結婚式の招待状
冬の寒さが残る朝、一通の郵便物が届いた。
なんだか色鮮やかな郵便物。
封を開けると『祝』の文字。
初恋の人からの結婚式の招待状だ。
開けた瞬間、気だるさを感じる。
故郷の友人へ手紙を書こうとしていたところだった。
偶然か、その初恋の人はこの友人のお姉さんである。
複雑な感情が湧き上がる。
自分を惨めにも感じてしまった。
追い討ちをかけるように冷たい風が窓から流れ込む。
初恋の人が故郷で知らない人と結ばれる。
普通のことが、異常なほどに、普通に感じない。
招待状には『参加する』『参加しない』どちらか選び
書いて送り返して下さいと書かれ、
その文字の隣には可愛らしい幼児の写真。
心に小さな穴が空いた。不思議だ。
交際相手にこのことを話した。
『初恋の人』のこと。
『気持ち悪い』と弾かれた。
初恋の人は特別だと言う。不思議だ。イライラする。
どうか式の当日には雨を降らさないでほしい。