砲。

 ほどほどの連射速度で無反動砲を放つ。

 宇宙空間では頼りになる実弾兵器だ。



 その砲口を敵に向けて放つ。

 ビームなどに比べて弾丸の速度が遅いのが実弾兵器だ。

 その為、遠距離での命中はほとんど期待できない。

 相手に届くまでに弾道を予測され、簡単に避けられてしまう。

 しかし、距離が数キロを割り込んだ近距離戦なら別だ。

 この距離なら命中を期待できる。



 また、ビームなどの兵器にない特性がある。

 バリアの突破である。



 バリアはビームなどのエネルギーと互いに打ち消し合う。

 だが、実弾兵器はこのバリアを突破する。

 それなりの大きさと速度で撃ち込まねばならないが。

 砲弾を融かして打ち消す事が出来ないほどの速度で撃ち込めば、バリアを突破出来る。



 そして、ロボットの本体はさほど装甲が施されてない。

 皆無ではないが、それなりの質量や炸薬を撃ち込まれれば破壊可能だ。

 機動兵器であるロボットゆえの弱点だ。



 それを狙って、近距離から無反動ガトリング砲を撃ち込んでいく。

 放たれた砲弾が敵ロボットを破壊していく。

 砲弾が命中したところからロボットが壊れる。



 一分間に500発と、この手の兵器としては連射速度は遅い。

 それでも、1秒で10発近くの砲弾を吐き出す。

 その密集具合で放たれた砲弾を食らえば、ロボットはひとたまりもない。



 接近してきた3機は、こうして葬られていく。

 しかし、それで終わりではない。

 3機の影に隠れるように接近してきた4機目が迫る。

 もう射撃も出来ないような接触距離だ。

 それを見て操縦士は、遠距離武器から近接・格闘距離用の武器に切り替える。



 ビームサーベル。

 最大射程数十メートル程度のビーム兵器だ。

 射出ではなく、ビームの密度と継続的な照射を目的にしている。

 通常は刃渡り5メートルから6メートル程度で射程を固定して使われる。

 それを手にして迫る敵に斬りかかる用意をする。



 ビーム兵器ならば相手のバリアで弾かれる。

 普通ならそうなるだろう。

 だが、接触するほど接近した場合は別だ。

 お互いのバリアがぶつかりあって、互いに打ち消しあう。

 この瞬間、ロボットは無防備な本体を剥き出しにする。



 この状態になると、互いの攻撃が何でも通じるようになる。

 ビーム兵器を使えばあっさりと敵を貫通・撃破する。

 無反動ガトリング砲のような実弾兵器もだ。

 もちろん、ミサイルに無誘導のロケット弾も。

 それこそ、ロボットの本体を使ったパンチやキックなどすらもだ。



 そんな状況で用いられるのはやはり格闘兵器になる。

 ビームサーベルはその為に開発された。

 接触するほどの近距離でしか用いる事は無い。

 だが、使えば威力は絶大。

 文字通り、一撃必殺の威力をほこる。

 それを用いて、操縦士は敵に接近していく。



 刃をぶつけ合うチャンバラなど求めない。

 一気に近づいて、すれ違いながら一太刀をくらわす。

 長引けば不利になる。

 一通りの戦闘訓練を受けた操縦士だが、格闘戦が得意なわけではない。

 格闘以外も得意というほどでない。



 そもそも、操縦能力がさほど優れてないから突撃の捨て石に使われてるくらいだ。

 無能というほどではないにしても、操縦能力は推して知るべし。

 そんな腕前で格闘を続ければ、いずれ相手に負ける。



 それが分かってるから、すれ違いざまの一撃を狙う。

 そうして距離をとって相手を攻撃する。

 それも当たるかどうか分からないが、そんな事はどうでも良かった。

 攻撃の成否よりも、生きのびる事が大事だ。

 敵を撃破出来れば良いが、それが出来ないからといって戦闘を続ける必要は無い。

 その場をしのげれば良い。

 ついでに、敵の追撃を振り切れれば良い。

 そう思って敵の横をすり抜けるように進んでいく。

 ビームサーベルで切りつけながら。



 そうやって宇宙空間を進んでいく。

 目の前には、敵、敵、敵。

 敵陣の中を突っ切ってるから当然だ。

 そこを単身突っ込んでるのだから危険でしょうがない。

 だが、意外とそれほど敵の攻撃も激しくは無い。

 敵陣のまっただ中にいるからだ。



