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あなたがすこやかでありますように。

 ぼくはあなたのことを知らない。


 あなたの顔も、名前も、性別も、年齢も、一切のことを知らない。


 あなたのことをなにも知らない。


 でも、ちょっとだけ知っている。


 ぼくがあなたを知ったのは、ふと目に留まった文章が気になったから。


 あなたは《ここ》で文章を書いていた。


 自分が書いたお話を、《誰か》に読んでもらいたいという人達の集まる場所。


 ぼくはあなたのことを知らない。


 でも、ぼくは知っている。


 あなたが、手間と時間を掛けて、悩みながら一生懸命物語を書いているということを。


 一文字一文字を紡いで、文章を物語へと――――


 それはときには苦しかったり、

 思い通りに行かなくてつらくなったり、

 全部投げ出したくなったり、

 けれど投げ出すのも苦しかったりして、

 大変なことだと、

 ぼくは知っている。


 それでも、物語を紡ぎ続けるあなたは、とてもがんばっているのだろうと知っている。


 ぼくはあなたのことを知らない。


 でも、あなたの紡ぐ物語に心を揺り動かされることがある。ドキドキしたり、ハラハラしたり、ほっこりすることがある。


 あなたが、そんな物語を紡げる人だと知っている。


 あなた自身のことは、なにも知らないけど。


 そしてぼくは、あなたに大変なことが起こっても、それを詳しく知ることはない。


 あなたのことをなにも知らなくても、ぼくの日常にはなんら支障が出ることはない。困るようなことも特にない。


 それでも、ぼくはあなたのことが心配になる。


 調子が悪かったりするのかな?

 元気がないのかな?

 大変なのかな?

 大丈夫かな?


 想うだけで、なにもできないけど――――


 だからぼくは、祈る。


 どこかにいるあなたが、

 会ったことのないあなたが、

 これからも会うことがないであろうあなたが、

 一生懸命がんばっているあなたが、

 ぼくのお気に入りであるあなたが、


「どうかすこやかでありますように」


 あなたのことは相変わらずなにも知らないけど、


 あなたが元気そうだと、


 ぼくもうれしいから。


 (*´∇`*)

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