 操縦士からすれば、周りは敵だらけ。

 しかし、敵からすれば周りは味方だらけである。

 そんな所で下手に遠距離攻撃を仕掛ければ、味方に当たりかねない。

 その為、たった一機であっても敵に攻撃を仕掛けられない。

 やるとするなら、ミサイルなどの誘導弾による遠距離攻撃。

 それか、互いのバリアを打ち消し合う接近戦しかない。



 敵はミサイルを撃っていく。

 まずは遠距離から、味方に損害を与える可能性の低い方法をとる。

 ビームに比べれば遅いミサイルだが、誘導出来るので、味方に当たる可能性は低い。

 これで撃墜出来ればその方が良い。



 だが、ミサイルはそれなりの大きさがある。

 しかも、それなりに離れたところから撃っていく。

 それらを撃墜する事はさほど難しくは無い。

 自動照準と自動射撃で迫るミサイルを撃墜していく。

 近距離で放たれたならともかく、遠距離で撃つ実弾兵器はこうなっていく。

 バリアを突破できるという利点もあるが、使いどころを間違うと何の効果もない。



 しかし、それは時間稼ぎだ。

 相手の気をそらすためでもある。

 ミサイルの撃墜の間に接近するためだ。

 そうして接近していく敵は、ビームサーベルを構えて操縦士に近づいていく。



 その動きは操縦士も察知していた。

 レーダーなどの機器が教えてくれている。



 そんな敵に向かって無反動ガトリング砲をふるっていく。

 迫る敵のうちいくつかがそれによって撃破されていく。

 それすらも掻い潜ってくるものは、すれ違いながらのビームサーベルを当てていく。

 致命傷にはならなくても、少しは損傷を与えていく事を期待して。



 そうして操縦士が進むたびに敵陣が崩れる。

 そこを狙って遠方にいた味方が攻撃をしていく。

 陣形が崩れて攻撃が薄くなったところに集中する。

 動き回る操縦士に意識がもっていかれていた敵は、不意を突かれる形になる。

 それなりの数の敵が攻撃を受けて倒れていく。

 彼我の戦力差が広がりはじめた。



 まともに動ける、戦闘に参加できる敵が減っていく。

 対して、味方の方の損害はさほど大きくはない。

 火力の差が出てくる。



 一度ついた差は縮まる事は無い。

 むしろ拡がっていくだけだ。

 敵の攻撃が減れば、味方の生き残りは増える。

 生き残りが更に攻撃を集中させるから、敵は数を更に減らす。

 このくり返しが起こっていく。



 さすがに形勢不利を悟って、敵は撤退を開始していく。

 そうはさせじと、味方も追撃をしていく。

 この追撃が敵の損害を更に拡大していく。

 だが、敵全部を殲滅する事は出来ない。

 ある程度の取り逃しは出てしまう。

 それでも味方の勝利でこの戦闘は終わる事となった。



 なんとか生きのびて帰還する操縦士。

 空母の格納庫に入って、操縦席から抜け出す。

 そのまま操縦士の待機室へ。

 とにかく疲れていた。



 出撃前より人数が減った操縦士達。

 空いてる席を見て、帰らざる誰かが今回もいた事を知る。

 とはいえ、それで何か思う事もない。

 感傷がこみ上げてくる時期などとっくに過ぎ去った。

 誰かが死ぬのはあたりまえになっている。



 その誰かに次は自分がなるかもと思い。

 それでも今度もまた生きかえろうと思い。

 生き残った今を過ごしていく。

 とにもかくにも今はただ休みがほしかった。

「疲れた……」

 漏れる呟きが今の気持ちの全てだった。

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あと、異世界転生・異世界転移のランキングはこちら

知らない人もいるかも知れないので↓


https://yomou.syosetu.com/rank/isekaitop/





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以前、こちらのコメント欄で、俺の書いた話を話題にしてくれてたので、覗いてみると良いかも

http://mokotyama.sblo.jp/

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